マツエクサロンの開業手順は?必要な資格や準備すべき資金、失敗を避けるポイントについて解説

マツエクは需要の高まりが予測される業態であり、原価率もあまり高くありません。必要な資格を保持し開業資金を確保できれば、大きな利益を見込める可能性もあります。

もちろん魅力的な業種である反面、競合も多いため開業時は他店との差別化ポイントを打ち出すことが必須です。今回の記事では、マツエクサロンの開業手順や必要な資格、準備すべき資金の内訳などについて解説します。

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需要が高いマツエクサロンを開業するのは戦略として有効的

マツエクとは、専用グルー(接着剤)で人工まつ毛を装着し、自分のまつ毛を長く見せる技術を指します。まつ毛を長く見せて目元をボリュームアップすることで、化粧と同じように見た目の印象を整えられます。

マツエクを含めてアイメイク関連の市場規模は年々拡大しており、ホットペーパービューティーアカデミーの調査によると「943億円程度」という結果になりました。しかも2022年は、アイビューティーサロンの女性利用率が過去最高の「9.3%」となっています。コロナ禍でマスクを装着する機会が増え、目元のオシャレに気を遣う人が増えたといえるでしょう。

目元をオシャレにする需要の高まりを考えると、マツエクの市場規模が拡大する可能性は高いです。需要の高いマツエクサロンを開業して売り上げを伸ばす、というのは戦略として有効的でしょう。

マツエクサロンオーナーの仕事内容について

マツエクサロンをひとりで開業する場合、施術はもちろん、以下のように幅広い仕事を行う必要があります。

  • 帳簿付
  • 事務
  • 集客施策の考案
  • 機材のメンテナンス
  • 清掃
  • 備品の調達
  • 役所への各種届出の提出
  • 接客

経営面も自分で取り組むため、マツエクの施術スキルだけがあっても成功するのは難しいでしょう。店舗経営に集中するため、スタッフを雇用し施術は任せるという手段もあります。

オーナーが無資格であっても、実際に施術するスタッフが資格を保持していれば問題ありません。とはいえ、オーナー自身も施術の知識を持っていたほうが、スタッフとの連携は取りやすいです。

年収目安は600万円であり原価率も低い

マツエクサロンオーナーの年収は「600万円程度」と言われています。一般的な理美容関係の年収は「240万円程度(月額21万5,700円をもとに計算 *平成27年時点)」であるため、オーナーになれば大きく年収を伸ばせます。

参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査の職種別賃金額」

年収を伸ばしやすい要因としては「原価率(施術に必要な経費の割合)の低さ」が考えられます。マツエクサロンは、原価率が低いと言われるビジネスです。原価率が「5〜10%程度」になることも多く、経費があまり発生しません。価格設定にもよりますが、施術1回あたり100〜300円程度の経費があればOKです。ひとりで開業するなら人件費も不要であるため、さらに年収を上げやすいでしょう。

ただし、雇用される側ではない以上、オーナー間で年収に差は生まれやすいです。オーナーはお店を自由に扱える分、経営面を疎かにすると年収は下がるでしょう。

なお、マツエクサロンは原価率が低く市場規模も大きい業界であるため、競合も増えやすいです。マツエクサロンを開業する際は、後述する「お店のコンセプト」「立地選び」などを意識して、差別化要素を打ち出しましょう。

マツエクサロンの具体的な開業手順

マツエクサロンを開業する際の具体的な手順は以下の通りです。

  1. コンセプトを決める
  2. 事業計画を策定する
  3. 施術スタッフを見つけておく
  4. 物件を決める
  5. 資金調達を行う
  6. 必要な備品を揃える
  7. 内装・外装を工事する
  8. 保健所に届出を提出する
  9. 保健所の検査を受ける
  10. 開業後に集客施策の運用・改善を行う

開業手順には、絶対のルールはありません。しかし、開業までにはやるべき内容が山積みであるため、以下の手順を参考にすると方向性で迷わないでしょう。

1.コンセプトを決める

他店との差別化要素を決めるために、まずはコンセプトを定めましょう。

先ほども解説したように、マツエクサロンは原価率が低く市場規模の拡大が予測される業態です。競合が多い市場で来店者を増やすには、他店にはない「差別化要素」が必要です。

