ラーメン屋を成功させるには?具体的な開業の流れや開業資金の相場などについて解説
ラーメン作りは独学でも取り組みやすいため、未経験者の参入も多いです。しかし参入ハードルが低い分、競合も増えやすいので、開業前にラーメン屋での修行などを通じて失敗要因を減らしておくことが欠かせません。今回の記事では、具体的な開業手順や成功のポイント、仕入れ先の選定、コンセプト設計など、ラーメン屋運営で押さえるべき点を解説します。
ラーメン屋の主な開業手段は2つ
ラーメン屋を開業する主な手段は以下の2パターンです。
- フランチャイズへの加盟
- 個人で独立
いずれの方法にも、メリット・デメリットの両方があるため、自分の性格や目標年収などを考慮してマッチするほうを選びましょう。
フランチャイズへの加盟
ラーメン屋はフランチャイズを展開しているケースも多いため、「いきなり個人で開業するのは不安」という人は活用しましょう。
フランチャイズであれば、ラーメン作りや経営ノウハウなどを1から指導してもらえるため、経営の失敗リスクを軽減できます。資金サポートも受けられるため、自分で多額の開業資金を準備する手間も省けるでしょう。フランチャイズであれば本社のブランド力も借りられるため、味をきちんと引き継げればファンを集客できる可能性もあります。経営面・資金面・集客面という3つの点でリスクを軽減できるのは、フランチャイズならではの強みです。
ただし、手厚いサポートを受けられる分、加盟金やロイヤリティを本部に支払う必要があります。加盟金やロイヤリティの額はフランチャイズによってさまざまです。フランチャイズの中には、加盟金を安く設定しロイヤリティも無料としているケースがあるため、事前にチェックしておきましょう。
ただし、中には「ロイヤリティを受け取っておきながら教育が手抜き」というラーメン屋もあります。支払い後に後悔しないよう、評判も事前に調査しておいたほうがよいでしょう。
個人で独立
ラーメン屋は、他の飲食業と比較して「独学で学びやすい」と言われています。もちろん、努力せずに誰でもできるほど簡単ではありません。とはいえ、ラーメンの作り方はある程度オペレーションを組みやすいため、営業自体は自分ひとりでも始められます。
メニューの作りやすさだけでなく、「座席数が少なくても始められる」という点もラーメン屋を開業する魅力でしょう。従業員を雇わなければ、毎月の売り上げの大半を自分で獲得できるため、収入も一気に上げられます。
ただし「ラーメン屋の開業ハードルが低い」ということは、競合の増えやすさも意味しています。競合のラーメンが自分のお店より美味しければ、集客は困難です。とくにフランチャイズのような、ブランド力を持つラーメン屋に個人が集客力で勝つのは難しいかもしれません。
しかも従業員を雇わなければ、自分が体調不良などで厨房に立てない場合、お店の営業自体が止まります。フランチャイズであれば従業員も雇いやすいため、自分が休んでも売り上げは作りやすいです。
個人での開業は、大きな売り上げを作りやすい反面、集客や経営面でフランチャイズよりリスクは大きいでしょう。
個人で開業する場合はラーメン屋での修行も検討する
個人でラーメン屋として1から開業する場合は、まずは数年程度、他のラーメン屋で修行することも検討しましょう。
ラーメン屋を個人で開業する場合、以下のような業務をすべてひとりでこなす必要があります。
- 物件調査
- 仕入れ先の選定
- メニュー作り
- ラーメン作り
- マニュアル作り
- 日々の仕込み
- 従業員の採用
- ラーメン屋開業に必要な各種届出の申請
- 経理
毎日ラーメンを作りながら、上記のような雑務周りもすべてこなすのは大変です。ラーメン作りという未経験分野に飛び込むだけでも大変なのに、経営面まで手探りで考えるのは、体力的・精神的に厳しいでしょう。
