飲食店が運転資金の融資を受けるには?具体的な策とポイントをご紹介

飲食店を経営するにあたり、必要になってくるのは、金銭管理・経営管理の知識です。独立開業するまで調理の技術や接客スキルなどを日々の努力で積み重ねてきたこととくらべると、経営のスキル、特にお金に関する勉強に多くの時間を割いた方は多くないでしょう。

開業にあたり、資金の借り入れや返済計画などを含めた「資金計画」はもっとも重要な作業となります。そこでこの記事では、飲食店が運転資金の融資を受ける方法について解説していきます。

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飲食店の資金繰りが悪化する原因は?

飲食店を開業し、程なくして廃業に追い込まれる原因の多くは、「経営状態が悪化していることに気づくのが遅かった」もしくは「潰れるまで悪化していることに気づかなかった」ことです。

キャッシュフローの理解が足りない

コロナショックで急に営業ができなくなったことから、手元に入るはずの日々の収入がなくなり、ある日突然、支払いができなくなった飲食店が数多くありました。「自転車操業」という言葉がありますが、まさにこの状況は、自転車を漕ぎ続けないと倒産してしまうような状況の中、足を怪我して自転車を漕げなくなった瞬間でした。

月々の収支としては、黒字もしくはプラスマイナスゼロで経営できていたものの、先月の売上金が当月の支払い前の時点できちんと残っていないとなると「今日の売上を先月分の支払いに回して、なんとかやりくりしている状態」ということになります。

つまり経営状態としては、完全にアラートが出ている状況です。しかし、キャッシュフローに理解が足りてないと、その事実にまったく気づいていないことになります。信じられないかもしれませんが、創業から4、50年間もそのような経営状態を続けているお店も少なくありません。

毎日現金で支払っている仕入れ代金など、日々の支払いとしてお金が動くものは問題にはなりませんが、月末締めの翌月末払いやクレジットカード払いの経費、締め日から2週間程度先に支払う給与などは、経費が発生してから支払いを迎えるまで長いタイムラグがあり、これが自転車操業の状態を作り出しています。

1、2月に倒産するお店が多いのは、12月の売上が割と好調で、その経費の支払いが1、2月にやってくるのに肝心の1、2月がものすごく売上が悪いパターンで資金がショートすることが起因となっています。

支払いと入金のズレで黒字倒産もある

主に売掛金が多い店舗や仕入れ単価の高いお店は、黒字倒産にも十分気をつけるべきです。売掛金はクレジットカードでの売上がもっとも多く、以前は売上発生から実際にお店にこの売上が入金されるまでかなり期間があったため、飲食店でも黒字倒産や資金がショートして一時金を借り入れるお店がよくありました。

しかし近年では、翌日には入金されるなど支払いスパンの短いクレジットカードがほとんどとなり、このようなパターンはあまり見かけなくなりました。残される売掛金は、請求書払いやツケと呼ばれるある程度、利用金額が貯まってきた頃の後払いです。

これも近年ではだいぶ減りましたが、お客さまの多くが法人顧客さまで、月度の定額提供をしているような飲食店は、これからも黒字倒産に十分気をつけるべきでしょう。特に売上発生から入金されるまでが、2ヶ月以上の期間がある場合、それよりも短いスパンでやってくる経費の支払が事前に必要になります。キャッシュフローへの意識を十二分にもって経営していきましょう。

経費をかなりかけている状態である

飲食店は、多くの人にとって日常的でイメージのつきやすいビジネスであることから、気軽に参入しやすい業種です。しかしその反面、初期費用がかなり高い傾向にあります。特に、厨房機器や設備の投資が初期費用の多くを占め、高額になることが多いでしょう。

こういった背景から、日々の営業で利益を出し、そこから初期費用の回収を完了して初めて黒字となります。長期的な収支予測をして、最初にかけた経費の回収はいつまでに完了するのかをしっかりと決めることが重要です。

開業後日々の業務に追われて、損益計算書を定期的に確認するなど数字と向き合う時間を取らなくなると、いつの間にかその意識は失われていきます。習慣として月毎に数字と向き合う時間を作りましょう。

事業拡大に失敗した

飲食業の場合、2店舗目の経営が一番難しいと話す経営者が多いです。飲食業でのスキルを積んできた人が独立した場合、自分の能力を主戦力として1店舗を切り盛りすることには非常に長けています。しかし、まったく目の届かないところで、完全に人に任せて別の店舗を運営するとなると、これまでとはまったく違う経営管理能力が必要になってきます。