差別化要素を決めるポイントのひとつが、お店のコンセプトです。コンセプトが決まると経営の方向性も明確になり、以下の要素についてお店ならではの選択をできます。

  • 施術メニュー
  • 店内の雰囲気
  • 価格設定
  • 出店場所
  • 備品

2.事業計画を策定する

コンセプトを策定したら、事業の全体像を把握できる計画書を作成しましょう。事業内容や収支計画などを視覚化することで、現実的な経営の見通しを立てられます。

事業計画書には、以下のような内容を記載することが多いです。

  • 創業メンバーの情報
  • コンセプト
  • 事業内容
  • 競合や市場調査の結果
  • 提供するメニュー
  • 収支計画
  • 従業員の雇用計画
  • 広告戦略
  • 具体的なスケジュール

資金調達を予定している場合は、必ず事業計画書を作成しましょう。資金調達の際は、事業計画書の内容をもとに金融機関が将来性の有無を判断して、融資の可否を決定するためです。

事業の将来性に説得力を持たせるためにも、収支計画や戦略などは具体的な数値まで落とし込んで記載しましょう。

3.施術スタッフを見つけておく

必要に応じて施術スタッフを採用しましょう。

マツエクサロンを開業する際は、必ず施術スタッフが美容師免許を保持しなければなりません。もともとは美容師免許なしでも施術できましたが、事故の多発により免許の保持が義務化されました。

オーナー自身に免許がなければ、保持者を雇用し施術を担当してもらえばOKです。ただし、免許の保持者がスタッフのみである場合、万が一施術スタッフが全員辞めた際に営業を継続できません。可能であれば、オーナー自身も美容師免許を保持しておいたほうが安心です。

4.物件を決める

マツエクサロンの開業場所としては、主に以下の2つが考えられます。

  • テナントを借りる
  • 自宅で開業する

テナントは家賃が高くなりがちですが、店舗用として比較的自由に内装工事などがしやすいです。自宅で開業する場合、家賃はかかりませんが「サロン開設の要件に該当するか」などの確認が必要になります。

詳しい内容は、後述の「マツエクサロンの開業場所はどこがいい?」をご覧ください。

5.資金調達を行う

物件も決まり、事業計画書の作成によって今後の取り組みも決まっているはずです。ある程度、開業の目処がついたら資金調達を実施しましょう。

資金調達の方法としては、主に「自己資本で賄う・金融機関から融資を受ける・周囲から借金する」という方法が考えられます。

自己資本であれば返済義務もないため、最終的な負担額は軽減できます。しかし、開業に必要な数百万円単位のお金を自分で準備するのは大変です。借金についても、返済が滞れば周囲の人物との関係性を壊しかねません。

上記を考慮すると、短期間で多額の資金を集めるには「資金調達の実施」が現実的です。資金調達の際は、金融機関の審査をクリアする必要があります。先ほど解説した事業計画書を作成して、経営の見通しを具体的に説明する準備をしておきましょう。

可能であれば、資金調達前に開業場所を決めておくと、事業が前進している印象を与えられるため、審査に通りやすくなります。

6.必要な備品を揃える

マツエクサロンに必要な備品の例としては以下が挙げられます。

  • 施術に使う消耗品類(人工まつげ、グルー、ツイザー、コットン、リムーバー、プライマーなど)
  • スクリューブラシ
  • 施術用ライト
  • 施術用ベッド
  • 施術用の椅子(スツール)
  • 家具類(カーテン、テーブル、ソファー、鏡など)
  • 好みのインテリア
  • 加湿器
  • 消毒液
  • タオル

マツエクに使う消耗品は、万が一不足すると施術できないため十分な量を補充しておきましょう。

7.内装・外装を工事する

内装・外装工事の際も、お店のコンセプトを意識しましょう。例えば「異国情緒あふれる店内」というコンセプトであれば、見合う雰囲気を意識した内装にすることが大切です。

上記で解説した家具やインテリアについても、お店のコンセプトを体現できる品物を選ぶとよいでしょう。インテリアショップなどで探すと、雰囲気に合う備品が見つかるかもしれません。