ラーメン屋で修行を積めば、開業手順や経営に必要なノウハウを現場で勉強できます。個人で独立しているラーメン屋で働けば、「立地の選び方」「開業時に必要な手続き」「内装への考え方」「メニュー作りのコツ」など、店主の体験をもとに具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
上記の加えて、ラーメン業界を一度経験しておけば、仕入れ先などでコネクションを作れる可能性もあります。事前に仕入れ業者とつながりを持っておけば、開業後に材料を調達する目処も立てやすいでしょう。
開業前に失敗要因をつぶすためにも、一度ラーメン屋での修行も検討すべきです。
ラーメン屋の開業資金目安は1,500〜2,000万円
ラーメン屋の開業資金は坪数によっても異なりますが、20坪前後(15席分程度)の店舗を構える場合で「1,500〜2,000万円」程度は必要になると考えておきましょう。
開業資金の主な内訳は以下の2つです。
- 初期費用
- 運転資金
初期費用
初期費用としては、主に以下の項目が発生しやすいです。
- 物件取得費用:150〜300万円程度(家賃半年〜1年分程度の保証金、敷金礼金、不動産への手数料等)
- 内装や外装の工事費用:500〜700万円程度
- 厨房の設置費用:200〜300万円程度
- 食器や調理器具などの備品費用:100〜200万円程度
具体的な金額については、物件の家賃や内装への凝り具合などによっても変動するため、あくまでも目安として捉えておきましょう。ラーメン屋であれば、設備としてグリストラップ(排水に含まれる油脂や生ゴミを分離して下水へ流さないようにする装置)がほぼ必須です。
運転資金
ラーメン屋を開業してからしばらくの間は、赤字が続く可能性も高いです。赤字期間を乗り越えられるように、半年程度の運転資金も準備しておきましょう。
運転資金としては、主に以下の項目が発生しやすいです。
- 家賃
- 光熱費
- 広告宣伝費
- 材料費:原価率の目安は30〜35%程度
- (従業員を雇う場合)人件費:月間売り上げの20〜30%が目安
- (フランチャイズの場合)本部へのロイヤリティ
毎月の運転資金については、「従業員の有無」「食材へのこだわり」「仕込み時間による光熱費の変動」などが関係するため、具体的な金額は算出しにくいです。実際に運営する際は、上記の項目など複数の費用を参考にしながら、自分の店舗に必要な運転資金を算出しましょう。
ラーメン屋の開業手順
ラーメン屋を開業する際は以下の手順を意識しましょう。
- コンセプトを定める
- 事業計画を作成する
- 開業届を提出する
- 店舗の立地を決める
- 資金を調達する
- 資格の取得や必要な書類の届出を行う
- メニューを決める
- 仕入先を決める
- 内装・外装の工事を行う
- 規模に応じて従業員を採用する
- 集客施策の運用・改善を行う
1.コンセプトを定める
ラーメン屋に限らず、お店の開業前に必ずコンセプトを設計しましょう。
ラーメン屋は、他の飲食店と比べて「ひとりで運営しやすい」「独学でもラーメン作りを学びやすい」などの理由によって、参入ハードルが低いです。参入ハードルの低さから競合店も増えやすいため、コンセプトを定めて差別化を図ることが大切です。
コンセプトが定まればお店のメニューが決まり、ラーメン作りでこだわるべき部分も見えてくるでしょう。メニィーの中にこだわりが見えれば、競合店よりも目を引く「売り」を作りやすいです。
2.事業計画を作成する
コンセプトを決めたら事業計画書を作成しましょう。ラーメン屋のコンセプトを明確しておくと、必要なメニューや座席数、内装の雰囲気、立地なども決めやすくなり、開業までにやるべき計画を見通せます。
事業計画を作成する際は、収支や見込み客数などを具体的な数値レベルまで落とし込みましょう。数値的に明確な計画を立てておけば、想定外の事態が起きた際に軌道修正もしやすく、具体的な達成度合いを把握できます。