また、事業の拡大を目指し、2店舗目を出店するということは、1店舗目が安定して黒字であることが多いはずです。しかし、2店舗目が当面の間、赤字だった場合、1店舗目の黒字分を完全に消してしまうこともよくあります。

2店舗とも黒字という状況と1店舗が黒字で1店舗が赤字という状況は、経営状況に雲泥の差が出ることを自覚するべきです。この状況が長く続くことはメンタル面でも影響が出てきます。1店舗目の創業にも大きな労力が必要になりますが、事業拡大を狙った2店舗目はそれと同じか、それ以上の労力と精神力が必要となるので、十分な運転資金を用意したうえではじめましょう。

自己資金がなくても融資を受けることは可能か

ここでは、自己資金がない場合の融資についてみていきましょう。

飲食店の場合は自己資金がなく融資を受けるのはかなり難しい

自己資金がない状態で融資を受けることは非常に困難になりますです。「すべ全て融資に頼って事業を始めようとしているのか?」と、自分の意思やと信念が見られない経営者と判断されてしまいます。

そのため、にも金額の多い少ないではな く、毎月貯蓄をしてきたことや計画的に準備してきたことを開示できるよう、に開業の数年前から貯蓄計画を立てて実行に移すことが大切です。

おおまかなガイドラインとして、一般的に、自己資金として用意できている金額と同額分は融資が可能を受けられるといわれていますと考えてください。そのために常日頃から経営者になるという自覚を持ち、金銭を管理していくことが融資を受けるための最大の策になりことを忘れないようにしましょう。となるでしょう。

開業時の費用を準備する際、大きなポイントとなるのが自己資金の割合です。金融機関から融資を受けるにも、知人から借り入れるにしても、これから経営者となる本人がどんなふうにお金を管理して貯蓄してきたかが、見極められることになります。

自己資金がまったくなく、完全に他人に頼る形だと融資も難しいでしょう。一般的な借り入れ可能額の予測の仕方として言われるのは、「自分で用意できる資金と同額は借り入れが可能」というものです。あくまでも目安ですが参考にしてみてください。

自己資金がない場合は初期費用をおさえる方法を考える

自己資金をしっかり蓄えてから開業することが最善ですが、どうしても難しい場合や、急いで開業したい場合に備え、初期費用を抑える方法をご紹介します。

移動店舗やキッチンカーを利用する

移動店舗やキッチンカーを視野に入れてみましょう。移動が可能な店舗は、保証金や仲介手数料がなくなり、初期費用を大きく抑えることができます。出店費用や場所代など営業日に応じた経費の支払いになるものの、一般的な店舗物件とは違い、自分の所有物なります。万が一、廃業するとしても、自分の資産として持ち出し、売却することが可能です。注意点としては、その場所で営業する権利が長期間保証されることはあまりなく、いつどうなるかわからない契約が多いため、細かく確認しておきましょう。

 <H4>居抜き物件を使い初期費用をおさえる

近年では、造作譲渡の取引に理解を示す大家さんも増えてきたことから、造作付きの物件情報もかなり増えてきました。建材の高騰や半導体の不足で内装や厨房設備費が安くないことも、この造作が残された居抜き物件が重宝されている一因です。

自分が必要としている設備・内装が概ね揃っており、大きくレイアウトを変更することが必要なければ、大きく設備投資費を抑えることができ、自己資金が少なくても開業できるでしょう。

注意点としては、契約して実際に厨房機器を動かしてみたところ、すぐに壊れたということがないように、事前に動作確認することです。

また、契約して入居した後、やはりレイアウトを変更しないと厳しいという判断になった場合は、まず今ある内装を壊してから作り直すことになるため、スケルトン状態からの工事の2倍ほどの経費がかかることがあります。そうならないよう、事前の慎重な判断が求められます。

飲食店が運転資金の融資を受けられる金融機関とは

自己資金が足りず、知人からの借り入れも難しければ、金融機関に融資をお願いすることになります。さまざまな金融機関があるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。

創業者にもやさしい政府系の金融機関からあたる

最初に借り入れを検討する金融機関としては「日本政策金融公庫」をあげます。このコロナ禍においても行政の政策の後押しもあり、多くの人が利用している金融機関です。

特に資金が豊富ではない創業者や事業規模の小さい店舗でもフェアに審査してもらえることが多く、数多くの融資が実行されています。無担保で連帯保証人も不要なことが多く、事業計画書も比較的簡易で済みます。まずは電話連絡をするか、窓口に行き事前の相談をしてみてください。

金利は安いが審査通過が難しい銀行

もし、これまでに長く付き合ってきている銀行があったとしても、融資を受けるのはとてもハードルが高いです。綿密な事業計画を提出することができ、これまでの決算書など優良な実績が提示できるのであれば可能性はありますので、相談してみましょう。経営実績のない人は、個人であれ、法人であれ苦戦することを覚悟しておいたほうが賢明です。

