カフェの開業資金はいくら必要?資金を抑える方法も解説
カフェを開業するには一定の初期費用が必要となります。本記事では店舗形態ごとの費用目安や初期費用を安く抑える方法も解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
※記載内容は2022年5月時点の情報です
カフェの開業に必要な資金
カフェの開業に必要な費用は、店舗形態によって変わります。
※ご紹介する費用は一般的な目安となります
移動式カフェ
移動式カフェとは、いわゆる「キッチンカー」のこと。車で移動しながら場所を変えて販売します。大型ショッピングモールやイベント会場など、人が集まる場所で運営することで大幅な来店増加が見込めるほか、家賃がかからないため固定費を低く抑えられる点が特徴です。
■必要な費用例
- 車両費:約200万円
- そのほか雑費、仕入れ費
出店したい場所を見つけたら、建物のオーナーに許可を得たり、道路使用許可を得たりなどの手続きを経る必要があります。最近では、出店したい人と施設を繋げる仲介サイトも出てきているため、このようなサービスを活用すれば出店の負担も軽減できるでしょう。
自宅カフェ
自宅カフェとは、自宅の一部をカフェとして活用する店舗形態のことです。注意していただきたいのが、店舗を居住領域と明確に区別する必要があること。自宅をそのまま店舗に利用すると法律違反になる恐れもあります。多くの場合、開業できるのは一戸建てです。1階をカフェにして2階を生活空間にする上下分離型で開業するか、建物の入り口付近をカフェにして奥側を生活空間にする縦割り型で開業するか、いずれにしても内装工事が必要となるでしょう。
■必要な費用例
- 内装工事費:約15〜50万円/坪
- 厨房機器費:約250万円
- 広告宣伝費:約20万円〜
- そのほか雑費、仕入れ費
自宅カフェは物件取得費が新たにかからないため、初期費用を抑えて開業ができます。しかし、間取りに法律的なルールが存在するため、開業を決めた際には必ず各自治体や法律の専門家に確認をとったうえで進めてください。
店舗カフェ
店舗カフェとは一般的に想像される店舗形態のこと。物件取得の必要があり初期費用は高くなりますが、広々とした店舗空間や独創的な内装デザインなどが実現できます。
■必要な費用例
- 物件取得費:約200万円(家賃20万円の場合)
- 内装工事費:約15〜50万円/坪
- 厨房機器費:約250万円
- 広告宣伝費:約20万円〜
- そのほか雑費、仕入れ費
カフェの開業に必要な費用項目
カフェの開業に必要な費用内訳は下記の通りです。
物件取得費
とくに店舗カフェの場合、物件取得には下記費用が必要となります。
- 保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
保証金
保証金は、契約時に一時的に貸主に預けるお金のことです。借主が今後支払う、退去時の原状回復費や家賃滞納時の補填などに用いられます。目安の金額は賃料の3ヶ月〜10ヶ月分ほど。契約終了後には残額が借主の手元に戻ってきます。
礼金
礼金とは、貸主に対して支払うお礼のことです。敷金や保証金とは異なり、契約終了時の返却対象には含まれません。目安の金額は賃料の1ヶ月〜2ヶ月分ほど。物件によっては0円のケースもありますが、人気な物件ほど高額の請求を求められる傾向にあります。
仲介手数料
仲介手数料は、物件を斡旋してくれた不動産仲介会社に対して支払うお金のことです。法律で「賃料の1ヶ月分」が上限金額と定められているため、基本的にはその金額が目安として請求されます。しかし、なかには悪質な会社もあるので、上限金額以上を請求された場合には他の会社に乗り換えることも検討しましょう。
前家賃
前家賃とは、借主の支払い能力を証明するために物件契約時に支払う家賃のことです。一般的には初月分と翌月分の合算金額が請求されますが、なかには翌々月分まで請求される場合もあります。値引きを交渉することも可能ですが、貸主から支払い能力を疑われてしまい契約が進まなくなる懸念もあるため、注意が必要です。
内装工事費
店舗内装にかかわる工事費用も必要となります。たとえば壁紙や床の設置。店舗が実現したいコンセプトに応じて材質や色を検討したり、汚れにくい・転倒しにくい加工を施したりなど、工夫の余地があるでしょう。
下記の厨房設備も必要となります。
- シンク
- ガステーブル
- 製氷機
- 食器棚
- 冷蔵冷凍庫
とくにシンクは食品衛生許可の基準を満たす「幅45cm×奥行き36cm×深さ18cm×2槽」の大きさが求められます。2槽の設置が難しい場合には食洗機で代替することも可能ですが、各自治体によって方針が異なるため、詳細はご自身でご確認ください。
また、扉付きの食器棚も食品衛生許可を取得するうえで必要となります。油・ほこり・虫の侵入を防ぐためにも有効です。衛生面はお客さんからも厳しく見られるポイントですので、妥協することなく準備しましょう。
調理機器費