もし融資による資金調達を予定しているなら、事業計画が具体的であるほど「経営の見通しが立っている」と判断され、審査を通過しやすくなります。
3.開業届を提出する
原則として、ラーメン屋を開業してから1ヶ月以内には提出しましょう。
開業届の提出が遅れる(あるいは提出しない)場合でも、とくに罰則はありません。しかし、開業届を提出しておくことで、「青色申告による税額控除」「屋号付きの銀行口座開設」という恩恵を受けられます。
詳細は「開業届は必ず提出しよう」の項目で解説しています。
4.店舗の立地を決める
店舗の立地は、ラーメン屋の集客数を決めるうえで重要な要素です。店舗のコンセプトも考慮しつつ、最もふさわしい場所を選びましょう。
立地を選ぶ際は、以下のような要素を参考にするとよいです。
- 住民の年齢層
- 近隣施設の種類や数
- 家賃額
- 周囲の競合ラーメン屋の数
- 店内の広さ
- 内装・外装の雰囲気
お店のコンセプトを決めると、ターゲットが定めり立地も選びやすいです。例えば「忙しい会社員向けにボリューミーなラーメンを提供する」のでれば、ビジネス街への出店を検討するとよいでしょう。
物件の内見時は、施工業者にも同行してもらうと具体的な工事の相談もしつつ立地を決定できます。
5.資金を調達する
ラーメン屋の開業には、席数にもよりますが1,500〜2,000万円程度の資金が必要です。場所の家賃や内装工事費、設備導入費などを考慮して、開業に必要な資金を用意しましょう。
資金の調達方法としては、以下の3つが考えられます。
- 自己資本で用意する
- 金融機関からの融資を受ける
- 身近な人から借金をする
数百〜数千万円単位の資金を自己資本や周囲からの借金で賄うのは、現実的に厳しいかもしれません。多くの場合は融資を受けることになるでしょう。
融資を受ける場合は、各機関の審査に合格する必要があります。審査の合格基準は各機関で若干異なりますが、基本的には事業計画書をチェックされて「経営の見通しはあるか」を判断されます。上記の物件探しまで完了させておくことで、毎月の支出も明確になり、より具体的な計画まで落とし込めるでしょう。
6.資格の取得や必要な書類の届出を行う
ラーメン屋に限らず、飲食店の開業には「食品衛生責任者」の資格が必須です。食品衛生責任者を取得し、店舗工事の着工前に図面を確認してもらい、衛生管理面で問題がなければ「飲食店営業許可証」が交付されます。
食品衛生責任者資格の取得には、栄養士や調理師、製菓衛生師など、別途で指定の資格取得が必要です。しかし、各都道府県が開催している「養成講習会」を受講することでも取得できます。具体的な取得条件については「一般社団法人東京都食品衛生協会」の公式サイトをご覧ください。
店舗の収容人数が30人を超える場合は「防火管理者」の資格が必要です。資格を取得する際は、「都道府県知事・市町村の消防長・日本防火防災協会」のいずれかが開催する防火管理講習を受講しましょう。具体的な取得条件については「一般財団法人日本防火・防災協会」の公式サイトをご覧ください。
他にも、深夜帯(午前0〜6時)に酒類を販売するのであれば、別途「深夜酒類提供飲食店営業開始届」も必要です。
7.メニューを決める
メニューについては、お店のコンセプトを参考にすると決めやすいです。例えば「女性向けヘルシーラーメン」と「学生向けのガッツリラーメン」では、メニューの方向性が異なります。メニューの方向性を判断できれば必要な材料もわかるため、仕入れ額などの支出も算出できるでしょう。
8.仕入先を決める
メニューが決まれば必要な材料も判断できるため、仕入れ先の選定に役立ちます。
メニューの材料は、お店のこだわりを体現できる部分です。業務用スーパーなどから材料を仕入れれば、確かに支出は抑えられますが、お客さんにアピールできる「売り」を作りにくいため集客数にも影響します。仕入れ先を選定する際は、コストとのバランスを考えつつ、お店のコンセプトを体現できる材料が手に入るかを意識しましょう。