8.保健所に届出を提出する

マツエクサロンを開業する場合は、各種届出の提出が必要です。具体的には、以下2つの書類を準備しましょう。

  • 美容所開設届(保健所へ提出)
  • 開業届(税務署へ提出)

とくに美容所開設届を提出しなければ、マツエクサロンを開業できないため要注意です。詳細については、後ほど「マツエクサロン開業に必要な届出」で解説します。

9.保健所の検査を受ける

美容所開設届を提出したら、保健所の検査を受けましょう。各自治体でマツエクサロン開業に必要な条件(設備・スペースの広さ・壁の材質など)が定められているため、必ず事前にチェックしておきます。条件を満たせていない項目があると、せっかくスタッフ集めまで成功しても開業できません。

具体的な要件等については、後ほど「美容所開設届」の項目と合わせて解説します。

10.開業後に集客施策の運用・改善を行う

マツエクサロン開業後は、集客施策の運用と改善を実施しましょう。

マツエクサロンに限らず、美容系のお店は需要が高いため競合も増えやすいです。開業してから策を打たなければ、お客様を他店に取られてしまうでしょう。

集客施策の方法としては以下が考えられます。

  • SNS(Instagram・Facebook・Twitterなど)
  • チラシ配り
  • HP作成
  • 割引券クーポンの配布
  • ポータルサイトへの登録
  • 地元の雑誌への掲載
  • 広告出稿

ホットペーパービューティーのような無料のマガジンは、手に取るハードルも低く知名度も高いため、お店の認知度を広げやすいです。Instagramに写真を掲載して、若年層にアプローチすることも有効的でしょう。

お店のコンセプトも考慮しつつ、適切な手段で集客することが大切です。

マツエクサロンの開業には美容師免許が必要

マツエクサロンを開業する場合、施術スタッフは「美容師免許」の取得が必須です。無免許での施術は美容師法違反に該当するため、必ず取得しましょう。

参照:厚生労働省「まつ毛エクステンションの危害」

美容師免許取得までの流れは以下の通りです。

  1. 厚生労働大臣が指定する「理容師養成施設」あるいは「美容師養成施設」を卒業する
  2. 養成施設卒業後に、理容師美容師試験研修センターが開催する国家試験を受験する
  3. 国家試験合格後に名簿登録申請を行う

具体的な内容については「理容師・美容師免許の取得まで」をご覧ください。

なお、美容師免許が必要なのは、あくまでも「施術を行う人」です。「オーナーは経営に専念して別途で免許保持者を雇用する」ということであれば、オーナー自身は美容師免許を持たなくても問題ありません。

施術スタッフ(アイリスト)が2人以上の場合は管理美容師も必要

店舗内に美容師免許を持つ施術スタッフが2人以上在籍する場合、少なくともひとりは「管理美容師」の資格保持者が必要です。オーナー自身が施術をする際も、人数にカウントします。

管理美容師の資格を取得するには、規定の講習会への参加が必要です。受講資格を付与されるのは、以下の2点に該当する人物です。

  • 美容師免許を取得して3年以上業務に従事している
  • 免許の写しおよび3年以上業務に従事した証明書を提出できる

具体的な要件等については、「理容師美容師試験研修センター」の公式サイトをご覧ください。

スキルアップのために民間資格の取得もアリ

必須ではありませんが、スキルアップを目的として以下のような民間資格を取得するのもよいでしょう。

  • 日本まつ毛エクステンション認定機構主催の技能検定試験
  • JEA(日本アイリスト協会)の各種ライセンス
  • 国際アイスタイリスト協会の認定試験

マツエクサロン開業に必要な届出

マツエクサロンの開業には、以下2つの届出が必要です。

  1. 美容所開設届
  2. 開業届

美容所開設届

美容所開設届は、店舗所在地にある保健所へ提出しましょう。提出後に店舗への立入検査が実施され、各自治体の安全・衛生基準をクリアしていれば、美容所確認証の交付によって営業が許可されます。