カフェで必要となる調理機器は主に「エスプレッソマシン」「オーブン」など。コーヒーも料理もどこまでこだわるかで、用意するものは変わってきます。また、食器やコップのデザインを揃えることでお店の雰囲気も形になるでしょう。ロゴを入れて統一感を出すのもおすすめです。
雑費
物件や内装、設備以外にもさまざまな雑費が必要となります。たとえば人員の採用費、集客にかかるプロモーション費など。採用に関しては「店舗立ち上げメンバー」として、求人広告を出すと良いでしょう。内輪の人間関係が出来上がっていないことから、馴染みやすいと感じて応募が殺到する可能性もあります。開業時には集客や店舗オペレーションの検討など、店主はさまざま考えることが増えるため、接客自体はアルバイトの方を採用しておまかせすることがおすすめです。
また、プロモーション費用に関しては看板の設置やチラシの配布など。どちらも作成と設置(配布)に費用がかかります。できるだけお金をかけたくない場合には、SNSでの発信もおすすめですが、多くの人にリーチするまでは時間がかかりますので、スケジュールに余裕をもったうえで取り組んでみてください。
カフェの開業資金をできるだけ抑える方法
カフェの開業資金をできるだけ抑えたいと考える方も多いでしょう。おすすめの方法を7つご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
①移動式カフェから始める
初期費用が比較的かからない移動式カフェから始めてみるのはいかがでしょうか。車も中古であれば一般的には100万円代で取得することも可能です。また、人の多い地域に移動すれば来店数の増加も見込めます。SNSでコツコツと発信をして、お客さんから商品や人柄を気に入っていただければ固定のファンもつくはずです。もし売上が増えた場合には、店舗型カフェの開業を検討しても良いでしょう。また、FC展開をして販売車を増やすことも期待できます。
②補助金を活用する
国や各自治体から支給される補助金を活用することもおすすめです。多くの場合、将来的に返却する必要がなく、条件にクリアして審査さえ通れば支給を受けられます。
例①:創業補助金
東京都の創業補助金では、下記の条件で補助金が支給されます。
- 対象となる方:都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方
- 助成対象期間:交付決定日から6か月以上2年以下
- 助成限度額:上限額300万円、下限額100万円
- 助成率:助成対象と認められる経費の2/3以内
- 助成対象経費:賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
出典:東京都創業NET
例②:小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象に日本商工会議所から支給されます。
- 対象となる方:商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」及び、一定の要件を満たした特定非営利活動法人
- 助成限度額:一般型50万円、低感染リスク型ビジネス枠100万円
- 助成率:取組に使用した額の2/3以内
- 助成対象経費:機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費など
カフェの開業費用は、一般的なサラリーマンが貯蓄するだけで集められるような金額ではありません。運営が軌道に乗るまでのキャッシュも必要なため、活用できるサポートはできるだけ受けてみることをおすすめします。
とくに店舗型カフェを開業する場合「どうしても初期費用を抑えたい」という方は、居抜き物件を選ぶと良いでしょう。居抜き物件とは内装や設備ごと前のテナントから借りる(買う)物件のこと。新たに内装工事や設備購入をする負担が軽減されるため、開業までの初期費用を大幅に安く抑えることができます。
もちろん、内装や設備は必ずしも無料で譲り受けられるわけではありません。別途「造作譲渡代」という費用が必要です。しかし、それでも内装工事の費用は、目安として平均15万~30万円/坪と言われており、内装や設備が一切ないスケルトン物件の内装工事の費用(平均30万~50万円/坪)と比べると大幅に安く抑えることができます。
一方で、居抜き物件を取得する際にはいくつか注意点もあります。
①内装工事がしにくい
居抜き物件は、大幅な内装工事を前提としない物件です。内装工事をする場合には、既存設備の撤去が必要となるため別途費用がかかります。独創的なデザインの店舗にしたい方は、費用と天秤にかけつつスケルトン物件の取得も視野に入れましょう。
②設備や機器が故障しやすい
引き継いだ設備や機器がすぐに故障してしまう恐れもあります。故障した際には撤去費用・修理費用・新規購入費用などを支払う必要があるため、かえって負担になる可能性も。「老朽化していないか」契約前に自分の目で確認しておくことをおすすめします。また、リース品やレンタル品の有無も確認しておきましょう。契約後に予期せぬ料金を請求されたり、リース(レンタル)契約を解消されて、新たな機器を用意せざるを得なくなったりする恐れもあります。