仕入れ先の選定については「ラーメン屋の開業時は仕入れ先の選定が重要!」という項目で詳しく解説しています。
9.内装・外装の工事を行う
内装・外装工事についても、お店のコンセプトに合わせて実施しましょう。テーブルや椅子、食器など、備品もコンセプトを意識することで、来店したお客様に一貫したお店のイメージを与えられます。
もしも、お店の雰囲気に沿っている「居抜き物件」があれば活用してみましょう。居抜き物件であれば、物件が以前に所有していた設備や内装・外装を引き継げるため、初期費用を安く抑えられます。
10.規模に応じて従業員を採用する
開業段階から人手が必要な場合は、採用活動も実施しておきましょう。従業員を雇うことで席数も増やせますし、現場を完全に任せるレベルまで教育できれば、自分は経営面に集中できます。
採用活動は、オープン1ヶ月前くらいを目安に行いましょう。早すぎると辞退されるかもしれません。反対に遅すぎるとオープンに間に合わないことがあります。
11.集客施策の運用・改善を行う
開業したら、リピーターを増やせるように集客施策の運用・改善を継続しましょう。オープンしたばかりの段階では、物珍しさからお客様も訪問しやすいですが、何も手を打たなければ徐々に客足は遠のきます。
味で満足させることはもちろん、チラシ・SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)・HPなどを駆使して、新規顧客を呼び込む工夫を継続させましょう。
開業届は必ず提出しよう
開業届については、原則としてラーメン屋を開業してから「1ヶ月以内」に最寄りの税務署へ提出しましょう。
開業届は「提出が遅れた」「そもそも提出しない」という場合でも、とくに罰則はありません。しかし、開業届の提出によって税制上の優遇措置を受けやすくなるため、特別な理由がない限りは提出しておきましょう。
開業届を提出すると「青色申告承認申請書」も申請できるため、自身の所得から最大で65万円を控除(2023年1月時点)できます。ラーメン屋は開業時の初期投資がある程度かかりますし、毎月の運転資金も必要です。ラーメン屋の経営が安定するまでは赤字の可能性もあるため、税制上の優遇措置を受けられたほうがよいでしょう。
税制優遇を受けられるだけでなく、屋号付きで銀行口座を開設できるようになるため、世間的な信用も獲得しやすくなります。食材の仕入れ先や不動産など企業相手と取引する場合、個人名よりも屋号を出したほうが相手からの印象をアップさせやすいです。もちろん個人でも丁寧に仕事をする人はいますが、世間的には屋号や法人名があると信用されやすいでしょう。
ラーメン屋の開業時は仕入れ先の選定が重要!
ラーメン屋を開業する際は、仕入れ先を慎重に選定しましょう。
ラーメン屋を運営するうえでは、他店との差別化を図るために、お店のコンセプトに決めてメニューを作ることが重要です。例えば「自家製麺にこだわる」「産地直送の肉を使ってチャーシューを作る」「スープのダシには必ず決まった産地の魚を使う」などが挙げられます。
メニューのコンセプトはお店の「売り」にも直結するため、自身のこだわりを実現できる仕入れ先を選定することが重要です。費用の安さだけを見て適当に仕入れ先を選定すると、自身のこだわりをラーメンに反映できません。例えば、近所の業務用スーパーであればコストは抑えられますが、味へのこだわりを追求することは難しいです。
一方で、仕入れにコストをかけすぎると原価は上がるため、価格も高くせざるを得ないでしょう。「原価が厳しいので別の仕入れ先を使う」ということになれば、お店の味を求めて訪れていた常連客を逃してしまうかもしれません。
仕入れ先を選定する際はお店のこだわりも大切にしつつ、毎月かけられる材料費との兼ね合いも考え、メニュー作りに活かせる相手と契約することが大切です。
