【未経験向け】花屋を開業するのに必要な資格・資金とは

花屋はお祝いごとや、特別なイベントなどにおけるお花のプレゼント等で大活躍します。花屋におけるお花は、インテリアやプレゼントなど日常生活を豊かに彩るアイテムとして親しまれています。そのようなお花を取り扱う花屋は、たくさんの人に喜んでもらえる仕事といえるでしょう。そこで花屋の開業に必要な費用はどれくらいなのか、準備や開業のためのポイントを注意点と合わせてみていきましょう。

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花屋の開業に必要な資金

花屋の開業に必要な資金のポイントとなるのは、おもに次の2点が挙げられます。

  • 初期費用
  • 運営資金

それぞれ順番に解説します。

初期費用

花屋の開業に必要な初期費用は、約200〜1000万円です。初期費用は花屋の規模や販売スタイルによっても異なるため、金額の幅が大きくなっています。なお、花屋の開業の初期費用の目安は以下の通りです。

項目金額
物件費用約100~300万円
内装・外装工事費用約100~5000万円
什器設備費用約50~150万円
広告宣伝費約5~50万円
車両費用0~約200万円
合計約200~1000万円

花屋は花の種類の多さが重要です。さまざまな種類の花を店内に揃えるには、約20~30坪の物件が必要です。花に関しては日持ちしないため、母の日や冠婚葬祭等のイベント以外では大量販売できません。さらに、約20~30坪ほどのコンパクトな店舗にさまざまな種類の花が並んでいるほうがお客様の視覚的にも華やかです。また、花の品質を保つためのフラワーショーケースや日差しに弱い花のためのロールスクリーンも用意する必要があります。なお、花屋を開業してすぐはお客様も少ないため、チラシなどによる宣伝も大切です。他にも花の仕入れや配達のための車両を用意しておく必要もあるでしょう。

運営資金

花屋の開業に必要な運営資金は、1ヶ月あたり約50~100万円であるといわれています。しかし、運営資金は花屋の売上や規模によっても異なるため、花屋に合わせた運営資金の確保が重要です。なお、運営資金の目安は以下の通りです。

項目金額
店舗の賃料約10~30万円
花の仕入れ費用約30万円
資材費用約10万円
人件費約10~20万円
広告宣伝費約10~20万円
合計約50~100万円

店舗の賃料や広さや立地によっても異なりますが、約20坪ほどの花屋の場合でも賃料は月額約10~30万円ほどにはなるでしょう。また、花の仕入れ費用は売上の約30%であるといわれています。しかし、花の販売方法や花屋のコンセプトによって金額は変わります。さらに、花のラッピングやプレゼントリボンなどの資材費用も必要でしょう。花の管理にはテープやスポンジなどさまざまな費用もかかります。

花屋を開業した時の売上シミュレーション

花屋を開業した時の売上シミュレーションは、以下の通りです。

年間営業日320日
客数/日40人
平均客単価3000円
年商3850万円
月商10万円

花屋の売上は1年を通して大きく変化します。花屋によっては、母の日などイベント時だけで1年間の売上の約半分を計上している店舗もあります。また、お盆やお彼岸、お葬式用の花を中心に販売している花屋もあるでしょう。そのため、花のトレンドや時期、花屋の人気商品などを把握した経営が重要です。

花屋を開業したら儲かるのか?