③前のテナントの評判が残りやすい
周辺住民の間で、前のテナントの評判が悪い場合は注意が必要です。たとえば「煙や騒音で周辺住民とトラブルを起こしていた」「かつて反社会的勢力が出入りしていた」など。悪いイメージをそのまま引き継ぐと集客に苦戦する可能性もあるため、事前に不動産会社や周辺住民にヒアリングしたりして懸念を払拭しておくと良いでしょう。
③フリーレントや家賃交渉をする
物件取得費用や家賃は、借主もしくは不動産仲介会社を通して交渉できます。とくに前家賃は今後いずれ借主が支払う費用のため、交渉の融通が効きやすい点が特徴です。また、毎月支払う家賃に関しても、なかなか入居者が見つからない物件であれば値下げ交渉に応じてくれる可能性もあります。開業までの1ヶ月間、もしくは2ヶ月間をフリーレント契約にできないかも一度交渉してみると良いでしょう。
④内装工事は自分で行う
物件の内装工事をゼロから自分で行えば、工事費用を安く抑えられます。「DIYは素人だからクオリティに不安がある」という方でも問題ありません。DIY特有の手作り感で、かえって味のある仕上がりになることも考えられます。とくに最近ではチェーン店ではなく、個人経営の穴場カフェがSNSを中心に人気を集めているので、むしろDIYをすることで来店数の向上も期待できるでしょう。
⑤中古品やリース契約を検討する
厨房設備や調理機器を中古で購入すれば出費を安く抑えられます。とくにお客さん側からは見えない冷蔵庫や食器棚などは、中古品で揃えても何ら売上に影響は出ません。店舗のコンセプトによっては、かえってビンテージ風の机や椅子が馴染む可能性もあるため、掘り出し物を探す感覚で中古品も見てみると良いでしょう。
また、リース品・レンタル品もおすすめです。毎月定額を支払うことになりますが、購入費用を一括で用意する必要がありません。状態としては新品に近いものが手に入るので、衛生面で配慮が必要な調理機器などの購入に適しているでしょう。
⑥従業員を雇わない
売上が軌道に乗るまでの間、店主もしくはその家族で店舗運営をするケースが多いです。もちろんアルバイトなどの従業員を雇ったほうが、店主は経営面の思考に時間を割くことができます。しかし、従業員を採用するための費用、労働環境の整備、育成にかかる時間などを加味すると「一人でやったほうが早い」と思う方も多いようです。できるだけ初期の費用や負担を軽減したい方は、一定期間は従業員を雇わずに運営することをおすすめします。
⑦SNSを活用して集客する
看板やチラシ配り、飲食店のポータルサイトへの掲載などはお金がかかります。SNSを活用してコツコツとフォロワーを増やして認知させたほうが費用は抑えられるでしょう。拡散性だと「Twitter」、ビジュアル面での訴求だと「Instagram」が向いているので、プラットフォームの特性を把握したうえで活用してみてください。
カフェの開業資金を集める方法
カフェの開業資金を集めるには、どのような方法があるのでしょうか。一般的に用いられる方法をご紹介いたします。
貯金する
サラリーマンとして働いて、コツコツと貯金するケースが最も多いでしょう。しかし貯金するには数年〜数十年の期間がかかります。副業や掛け持ちのアルバイトで収入を増やす、固定費を見直して出費を抑えるなどの工夫が必要です。貯金に自信がない方は毎月一定額を別口座に振り込んで「この口座は開業費用だから使わない」と決めておくと良いでしょう。
親族や知人から借りる
親族や友人に借金をする方も一定数います。しかし、いくら近い関係性でも「返済義務の有無」「利子率」「返済期間」などは書面でまとめておきましょう。返済できなかった場合には揉めてしまう可能性もあります。必ずリスクを把握したうえで、取り組んでください。
銀行から融資を受ける
上記2つの方法でも、資金が集まらなかった場合は「日本政策金融公庫」という政府系金融機関から融資を受けることも検討しましょう。基本的に、地方銀行や信用金庫は経営実績がないと、あまり融資を実施してくれません。しかし日本政策金融公庫では、きちんと創業計画書を作成したうえで、熱意を伝えれば応じてくれる可能性もあります。
クラウドファンディングで集める
一般的な方法ではありませんが、最近ではクラウドファンディングを活用して開業する方もいます。クラウドファンディングとは、実行者のアイディアに対して支援者がお金を出す仕組みのこと。実行者には事前に定めたリターンを支援者に提供することが求められます。
大手クラウドファンディングサイトでは、多くの支援者を集めるために専任アドバイザーからのサポートも受けられます。開業への想いが強い場合や、店舗コンセプトが独創的な場合はクラウドファンディングとの相性が良いので、一度検討してみると良いでしょう。
数カ月間の運転資金を確保してうえで開業しよう
飲食店を開業する際には多額の初期費用がかかります。どうしても開業資金を抑えたい場合には、補助金や居抜き物件を活用することや、田舎で物件を探すことがおすすめです。
しかし、初期費用を用意しただけで満足してはいけません。開業から軌道に乗るまでの運転資金を、少なくとも3ヶ月分ほどは確保しておきましょう。