修行経験があると仕入れ先の人脈を作りやすい
上記で解説したように、ラーメン屋を経営するうえで仕入れ先の選定は重要です。
開業前にラーメン屋で修行をしておけば、お店で付き合いがあった仕入れ先とのコネクションを築けます。コネクションを築いた状態でお店を開業できれば、取引先を探す手間も省けますし、昔からの顔馴染みということで仕入れ費用を割引してくれるかもしれません。付き合いのある仕入れ先なら、自分のこだわりを理解したうえで、よい品を優先的に卸してくれる可能性もあります。
スキルと経験を獲得するためだけでなく、よい仕入れ先を見つける意味でもラーメン屋の修行を考えるのもよいでしょう。
ラーメン屋の運営において大切なポイント
ラーメン屋を開業させて経営を軌道に乗らせるには、以下のポイントを押さえることが大切です。
- お店のコンセプトを明確に定める
- 集客を見込める立地に店を建てる
- お店の「売り」を明確にする
- 資金計画を細かく立てる
- 採用に力を入れる
- 回転率を考慮する
お店のコンセプトを明確に定める
ラーメン屋の開業前に、必ずお店のコンセプトを決めておきましょう。
コンセプトはラーメン屋を経営するうえで軸となる部分です。運営コンセプトによって、メニュー作りや店舗の立地、内装の雰囲気、価格設定、ターゲティングなども変わります。
例えば以下3パターンのコンセプトでは、それぞれで必要なメニューの材料やふさわしい立地、内装の雰囲気などがまったく異なることがわかるでしょう。
- 女性向けにヘルシー路線のラーメンを提供する
- 会社の休憩時間を過ごす会社員向けにガッツリメニューを提供する
- ファミリー連れが楽しく過ごせる雰囲気を提供する
提供メニューが異なれば調達する材料の原価率も変動しますし、ターゲットに合わせて立地も変えなければなりません。
コンセプトが明確であれば競合店との差別化要因にもなるため、集客にもつなげやすくなります。参入者が多いラーメン業界で生き残るために、他店との違いを押し出すことは必須です。
上記のように、コンセプトを決めることで多くの事柄が決まっていくため、必ず最初に設定しておきましょう。
集客を見込める立地に店を建てる
ラーメン屋に限らず、飲食店経営において立地は重要です。どれだけこだわりのラーメンを作っても、客が訪問しにくい立地に店舗があると(根強いリピーターがいる場合を除いて)なかなか集客できません。立地を選ぶ際は、例えば「駅前のオフィスビル街」「大きな幹線道路沿い」「周囲に飲食店の少ない立地」など、集客を見込める場所を選択しましょう。
とはいえ、集客が見込める場所には、競合が入り込んでいる可能性もあります。競合店がいる場所に漠然と出店しても集客は見込めないため、お店のコンセプトも絡めつつ慎重に検討しましょう。例えば「多少駅から遠い立地でも材料にこだわった質の高いラーメンを提供しリピーターを増やす」など、お店のコンセプトも活用しながら場所を選ぶこともできます。
お店の「売り」を明確にする
ラーメン屋は参入ハードルが低い分、競合店舗も多いです。競合が多い中で単なる美味しいラーメンを販売しても集客しにくいため、アピールできる「売り」を明確に打ち出しましょう。
例えば「濃厚ドロドロなコッテリスープを提供する」「競合よりも圧倒的に質の高い自家製麺を使う」「ヴィーガン向けのヘルシーラーメンを提供する」などです。「売り」を明確にし競合との差別化を図ることで、多少立地が悪くてもお店のラーメン求めてリピーターや観光客などを集客できる可能性もあります。
お店の「売り」を明確にする際は、上記で解説したコンセプトも参考にして考えましょう。
資金計画を細かく立てる
ラーメンを作る際、コンセプトやこだわりによって、材料費をかけるポイントは異なります。例えばスープにこだわるのであれば、スープの材料やダシにかけるコストが大きくなるでしょう。麺の質にこだわるのであれば、麺作りに費やすコストを増やさなければなりません。