花屋を開業した場合の損益シミュレーションは、以下の通りです。

項目金額
売上3850万円
売上総利益1585万円
販売費1460万円
人件費1000万円
店舗賃料200万円
減価償却費60万円
営業利益130万円

花屋を開業して失敗の可能性を低くするためには、花の仕入れや資材、人件費などのロスを少なくすることが大切です。また、経費や初期費用のコストカットをおこなうのも重要でしょう。

花屋を開業するメリット

メリットの部分は特に強く推していく

高収入が狙える点と理想のお店を作ることができる点について強調

花屋を開業するメリットは、おもに次の3点が挙げられます。

  • 開業のハードルが低い
  • 高収入を狙える
  • 理想のお店を作れる

それぞれ順番に解説します。

開業のハードルが低い

花屋は開業のハードルが低いのが大きな特徴です。飲食店や美容院などとは異なり、資格を持って開業する方もいるものの、必ず所持しておくべき資格はないので開業のハードルが低いです。花屋は特に特別な資格も必要ありません。花さえ仕入れれば店舗運営できるため比較的、誰でも簡単に開業できます。また、ネットショッピングによる花の販売の場合は店舗を用意する必要もなく、注文に応じて花を仕入れればいいため廃棄などのロスもありません。

高収入を狙える

花屋は高収入を狙える可能性も十分あります。冠婚葬祭をメインにしている花屋の場合、月間の売上が約300万円に到達することも珍しくありません。また、日常生活における花を大切にすることをコンセプトとして普段、花を購入しない主婦や若い世代にも花に興味を持ってもらって売上を増やしている花屋もあります。そのため、花屋は店舗コンセプトや経営戦略によって高収入を狙える職種といえるでしょう。

理想のお店を作れる

花屋は自分自身が理想とするお店を作ることもできます。花屋はさまざまな職種のなかでも、センスや理想がお店に反映されやすいといえるでしょう。仕入れる花の種類やディスプレイ方法によってもお店の雰囲気が変わるため、理想のお店を作りたい方にはおすすめかもしれません。また、花屋の経営が上手くいけば、フラワーアレンジメント教室も開けます。

花屋を開業するデメリット

花屋を開業するデメリットは、おもに次の2点が挙げられます。

  • シーズンの移り変わりが早い
  • 鮮度が落ちる前に売りきらないといけない

それぞれ順番に解説します。

シーズンの移り変わりが早い

花屋を開業するうえでは、シーズンの移り変わりが早いというのがデメリットの1つです。母の日やお彼岸、ひな祭りなど花にはイベントに合わせたシーズンが存在します。花屋ではこれらのイベントに合わせて花を仕入れて、イベントシーズンが終了するまでに花を販売しなければなりません。他の職種であれば繫忙期は約2~3ヶ月ほど続くことが多いですが、花屋だと約2~3週間で繁忙期は終わってしまいます。そのため花屋の場合、短期間で花を販売する必要があります。しかし、逆にいえばイベントシーズンを確実に押さえられれば、売上も大きく伸びるといえるでしょう。

鮮度が落ちる前に売りきらないといけない

花屋は、花を鮮度が落ちる前に売りきらないといけません。花の種類にもよりますが、花は生ものですので日持ちしないものがほとんどです。そのため、花を仕入れたら状態のいいあいだに販売する必要があります。鮮度が落ちてしまった花は廃棄しなければならないため、経費の無駄になります。しかし、花の仕入れ量を確実に管理したり、ドライフラワーなども商品として取り入れることで鮮度の問題は解決できるでしょう。

花屋を開業するための8ステップ

花屋を開業するための8つのステップは、以下の通りです。

  • コンセプトを設定する
  • 事業計画を立てる
  • 資金を調達する
  • 物件を探す
  • 店舗の内外装や設備の導入
  • 仕入れルートを確保する
  • 宣伝広告を行う
  • 開業

それぞれ順番に解説します。

ステップ1:コンセプトを設定する

花屋を開業する場合、どのような店舗にしたいのかコンセプトを決定しましょう。花屋の客層や利用シーンを細かく設定することで、店舗の立地や花の種類等も決まってきます。花屋のコンセプトがはっきりしないとターゲットがはっきりせず、効率的に集客できない可能性があるため注意が必要です。

