スナック、バーをオープンする際の段取り!物件、内装、許認可などを解説
お酒が好きな人なら自分のこだわりを存分に生かしたバー、接客が得意な人ならお酒とトークで楽しく盛り上げるスナックと、夜間にお酒を提供するお店の経営は魅力的がいっぱい。一般的に少し前までは古くさいイメージがあったスナックも、地域コミュニティを作る場所として再注目されています。しかしお酒を提供する店舗の開業には、通常の飲食店とは異なるルールがあります。スナックやバーを開業する際の注意点を見ていきましょう。
スナックやバーは飲食店。開業には許可が必要
スナックやバーは飲食店に分類されます。営業するには飲食店としての営業許可を保健所から受ける必要があります。スナックやバーは呼び分けがされていますが明確な区分があるわけではありません。
飲食店として開業するためには、調理スペースとお客さんが飲食するスペースが扉などで区切られていることや、調理場やトイレに手洗い場を設けていることなどの基準があります。定められた基準の中でも、特にスナックやバーは、店内の明るさの基準に引っかかるケースが多いといわれているので、照明器具が基準を満たす明るさになっているか確認しておきましょう。その他、グラスなどの食器を収納するための棚などを用意する必要があります。詳しくは飲食店営業の許可を受けるための店舗の基準を確認しましょう。
スナックやバーを開業する際の物件は、以前別の人が借りていた店舗を居抜きで借りるケースが多いようです。居抜きとは前の店舗の内装や設備などの造作が残っている物件で、飲食店営業の許認可が降りる作りになっていることが多いはずですが、基準はたびたび見直しが行われています。店舗を借りる際には、現行の基準を満たしているかどうか、満たしていない場合は基準を満たすための改装などにどのくらいコストが掛かりそうなのかを確認しましょう。
通常の飲食店と異なるのは、警察への届け出が必要な点
スナック、バーの開業で通常の飲食店と異なるのが、警察への届出が必要となる場合があるという点です。食事を中心に提供する飲食店と違い、主にお酒を提供するお店の場合、深夜0時を過ぎてお酒を提供する場合は「深夜酒類提供飲食店」として警察に届出を行う必要があります。バーやスナック以外でも、居酒屋などお酒の提供がメインとなる場合は、同様に深夜酒類提供飲食店として届出が必要です。
深夜酒類提供飲食店として営業する場合、建物の内装にも特別な基準が設けられています。たとえば、
- 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けてはいけない
- 客室が複数のときの客室あたりの床面積は9.5平方メートル以上でなければいけない
などです。
見通しを妨げる設備としては1mを超える観葉植物や間仕切りなどが該当する可能性があります。特に間仕切りはコロナ対策として設置したものが透明ではないものだと、見通しを妨げる設備とみなされる可能性がありますので注意が必要です。間仕切りだけでなく、高さが1m以上ある椅子も見通しを妨げる設備とみなされる可能性があります。
深夜酒類提供飲食店と風俗営業の違いも把握しておこう
接待を伴う営業を行う場合、深夜酒類提供飲食店ではなく、風営法に基づく接待飲食店営業(風俗営業)の許可を警察から受ける必要があります。ここで言う接待とは、営業活動などでお客様をもてなすことではなく、お店側がお客様に対して行う行為のことを指します。
風営法で接待とみなされるものとして、たとえば、
- 特定のお客様の近くにくっついてお酌や会話をすること
- カラオケを進めたり、一緒に歌ったり、褒めたりすること
- お客様と一緒にゲームなどをすること
- ダンスやショウを見せること
などが挙げられています。特にカラオケを設置しているスナックやダーツバーでは、もし深夜酒類提供飲食店として営業するのであれば、ここでいう接待にあたるような行為をしないようにしなければなりません。
風俗営業の場合、24時以降の営業ができないことにも注意が必要です。深夜酒類提供飲食店の届け出を行いその範疇で営業するのか、風俗営業の許可を受けるのかを決め、それに基づいた店舗づくり、営業ルールをしっかり守るようにしましょう。
酒販店は頼れる味方!スタッフ採用も大切
開業までの準備は内装や厨房機器などハード面、保健所や警察署への許認可だけではありません。人が集まる繁盛店になるには、提供するメニューのラインナップや、一緒に働いてもらうスタッフの選定が大切です。
お酒のメニューはビール、ウイスキー、カクテルなど、お店のこだわりや雰囲気に合わせて準備します。特にお祝い事の際にはシャンパンボトルなども準備したいもの。しかし原価も高額ですし仕入れは躊躇しますよね。そんなときに頼りになるのが酒販店。急にボトルのオーダーが重なった、注文を受けたウイスキーがなかった、氷を切らしてしまった…そんなとき仕入先の酒販店が電話一本ですぐに持ってきてくれます。開業前にどの酒販店からお酒を仕入れるかを決め、開業前に顔合わせをしておきましょう。
スタッフも集客を左右する大切な要素。知り合いや仲間で始める場合はよいですが、もし新規で雇う場合は一緒にお店を運営する仲間として信頼できる相手かをしっかりと見定めましょう。なお深夜酒類提供飲食店では従業員名簿の設置が義務付けられていますので、スタッフを雇う際には必ず用意しましょう。
店舗を経営する上でのトラブルの中にはスタッフによる金銭の持ち出しや物品の窃盗といったことも起こりうるものです。そうしたトラブルを未然に防ぐためにも、またお客様とのトラブルを避けるためにも、最近では店内に防犯カメラを設置するケースが増えています。なお、防犯カメラを設置する場合、設置していることを明示することが決められている地域があります。その他、金銭管理はなるべく電子決済を導入し、記録が残るようにしておくと金銭トラブルの防止につながります。
ルールをしっかり把握して、楽しく安全なお店作りを
スナックやバーのような夜間にお酒を提供するお店を開業するには、このようにさまざまなルールがあります。またお酒が絡む場所ではトラブルも発生しやすくなることも考えられます。ルールを把握し、しっかり守った上で、トラブルへの対策も事前に講じておき、楽しく安全なお店づくりをしましょう。
参照元一覧
- https://www.mhlw.go.jp/content/000772317.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/000772318.pdf
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122
- https://www.city.taito.lg.jp/kenkohukusi/kenkokikikanrieisei/food/syokueihou/sisetukijun20210601.html
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122#Mp-At_33
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360M50400000001
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122
- https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20180130.pdf
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122#Mp-At_13
- https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000122#Mp-At_36