上記以外にも、「お店の広さ」「従業員の有無」「店舗の家賃」など、多くの要素によって必要な資金は変動します。資金額が変動しやすいため、「自分が作るラーメンではどのくらいの資金が必要か」を重視して計画を立てましょう。
先ほどの資金の部分でも解説したように、ラーメン作りでは個人のこだわりに応じてコストが変動しやすいです。自分に必要な金額を細かく算出しておかないと、赤字になるケースもあるので注意しましょう。
採用に力を入れる
ラーメン屋はひとりでも運営できます。しかし、ひとりで回せる席数は限られるため、売り上げの限界が訪れるのも早いです。席数を増やし売り上げを伸ばしたいのであれば、積極的に従業員を採用しましょう。
採用に力を入れる場合、ラーメン作りのオペレーションを事前に固めておきます。ラーメン作りはある程度オペレーションを統一しやすいため、マニュアルを作成できれば教育しやすいです。お店の売り上げ範囲内で適切な時給を決めて、どのような教育体制を整えるかまで決めておくと失敗しません。
「開業初日から従業員を雇いたい」という場合は、オープン日の1ヶ月前を目安に求人を出しましょう。早すぎると辞退されるおそれがありますし、遅すぎるとオープンに間に合わないかもしれません。
回転率を考慮する
ラーメン屋を運営するうえでは、回転率を意識することが重要です。
居酒屋の場合は、ひとりあたりの支払いが5,000円前後になることも多いため、長時間滞在されても売り上げを伸ばしやすいです。一方でラーメンは1杯1,000円前後のケースが多く、長時間滞在されると次の客を呼び込めず思うように売り上げが伸びません。
とくにランチ・ディナーのピーク時に長時間滞在されてしまうと、せっかくのお客さんを逃すことになります。ランチ・ディナーの回転率を上げて、ピーク時の売り上げを作ることを意識しましょう。例えば、ピーク時は酒類をメニューから外して「ラーメンだけを食べてサッと退店する」という状況を作ることも効果的です。
一方でピーク時以外は、もともとの来店数が少ないので、回転率を下げて「あの店は繁盛している」という印象も与えることも考えましょう。例えば「雑誌やマンガを設置する」「替え玉無料にする」などの施策を打つことで、回転率が下がり店内の客数をある程度確保できます。
他の飲食店にはないラーメン屋ならではの開業メリット
飲食店の種類は無数にありますが、「ラーメン屋ならではの開業メリット」としては以下が挙げられます。
- 飲食業の中でも比較的低資金で始めやすい
- 未経験でも挑戦できる
- フランチャイズならサポートを得ながら独立できる
飲食業の中でも比較的低資金で始めやすい
ラーメン屋は比較的低資金でも始めやすい業種です。席数が少ない店舗ならひとりでも運営できるため、人件費をかけずに始められます。路地裏などの狭い店舗で運営すれば、より家賃や初期費用を抑えられるでしょう。仮に、多少立地が悪くても、ラーメンにこだわりがあり他店と差別化できていれば、集客できる可能性は十分あります。
未経験でも挑戦できる
ラーメン作りについては、ある程度オペレーションが整っていることもあり、飲食業界未経験でも参入しやすいです。もちろん自分のお店ならではの工夫は必要ですが、基本のラーメンなら独学でも十分作れます。
調理師免許も不要であるため、「脱サラして自分のお店を持ちたい」「ラーメンがとにかく好き」という人でも熱意があれば始められるでしょう。
フランチャイズならサポートを得ながら独立できる
ラーメン屋はフランチャイズも多いため、無理に個人で開業する必要はありません。フランチャイズに加盟すれば、本部のサポートを得ながら安全に独立できます。資金面や経営面のアドバイスを受けられますし、本社のブランド力も借りられるため、集客面で失敗することもほぼありません。
ただし、フランチャイズの場合は加盟金や毎月のロイヤリティが発生するケースも多いため、事前にどれほどの支払いがあるかはチェックしておきましょう。