ステップ2:事業計画を立てる

コンセプトを設定したら次は、花屋の事業計画を立てましょう。店舗物件の確保や内外装工事、什器設備導入のための資金や店舗の賃料、人件費、仕入れ費用などの花屋の運営資金などがどれくらい必要になるのかを計画します。事業計画は融資を受ける際にも重要になるため、詳細で現実的な事業計画を立てるようにしましょう。

ステップ3:資金を調達する

自己資金のみで花屋の開業や運営が難しい場合は、資金を調達することを検討する必要があります。なお、資金を調達する方法は、おもに次の2点が挙げられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 制度融資

それぞれ順番に解説します。

日本政策金融公庫

資金を調達する方法としては、日本政策金融公庫がよく利用されています。日本政策金融公庫については融資条件のハードルも比較的、低いため初めて開業や独立をおこなう方には適しているといえるでしょう。

制度融資

自治体による制度融資や補助金、助成金を利用した資金調達方法もあります。しかし、自治体の制度融資だと実際に融資が決定するまでに時間がかかるケースも多いため、制度融資を利用する場合は事前に十分な準備が必要でしょう。

ステップ4:物件を探す

事業計画の立案や資金調達とともに進めておきたいのが、物件探しです。自分自身が理想とする花屋の条件に合った物件が見つからないことも多いため、早めに探しておくようにしましょう。自宅兼花屋として開業する手段もあるので、店舗にかかる費用をおさえたい場合は検討してみるといいかもしれません。なお、物件を探すうえでのポイントは、おもに次の2点です。

  • 人目につく1階がおすすめ
  • 小さめの物件がおすすめ

それぞれ順番に解説します。

人目につく1階がおすすめ

花屋を開業する場合、人目につく1階に店舗を確保するのがおすすめです。人目につく1階の店舗であれば商品となる花を店先に並べることもできるため、お客様へのアピールにもなります。

小さめの物件がおすすめ

花屋を開業した当初は比較的、小さめの物件がおすすめです。花屋の開業にはさまざまな初期費用がかかります。経営が安定するまでは運営資金も必要になるため、小さめの物件からスモールスタートするのも1つの手段でしょう。

ステップ5:店舗の内外装や設備の導入

店舗物件が決定したら、設定したコンセプトや開業資金の予算に合わせて内外装工事や什器設備の導入をおこないます。花屋としての理想ばかり追求してしまうと、予算内におさまらない可能性もあるため注意が必要です。

ステップ6:仕入れルートを確保する

花屋の店舗準備と並行して、花の仕入れルートの確保もおこないましょう。なお、仕入れ先の種類は、おもに次の3つが挙げられます。

  • 仲卸業者
  • 市場
  • 生産者

仲卸業者であれば市場取引価格よりは仕入れ値が高くなるものの、10本単位で花を仕入れることができます。珍しい花や特定の少数注文が入った場合には仲卸業者から花を仕入れると無駄がないでしょう。また、市場での花の仕入れは比較的、安価で花を仕入れることができますが、100本などケース単位での大量仕入れが必要になります。市場で花を仕入れるためには、事前に市場に保証金を支払わなければなりません。生産者からの花の仕入れでは、仕入れ値も安くなり、品質も高いです。しかし、仕入れの数や生産者への営業など花屋を開業した当初には大変なことも多いでしょう。

ステップ7:宣伝広告を行う

花屋の店舗準備がある程度、進んだら宣伝広告の準備もしましょう。花屋のオープンをお知らせするためのチラシや、ホームページ制作などおこなえる宣伝広告は多々あります。

ステップ8:開業

ここまでのステップにおいてすべての準備が終わったら、いよいよ開業です。なお、開業に必要な書類手続きは、おもに次の2つが挙げられます。

  • 開業届
  • 青色申告申請書

それぞれ順番に解説します。

開業届

花屋を開業する際は、開業届の提出が必要です。開業届は税務署に開業を申請するための書類です。開業届は出来る限り1ヶ月以内に提出するようにしましょう。

青色申告申請書

開業届を提出することで、確定申告時に所得税の優遇がある青色申告を申請できるようになります。そのため、節税をおこないたい方は必ず、開業届を提出するようにしましょう。開業届の提出が遅れてしまうと青色申告を申請できなくなってしまうこともあるため、注意が必要です。