検査基準は各自治体で若干異なるため、事前にチェックしておきましょう。参考までに、東京都千代田区では以下のような基準が設けられています。

  • 床や腰板にはコンクリートやタイル、リノリューム、板等不浸透性材料を使用する
  • 作業室の床面積は「13㎡以上」とする
  • 作業室面積13㎡内に置ける理容イスは3台まで(美容イスは6台まで)とする
  • 消毒済物品容器および未消毒物品容器を備える
  • 採光や照明は、作業面照度で100ルクス以上とする
  • 客待ち場所の面積は、作業室面積の1/6相当とする

参照:千代田区「理容所・美容所の開設」

検査完了までには時間がかかるため、余裕を持って開業の2週間程度前までに提出するとよいでしょう。

開業届

店舗を開業したら、原則として1ヶ月以内に開業届を税務署まで提出しましょう。

開業届については美容所開設届と異なり、提出が遅れたり未提出だったりする場合でも、罰則等はありません。ただ、開業届を提出しておくと「屋号付きの銀行口座を作れる」「最大65万円の税額控除を適用できる」などのメリットを受けられます。特別な事情がない限りは、提出しておいたほうがよいでしょう。

マツエクサロンの開業場所はどこがいい?

マツエクサロンの開業場所としては、主に以下の2パターンが考えられます。

  • テナントを借りる
  • 自宅で開業する

店舗の立地場所は、集客やお店のコンセプトにも関わる重要な要素です。家賃も考慮しながら、自分のお店にマッチする場所を選びましょう。

テナントを借りる

出店と聞いてまず思い浮かぶのは「テナントを借りる」というパターンでしょう。テナントを借りる場合は、駅前やビジネス街など人通りが多く、集客も見込める場所を選びやすいです。お店のターゲットが訪れやすい場所にある物件を選ぶと、より効果的に集客できます。

テナントの場合は、比較的自由に改装できる点も魅力的です。お店のコンセプトに合わせた雰囲気を作り出せれば、集客もしやすいでしょう。

ただし、集客を見込める場所を探せる分、家賃は高くなりがちです。とくに駅前やビジネス街など人通りが多い場所は、家賃相場も上がりやすいでしょう。

自宅で開業する

「自宅でマツエクサロンを開業する」というのもひとつの手です。自宅で開業すれば家賃はかからないため、一般的な物件契約時に発生する保証金などの初期負担を減らせます。

ただし、自宅が賃貸の場合、店舗利用を認められていないケースもあります。無断で店舗利用をすると大家や不動産会社とのトラブルになるため、事前にチェックしておきましょう。もしも店舗利用が認められていないのであれば、SOHO物件(居住メインにしつつ事業にも使える物件)の契約も検討すべきです。

とくに注意すべきなのは、自宅が「サロン開設の条件を満たしているか」という点です。マツエクサロンの開業前には、部屋の面積や設備などについて保健所の審査をクリアしなければなりません。単なる居住用として契約した物件の場合、要件をクリアしていない可能性もあります。自宅で開業する場合は、必ず審査基準を満たしているか確認しましょう。

マツエクサロン開業資金は2〜300万円が目安

マツエクサロンを開業する際は、目安として「2〜300万円程度」の資金が必要です。家賃や内装費用の影響も受けるため、場合によっては600万円ほどに膨らむ可能性もあります。振り幅が大きいため、2〜300万円を目安としつつ「自分の場合はどれほど必要か?」を細やかにシミュレーションしておきましょう。

開業資金としては、以下のような項目が必要になります。

  • 物件取得費用
  • 内装・外装費用
  • 施術に必要な道具の費用
  • 広告宣伝費用

物件取得費用

物件取得費とは、初回の物件契約時に必要な保証金を指します。家賃の半年〜1年程度の金額を支払うことが一般的です。家賃額にもよりますが、100万〜300万円程度の費用が発生すると考えておきましょう。

自宅で開業する場合、物件取得費用は発生しないため負担を大幅に軽減できます。ただし、費用負担が少ないという理由のみで自宅開業を選択すると、集客面で不利になるかもしれません。予算との兼ね合いも考えながら、適切な物件を選びましょう。