ラーメン屋を開業する際のデメリット
ラーメン屋の開業には魅力が多いですが、以下の点には注意しましょう。
- 競合が多い
- 自分の時間を大きく削る可能性が高い
競合が多い
ラーメン屋は未経験者でも参入しやすい反面、競合も増えやすいため要注意です。フランチャイズの数も多いため、単純に美味しいだけのラーメンでは生き残れない可能性もあります。
競合に勝って来客数を増やすには、自分の店舗ならではの「売り」を持つことが必須です。例えば「ワンコインでハイクオリティなメニューを提供する」「材料を厳選したラーメンを作る」などが考えられます。
自分の時間を大きく削る可能性が高い
ラーメン屋は、席数によっては自分ひとりでも運営できます。しかし、自分の稼働が増えれば自由時間は減るため、プライベートを削る必要はあるでしょう。
自分の時間を削りたくない人は従業員の雇用も検討すべきです。とはいえ、開業してしばらくは自分が厨房で仕事をしなければ回らないため、いきなり「完全に人任せ」ということはできません。
開業前にラーメン屋で修行するのであれば、お店で働きつつ就業後は自分で勉強する必要があります。独立してもスープの仕込みで何時間も厨房に居続けることもあるため、自分の時間を削れる情熱がないとラーメン屋の経営は厳しいでしょう。
ラーメン屋の開業で失敗しないためのコツ
ラーメン屋の開業には、メリット・デメリットの両方があります。なるべく失敗要因を減らすには、以下の点を意識しましょう。
- 居抜き店舗も活用する
- 修行してから開業する
- メニューを増やしすぎない
居抜き店舗も活用する
可能であれば居抜き物件を活用しましょう。
居抜き物件とは、以前使われていた部屋の内装や施設を引き継いだ物件を指します。もし以前の物件がラーメン屋であれば、厨房やカウンターなどの設備を引き継げるため、厨房設置費用や内装費用などを節約できます。以前の物件がラーメン屋でなくても、飲食店であれば近しい設備を引き継げるでしょう。
ただし、居抜き物件を使うと内装の雰囲気も引き継いでしまいます。雰囲気がコンセプトに合わないと集客にも影響を与えるため、居抜き物件を活用する際は注意しましょう。
修行してから開業する
独学で学んでもラーメン屋として開業することは可能です。しかし、実際にラーメン屋で修行し経営ノウハウやラーメン作りのコツなどを把握しておいたほうが、独立後に不要な失敗を避けられます。
本やインターネットでも勉強はできますが、現場を経験している店主に直接「立地の選び方」「仕入れ先の選定」「差別化の作り方」などを直接質問したほうが成長は早いです。名前が知られている有名店で修行すれば、開業後にブランド力もつけられます。
メニューを増やしすぎない
メニューが多すぎると材料費や設備費も膨らむため、経営が難しくなります。とくに開業したての段階は、ラーメン作りや経営面でも慣れないことが続くでしょう。経営が安定するまでは、メニューを限定したほうが自身の負担を減らせます。
メニューを減らせば材料を厳選する余裕が生まれるため、こだわりのメニューも追求しやすいです。こだわりのメニューがあれば、お店の売りとしてもアピールしやすいでしょう。
修行期間を設けるなどして開業の失敗可能性を下げることが重要!
ラーメン業界は未経験でも参入しやすい分野です。脱サラして自分のお店を持ちたい人にとっても魅力的でしょう。開業資金がかなり必要となりますが、居抜き物件のTempodas(テンポダス)では、豊富な物件数が自慢です。ラーメン屋を開業するのにも、ぜひ役立つでしょう。
とはいえ、参入ハードルが低い分、競合も多くなりがちです。競合へ打ち勝つには、お店のコンセプトを明確にして他店に負けないラーメン作りに励むことが欠かせません。可能であれば、開業前にラーメン屋で修行を行い、実際の現場で調理をしたり経営ノウハウを学んだりしてから独立するとよいでしょう。