花屋の経営に役立つスキルや資格

花屋の開業には基本的に資格は必要ありません。しかし、資格を持っていることで花屋の経営に役立つスキルや他の花屋との差別化やブランディングをおこなえます。なお、花屋の経営に役立つスキルは、おもに次の3つが挙げられます。

  • フラワーアレンジメントの資格
  • 色彩に関する資格
  • 販売や経営に役立つ資格

それぞれ順番に解説します。

フラワーアレンジの資格

フラワーアレンジメントの資格には、「NFDフラワーデザイナー」「フラワー装飾技能士」などが挙げられます。「NFDフラワーデザイナー」は日本フラワーデザイナー協会公認スクールに通うことで試験に合格できる資格で1~3級まであります。「フラワー装飾技能士」は、都道府県の職業能力開発協会が実施する試験に合格することで取得できる国家資格で1~3級まであります。

色彩に関する資格

花屋における商品価値や品質向上のためには、色彩に関する資格も重要です。「色彩検定」は色彩検定協会が運営している資格試験で文部科学省によるサポートもおこなわれています。1~3級まで用意されていて、ユニバーサルデザインに特化した級もあります。「カラーコーディネーター検定試験」は東京商工会議所が運営する資格試験で、スタンダードクラスとアドバンスクラスがあります。これらの資格を取得することで、花のカラーコーディネートを考えながらお客様の希望の花束やフラワーアレンジメントを制作できるでしょう。

販売や経営に役立つ資格

花屋の経営を安定させるためには、販売や経営に役立つ資格も大切です。「リテールマーケティング検定」は、以前まで販売士と呼ばれていました。流通や小売業で働く方に向けた資格で、効率的に花を仕入れたり販売管理をおこなうための知識を習得できます。「日商簿記検定試験」は、商業簿記や会計に関する資格で初級~1級まであります。これらの資格を取得することで、花の仕入れや在庫管理などの無駄を省きながら売上を増やせるでしょう。

花屋の開業に失敗しないポイント

花屋の開業に失敗しないポイントは、おもに次の3つが挙げられます。

  • 売り方を学ぶ
  • 利益の出る商品を選定する
  • 開業費用と経費を抑える

それぞれ順番に解説します。

売り方を学ぶ

花屋では花を仕入れるだけでは売上を伸ばせません。花屋のコンセプトを明確にして他の花屋との差別化を図ることが大切です。ドライフラワーを活用したインテリアデザインを提案したり、迅速な配送や花の定期配送サービスをおこなうなど売り方を学んで追求していきましょう。

利益の出る商品を選定する

花はどのような種類でも売れるわけではありません。利益の出る商品にターゲットを絞って仕入れをおこなうのも大切でしょう。母の日やひな祭り、冠婚葬祭などイベントや目的に合わせた花を仕入れて利益の出る商品を選定することをおすすめします。

開業費用と経費を抑える

花屋の開業には花の仕入れや資材費用、広告宣伝費や車両費などさまざまな費用がかかります。店舗の準備や運営資金にも費用が発生するため、開業費用や経費を抑えるためにもスモールスタートな花屋の開業を検討してもいいかもしれません。

花屋の開業費用の大半は内装・外装工事費

花屋の開業の際は多く費用が発生するため、資金調達にも限界があります。そのため、少ない初期費用と経費で開業したほうが花屋の経営の失敗確率は下がるでしょう。どのようなビジネスにおいても開業で失敗しないためには、初期費用と経費をいかに抑えるかが重要です。また、花屋の開業費用の大半は店舗物件の内外装工事費用になります。このような費用を抑えるためにも居抜き物件を利用することで、開業時にかかる費用を大きく削減できるでしょう。

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