居抜き物件の上手な見つけ方、物件を確認するときのチェックポイントって?

居抜き物件(居抜き店舗)は、造作がそのまま残されているため、新規にカフェ、喫茶店、ラーメン屋といった飲食店はもちろん、スナック、バー、居酒屋といったお酒を提供するお店、美容室、理容室といったサロンなど、独立や移転して開業を考えている人にとってメリットが大きいものです。

しかし、だからこそ条件のいい物件は取り合いになりがちです。しかし急いで決めようとするあまり、契約前の間取りや造作の確認が不十分だと、設備などが使えなかったり、営業許可が得られなかったりと、かえって想定外のコストや手間が生じてしまうこともあります。そこで物件を上手に見つける方法や、物件を確認する際のポイントをおさえておきましょう。

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リクルートの運営する店舗物件検索サイトTempodasに登録いただくことで、多数の未公開物件や、周辺の商圏のデータ等を閲覧することが可能です。

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「居抜き物件」を見つけるにはこまめな情報収集が鍵

居抜き物件(居抜き店舗)を探すには、店舗物件情報サイトを利用するのが便利です。こうしたサイトでは、エリア、賃料、広さなどの希望条件で絞り込むことが可能です。またその際に、居抜きを条件として指定できるサイトもあります。その他、たとえば深夜営業が可能か、重飲食(喫茶店、カフェ、スナック、バーなどを除く、調理を行う飲食業)が可能か、駐車場があるか、など必要な条件を加えることもできます。

上記のほかに考えておきたい条件としては、看板設置の可否、ロードサイド、商店街、商業施設内、路面店、1階(希望階数)など様々あります。しかし条件を増やしすぎると該当する物件が少なくなり選択肢が狭まってしまいます。必須の条件(MUST条件)と、できれば叶えたい条件(WANT条件)に整理しておくとよいでしょう。

希望に合った物件が掲載されたらすぐにチェックしたいものですが、そう頻繁にサイトを確認できないというのであれば、希望条件に当てはまる物件やおすすめ物件が登録されたらメールでお知らせが届く機能を利用すると効率的です。

思わぬところで条件にピッタリあった物件が見つかることもよくあります。なるべく条件を絞り込みすぎずに、いくつかの条件で新着情報メールが届くようにしておくことが秘訣です。

やりたい業態の営業許可が下りる物件? 見落としがちな消防用設備についても確認

サイトやお知らせメールで気になる物件があったら、問い合わせを行い、実際に物件を見て確かめる「内見」を行います。その際、店舗物件は確認するべきポイントが数多くあります。どんな点を確認すればよいかを見ていきましょう。

飲食店や理美容室などは、開業するにあたって保健所に間取りや設備などについて申請を行い、営業許可を得る必要があります。その際、営業許可が受けられるために必要な設備や間取りについては条件が決められています。

居抜き物件であれば前の入居者が営業を行っていたこともあり、基本的には営業許可を受けられる条件を満たした間取りや設備となっていることがほとんどです。しかし必要な条件や基準が変更されている場合や、前の入居者が許認可を受けたあとに設備や間取りを変更している場合など、既存の造作では営業許可を受けられないケースがあります。

また、たとえば前の入居者がカフェを経営していた物件でカフェを開業する場合など、業種や業態が同じであれば、営業許可を受けるために必要な条件も基本的には同じですが、もともとカフェだった店舗で深夜12時を越えるスナック開業する場合など業種や業態が変わる場合、営業許可を受けるために必要な条件が異なる場合があります。居抜き物件だから難なく開業できると思ったら、思わぬ工事が必要になる場合もあるため、事前にやりたい業種や業態の許認可を受けるための条件について確認しておくと安心です。

飲食店の場合、店内飲食だけでなく販売も行う際は、製造販売の許認可が必要となります。製品の製造許可は物によって細かく分かれていることにも注意しましょう。例えばサンドウィッチを販売したいという場合は菓子類製造販売の許可が必要となりますし、アイスクリームを販売したい場合はアイスクリーム類製造販売の許可が必要となります。

開業する際、消防署への申請も必要です。飲食店や物販店などでは消防用設備の設置が必要となりますが、特に延床面積が300平米を超える場合や宿泊施設の場合は、自動火災報知設備の設置が必要となります。自動火災報知設備の設置には建物全体の配線工事が必要となり工事費用も高額化するため注意が必要です。

どんな業種で、どんな業態の店舗を開業する予定なのか、そしてそのためにはどのような許認可が必要かを確認した上で、候補物件の居抜きの造作が基準をクリアしているか確認すると良いでしょう。

設備や内装物はだれのもの?必要なコストは?

居抜き物件の場合、設備や内装といった造作は「造作譲渡契約」を結ぶことで自分の所有となります。その際、比較的新しい設備の場合は有償での譲渡となる場合があります。また、造作の譲渡は基本的には「現状渡し」で「一式」となるケースがほとんどです。

現状渡しとは、現状のままの状態での引き渡されるというもので、仮に破損していたり引き渡し後に使用できなかった場合でも引き渡した側は修理の責任を負わないことが条件となります。そのため事前に動作確認を行ったり、修理が必要な状況であれば修理可能か、どのくらいコストがかかるのかを確認しておくとよいでしょう。保健所に営業許可の申請を行う際、設置している設備の型番などの情報を求められることがあります。内見の際に厨房機器のメーカーと型番を把握しておくとよいでしょう。

一式渡しとは、居抜き物件の造作について残置物を含めてまとめて譲渡するというものです。しかし中には不要なものが含まれていることも多く、その場合、撤去や処分に費用がかかります。特に大型の機器については、不要なものを処分してもらう事や、有償での譲渡であれば撤去費用分の減額を交渉することも検討しましょう。

店舗をとりまく環境は?そもそも前の店舗の撤退理由は?

店舗は立地が重要なのは言うまでもありません。物件を確認する際には、物件そのものだけでなく、交通アクセス、駐車スペース、周辺の客層、人の流れなど、周辺環境の確認も必要です。周辺情報については市区町村が発表している町別人口情報など、公開されている調査データを調べることはもちろん、平日と週末、昼と夜などタイミングを変えて自分の目で確認することも重要です。

近隣の競合店についても情報収集しておきたいところです。どんな商品やサービスを提供しているのか、どんな客層かなど、店舗ごとの特徴について調べておきましょう。商圏に関する情報や競合情報は、不動産会社に確認するほか、商圏情報を提供しているサービスを利用するのも便利です。店舗情報サイトの中には商圏情報や近隣の競合情報を提供しているサービスもありますので活用するとよいでしょう。

また前の入居者が同じ業種だった場合、どんな店舗だったのかに加えて、いつごろどんな理由で閉店したのか撤退理由も確認しておきたいところ。不動産会社の担当者や近隣からヒアリングしておくと良いでしょう。店舗経営を行う上での注意点や、開業するにあたって想定しておくべきリスクを事前に把握できるかもしれません。

確認事項を事前に整理したうえで、条件にマッチする物件を見極めよう

居抜き物件は店舗の開業を考えている方にとって魅力的な物件です。それだけにいい条件の物件は競争も厳しく、あっという間に入居者が決まってしまいます。気になる物件を見つけた時に、効率よく確認を行い適切な判断を行えるよう、確認事項を事前に整理しておきましょう。

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