飲食店を開業するための段取り。物件探し、営業許可申請、開店準備まで

ラーメン屋、居酒屋、焼き鳥屋、小料理屋、焼き肉屋、カフェ、スイーツショップ、バー、スナック…など、飲食店での開業を考えるのであれば知っておきたいのが、開業するまでの段取りです。物件探し、融資の受け方、必要な営業許可、広告の方法など、開業までの流れを押さえておきましょう。

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まずはどんなお店にするか、事業計画を立てよう

飲食店を開業するにあたってまずはしっかり考えておきたいのが、お店のコンセプトです。なにを提供するのか、ターゲットはどんな層か、座席数はどのくらいにするか、お店のこだわり・特徴はどんなものか、営業時間はどうするか…など、コンセプトを明確にすると、どんな物件を借りるか、資金はどのくらい必要か、など条件が決まってきます。

コンセプトは「事業計画書」としてまとめるのがおすすめです。事業計画書の書き方は書籍などでも紹介されていますし、WEB上にテンプレートも無料で公開されていたりしますので、参考にすると良いでしょう。また、事業計画書を書いておくと、のちのち金融機関に融資の相談をする際にも使えます。

飲食店は立地が重要!上手な物件探しのコツ

店舗のイメージがある程度固まってきたら、物件探しを始めましょう。物件を探す際は、おおまかなエリア、家賃の上限、希望の広さといった条件を決めておくと良いでしょう。店舗情報を専門に扱うサイトに情報がまとまっているので、希望の条件で絞り込みます。

店舗物件を探す際に押さえておきたいのが、居抜き物件(居抜き店舗)。居抜き物件とは、前の店舗の内装や設備といった造作が残ったままの物件のことです。残された造作がそのまま活用できるため、初期費用が低く抑えられる上に開業までの準備期間も短縮できることもあって飲食店の開業を考える方に人気です。ただし、残された造作の状況は物件によって様々なので、店舗内の状態をしっかり確認する必要があります。また内装工事や設備費用などがどのくらいかかるのかを見積り、コスト面も確かめておきましょう。

住居と違い、店舗の場合はアクセスの良さ、人の流れ、周辺環境、店舗の入りやすさなど、集客が期待できる物件かどうかも重要な決め手となります。実際に自分で足を運んだり、不動産会社や周辺の人にヒアリングを行ったりして確かめておきましょう。また、商圏データを提供するサービスを利用するのも良いでしょう。

初期費用はいくら必要?資金計画と調達方法

最初に立てた事業計画も、物件の候補が絞られてくると、家賃や光熱費などのコストや、席数に応じた売上計画などがより具体的になります。このタイミングで事業計画をふたたび練り直します。また、初期費用として必要なコストや当面の運転資金など、開業時に用意しておきたい金額が見えてきます。

店舗の開業には一般的に、初期費用に加えて半年分の運転資金を用意しておくと良いとされていますが、全額を貯蓄などの自己資金でまかなえる人は稀でしょう。貯蓄もいざというときのために取っておくほうが無難ですから、多くの場合は金融機関に融資を受けることになります。

金融機関にはまず電話で融資の相談をしたい旨を伝えてアポを取り、事業計画と融資希望額を伝えます。借りる予定の物件情報、内装工事費用や設備費用の見積り、本人の略歴、これまでの収入や保有する資産の情報、本人確認書類など、必要となる書類が伝えられますので、早めに準備をしましょう。

金融機関や保証協会の仮審査を経て、借入予定額や借入条件などが提示されます。開業に向けて、提示された内容で進められると判断したら、物件の契約や工事の依頼などを行い、いよいよ店舗づくりがスタートします。なお、実際の融資は本審査を経てからとなります。実際に支払いが発生するものについては、早まらず融資の審査結果を受けてから進める必要があります。

もし予定していた金額を融資してもらえない場合などは、計画の見直しが必要になります。たとえば店舗の規模を小さくする、機材を最小限に抑えるといったコスト削減や、提供する商品やサービスを見直して売上計画を再度練り直すなど、見切り発車にならないよう常にしっかりと計画を立てて臨みましょう。

提供するものによって異なる飲食店営業に必要な許認可

飲食店を開業するには、営業許可が必要となります。飲食店の場合、基本的には保健所から飲食業営業許可を受ける必要があります。営業許可を受けるには、物件が飲食店の運営に適した間取り、設備になっているかの検査が行われます。具体的な基準が決められているので、地域の保健所のwebサイトなどで確認しておきましょう。

居抜き物件であれば一度許可が下りた物件だから大丈夫と思いがちですが、設備などの基準が変更になっていることがあるため、いまの基準に合致しているかの確認をしておく必要があります。内装工事を行うのであれば、店舗工事の実績がある会社に頼むと安心です。