内装・外装費用

内装・外装は、お店のコンセプトに大きな影響を与えます。必要に応じて、自分が求めるコンセプトのインテリアや家具も揃えましょう。インテリアショップなどをチェックすると、お店の雰囲気にマッチする品物が見つかるかもしれません。

内装・外装費用についても、コンセプトによって変動しますが20万〜100万円程度を準備しておくとよいでしょう。「自宅で開業して内装にはあまり費用を割かない」という選択肢もありです。

ただし、内装にこだわるあまり、保健所の審査基準から外れる内装やレイアウトにならないよう気をつけましょう。

施術に必要な道具の費用

施術に必要な備品としては主に以下が挙げられます。

  • 施術に使う消耗品類(人工まつげ、グルー、ツイザー、コットン、リムーバー、プライマーなど)
  • スクリューブラシ
  • 施術用ライト
  • 施術用ベッド
  • 施術用の椅子(スツール)
  • 消毒液
  • タオル

マツエクは原材料費があまり高くないため、10万円程度を目安に準備するとよいでしょう。

広告宣伝費用

安定した集客のためには、広告宣伝費用も必要です。美容専門クーポンマガジンへの登録やHP作成などを活用して集客しましょう。

SNSも活用すれば、費用をかけず集客できる可能性もあります。とくにInstagramの利用率は「10代:72.3%」「20代:78.6%」と高いです。マツエクサロンは若年層の利用を見込めるため、有効活用できると集客コストを削減できます。

参照:「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の69ページ

開業後の運転資金も準備しておこう

開業資金だけでなく、経営が安定するまでの運転資金も準備しておきましょう。

当然ですが、開業してすぐにお店が黒字になるとは限りません。オープンしてしばらくは人件費や家賃などで赤字期間が続くでしょう。赤字期間を乗り切るためには、以下のような運転資金の準備も必要です。

  • 電気代
  • 光熱費
  • 家賃
  • 人件費
  • 消耗品の費用

トータルで約半年分の運転資金があると安心できます。

マツエクサロンの開業・運営費用を抑える方法

マツエクサロンの開業には多額の資金が必要です。とくに物件関連の費用は、大きな負担となるでしょう。なるべく負担を抑えたい場合は、以下の方法も検討してみてください。

  • 居抜き物件を活用する
  • 可能なら自宅で開業する

居抜き物件を活用する

居抜き物件とは、以前まで使われていた物件の内装や設備を引き継いで契約する物件のことです。内装や設備を引き継げるため、初期工事や設備導入にかかる費用を軽減できます。

ただし、以前の内装や設備を引き継ぐと、お店の雰囲気まで似てしまう点は注意が必要です。また、マツエクサロン開設にあたって必要な設備基準を満たしていない物件の可能性もあります。

自分のお店のコンセプトに沿っているかを考慮しつつ、軸から大きくブレない居抜き物件があれば活用してみましょう。

可能なら自宅で開業する

自宅で開業すれば家賃はかかりません。物件取得費用も発生しないため、数百万円単位で初期コストを抑えられるのは魅力的です。

ただし、自宅で開業する際は「事業用として使えるか」「保健所の審査基準を満たせるか」という点を必ず確認しましょう。

助成金の活用も検討する

上記以外にも、助成金を活用することもオススメです。助成金の中には、開業者の負担を軽減してくれる制度もあります。各助成金で対象要件や経費は異なるため、自身のお店が該当するかをチェックしておきましょう。

主な助成金制度としては以下が挙げられます。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • 創業補助金
  • キャリアアップ助成金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が経営計画を見直して販路開拓や生産性向上に向けた施策を実施する際、発生する経費の一部を支援する制度です。助成金制度は6タイプに分類されており、お店の状況に合わせた枠を利用できます。

補助限度額通常枠:50万円賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠:200万円インボイス枠:100万円
補助率原則、2/3
助成対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費等