もし店内での提供だけでなく、パンやケーキ、お弁当など、店内で作った飲食物を販売したいと考えている場合は、製造販売の許可が別途必要になることに注意が必要です。飲食物の製造販売許可は、製造するものによって細かく分類されています。たとえばパンやケーキであれば菓子製造業許可、冷凍したものを販売するには冷凍食品製造業許可が必要になります。

店舗の工事をした後に基準を満たしていないことがわかると、工事費用が追加でかかったり、最悪の場合、計画していた事業ができなくなることもあります。自分が計画している事業を行うのには、どんな許認可を受ける必要があるか管轄の保健所に事前に確認し、さらには工事前の設計図で確認してもらうことをおすすめします。

また店舗を営業する際には、保健所の許可だけでなく消防署による確認も必要です。こちらも工事に入る前に、合わせて管轄の消防署に確認しておくと安心です。

備品や消耗品の準備、仕入先、会計方法…店舗の運営ルールを決める

飲食店であれば、食べ物を作るための厨房や調理器具の準備だけでなく、お客さんに料理を提供する際の食器類や、おしぼり、割り箸などの消耗品、洗剤などの日用品など、さまざまなものが必要になります。こうしたものはWebショップでの購入や、業務用の卸売販売店を利用するのも良いでしょう。ひとつひとつは低額でも、大量に利用するものはなるべくまとめて安価に調達したいものです。

また、食材の調達先として市場や卸売店などを探しておきます。通常は都度現金払いが一般的ですが、契約によっては月ごとの支払いにしてもらえる場合もあります。お米やお酒などは配達してくれる業販店と契約することがほとんどです。特にお酒を出す飲食店の場合、生ビールやロックアイスなど、必要なものをすぐに届けてもらえる酒販店との付き合いは重要です。

人を雇う場合は、求人広告を載せたり、ハローワークに登録するなどして募集を行います。その際、事前に労働基準監督署への届出が必要となります。また、いつ、何人の体制でお店をまわすのかも決めておく必要があります。

新規の開業にあたって、個人事業主として運営するのか、法人を設立するのかも決める必要があります。法人の場合は定款の作成や、法務局への法人登録などが必要です。また設立には登録免許税など費用もかかります。個人事業主として運営する場合も、開業から1ヶ月以内に税務署への届け出が必要になります。

店舗を経営すると、毎年の確定申告が必要になりますので、しっかりとお金の管理や記録を行わなければなりません。お金の管理には会計ソフトを利用するケースが一般的です。特に開業前にはなにかと出費が多いので、準備段階からしっかり記録する体制をつくりましょう。

Web、SNS、広告…情報発信の準備も抜かりなく

保健所、消防署の許可も下りる目処がたち、店舗の工事も終わり、設備も入り、いよいよオープンが見えてきました。しかし、お店を開店したからといってすぐにお客さんが来てくれるわけではありません。お店の開店を告知し、多くの人に知ってもらう必要があります。

情報発信で代表的なものはメディアへの広告掲載です。新聞の折込チラシや、ローカル誌への広告、テレビやラジオのCMなどに加えて、最近ではインターネット広告もよく使われています。インターネット広告の場合、検索ワードに連動して検索結果欄に情報を掲載するリスティング広告や、SNSで特定のターゲット(エリアや年齢層など)に絞って表示させるターゲティング広告などさまざまあり、低コストで始めることができます。

広告効果を高めるためには、営業時間、メニュー、店内の様子、お店のこだわりなど、店舗の情報が掲載されたWEBサイトがあることが望ましいです。テンプレートを選んで写真や文章を入れるだけで簡単にWebサイトが作れるサービスなどもあります。もちろん見た目にこだわってWeb制作会社に依頼するのも良いでしょう。

その他、地図情報サイトやクチコミサイトに店舗情報を掲載したり、SNSに投稿するなど、無料でできる情報発信方法もさまざまあります。また、チラシやショップカードを用意して周辺に配布したり、近隣のお店に置いてもらうなど、地道な宣伝活動も効果があると言われています。

特に店舗を開業してからですと、なかなか忙しくて情報発信に時間をかけることが難しくなりますし、開店前に準備しておけばオープンしたときの見込み客の獲得にもつながるので、事前準備のひとつとして情報発信についても計画しておきましょう。

おおまかなスケジュールをイメージして準備しよう

飲食店を開店するまでに行うことはこのようにたくさんあります。まずは事前にやることをリストアップし、いつどんなタイミングで手をつけるか、オープンしたい日が決まっているのであれば逆算していつから準備を始めればいいかを考えて、計画を立てておくとよいでしょう。

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