具体的な内容は「小規模事業者持続化給付金」の公式サイトをご確認ください。

創業補助金

東京都中小企業振興公社が運営している制度です。都内で創業予定、あるいは創業後5年未満の中小企業であれば助成金を受け取れます。

なお下記の情報は、すでに募集を終了している2022年度第2回の募集要項をもとにまとめています。

補助限度額上限:300万円下限:100万円
補助率助成対象経費の2/3
助成対象経費賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、人件費等(助成期間中に契約〜支払いまで完了したものに限る)

具体的な内容は「創業助成金」の公式サイトをご覧ください。

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者(有期や短時間、派遣など)に対して、正社員化や処遇改善のための取り組みを実施した事業主を支援する制度です。従業員へ実施した施策に応じ、以下7つから該当のコースを選び助成金を受けられます。

  1. 正社員化コース
  2. 障害者正社員化コース
  3. 賃金規定等改定コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 賞与・退職金制度導入コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース
補助限度額正社員化コース:有期から正規への切り替えた場合、「57万円/人」を助成賃金規定等改定コース:有期雇用者の賃金規定等を2%以上増額した場合、「3,200円/人」を助成賃金規定等共通化コース:有期雇用者について正規雇用者との共通職務等に応じた賃金規定を新たに適用した場合、「57万円/事業所」を助成Etc
補助率各コースで定められている
助成対象経費各コースで定められている

具体的な内容は「キャリアアップ助成金」の公式サイトをご覧ください。

マツエクサロン開業で失敗しないための注意点

マツエクサロンの開業時は、多額の資金確保だけでなく保健所の審査もクリアする必要があります。さまざまな面で失敗せず開業するには、以下の点に注意しましょう。

  • 届出の求める基準を確実に満たす
  • 開業日に間に合うよう美容所開設届を提出する
  • 施術スタッフを早めに採用しておく
  • 他のサロンとの差別化を図る
  • 集客施策に力を入れる

届出の求める基準を確実に満たす

マツエクサロンは規模や出店場所に関係なく、審査に通過しなければ開業できません。せっかく資金やスタッフなどを確保できても、審査に通らなければ努力が水の泡となります。

審査基準を満たせる物件を探し、内装工事の際も「どれくらいまで自分の思い通りにできるか?」というラインを見極めましょう。

開業日に間に合うよう美容所開設届を提出する

マツエクサロン開業前の審査については、結果が出るまで1〜2週間程度かかります。オープン予定日直前に審査を行うと、開業に間に合わないどころか、審査すら通らないかもしれません。必ずオープン日までに余裕を持って申請しましょう。

施術スタッフを早めに採用しておく

マツエクの施術スタッフは、必ず美容師免許を保持しなければなりません。免許を取得するには「養成施設を修了する」という要件があるため、取得のハードルは高いです。「サロンを開業するから来月までに免許を取得しよう」という気持ちでは取得できないため、早い段階で従業員を雇用しておきましょう。

他のサロンとの差別化を図る

コロナ禍でマスク着用が増加した影響もあり、目元をオシャレにするマツエクサロンは需要が高まっています。需要が高まる業界は参入者も増えやすいため、競合との差別化を図らなければお客様からは選ばれにくいです。

競合との差別化を図るには、お店のコンセプトを定め「価格設定」「店内の雰囲気」「立地」などで他社との違いを打ち出すことが欠かせません。

集客施策に力を入れる

サロン開業後は集客施策にも力を入れましょう。オープン当初はお試し感覚で来店する人も多いですが、何も手を打たなければいずれ客足は遠のきます。

集客する際は、お店のHPやポスティング、SNS運用、クーポンマガジンへの登録などを活用しましょう。とくにSNSは、無料でターゲット層にリーチできる可能性も高いため、積極的に取り入れたいところです。露出を増やすために、地域雑誌への広告出稿なども活用できます。

マツエクサロン開業時は保健所の基準を確実に満たそう!

マツエクサロン開業時は、多額の資金を確保したり資格を取得したりなど、取り組むべき内容が山積みです。とくに保健所の審査をクリアできなければ、今までの準備が無駄になることもあります。

今回紹介した開業までのステップも参考にしながら、開業時のハードルを確実にクリアする準備をしておきましょう。Tempodas(テンポダス)では、居抜き物件を多数とり扱っています。マツエクの開業の際にも、ぜひお尋ねください。