地域のつながりを大切にしている信用金庫

地元に根ざした店舗の開業で、特に商店街での開業であれば、近くの信用金庫に相談してみてください。最善策は、開業前から一定期間、個人の口座を持ち取引実績を作っておき、そこで初めて相談することです。コロナ以降、特別な利率での融資もされていますので、チェックしてみましょう。

ノンバンク

文字通りノンバンクとは銀行以外の金融機関で、貸金業法のもとで営業している金融機関です。特徴としては少額であれば、審査のスピードが非常に速いものの、金利が高い点があげられます。

開業時の資金を用意する場合はノンバンクを利用することも考えられますが、あまりおすすめはできません。審査が早い分、返済期間が短く高金利なので、開業当初の資金調達としてはリスクが高いです。

また、創業時点で満足な運転資金を用意できない状態の人が、当初からノンバンクを利用してしまうと、その後、資金がショートしたときに打つ手がなくなってしまいます。創業時のノンバンク利用は慎重に行うべきであり、回避するのがベストと考えられます。

融資を引き出すコツ

金融機関が融資をする際、に判断材料として一番着目するのは、みな皆さんのご想像通り『「貸したお金が返ってくる確率が高いか」』という点です。近年の融資においては保証会社が入り、その会社のこの審査にが通れば担保や連帯保証人がいなくても借り入れ出来ることが多いです。しかし、その経営者となる人物がこれまで鍛錬してきたきてスキルを持っているか、収益性に問題がない事業を計画しているかは当然慎重に精査されます。

そのため、どのような経歴で今回創業に至るのか、事業計画に無理はないかなど収支予測以外に成功する可能性が高いと評価される要素をきちんと開示することがも重要です。ただ単に金融機関から求められたからその時ににわかで事業計画を立てるのではなく、融資をスムーズにするコツは、実際に事業を成功させるための事業計画を立て、書類にとしてまとめる姿勢を見せることが融資をスムーズにするコツと言えます。。ただ単に、金融機関から求められたから……と、にわかで事業計画を立てるのではなく、自身の思いを込めて作成を進めてしみてください。

融資以外でどうにかしたい!飲食店の資金繰りを改善するには

ここからは、融資以外で資金を集める方法についてみていきましょう。

ファクタリングを利用する

近年はクレジットカードの入金スパンが非常に短くなったことから、あまり多く事例を見ませんが、売掛金の多い飲食店の場合、入金される日までの期間が長く、一時的に資金繰りが苦しくなることがあります。その際はファクタリング会社の利用も視野に入れてみましょう。

ファクタリングとは、売掛の取引をした得意先のから料金を回収する前にその請求書を買い取ってもらい、先に現金を受け取ることができるサービスです。手数料を差し引かれますが、キャッシュフローに一時的に困るときの資金調達としては便利なサービスです。

金融機関に相談のもと返済計画を見直す

すでに融資を実行してもらった借り入れ条件の内容を、もう一度見直すことも考えてみましょう。返済金額を調整してキャッシュフローへの不安をなくすことや、借り換えにより金利を下げることができるかもしれません。また、そのときどきのご時世で、行政から利子補給の対象となることもありますので、ぜひ一度、担当者に相談してみてください。

補助金や助成金の情報を集める

補助金や助成金を利用して設備投資費用の負担を減らし、運転資金に余裕を持たせることもひとつの方法です。近年ではIT化やコロナショックの救済、事業継承や地域創生での優遇がある場合や空き家活用、特定地域での支援金などもある場合もあります。

国や県からだけでなく、各市町村や団体からの補助や助成もありますので、対象となる制度がないか調べてみましょう。それぞれの制度によって、申請までの手間や審査の難易度も異なりますので、場合によっては専門家のアドバイスを受け、申請や実績報告を進め確実に補助や助成を受けられるように準備していきましょう。

まとめ

飲食店の開業に際して、運転資金の十分な確保は、その後の健全で安定的な経営を支えることになり、なによりも経営者の精神的な安定を促すことになります。よく創業者は「お金があるのなら借り入れはしないほうがいい」と安易に判断することがありますが、融資をしてもらえるならば創業時にしてもらうべきです。

いざ、資金がショートして経営が悪化している状態になってからでは借り入れることが難しくなり、またその検討の時間を十分に取ることができません。融資を受けるには、これまでの信用が形となった自己資金が重要になり、十分な事業計画を示す必要があります。設備費用の抑制や事業計画の見直しで、必要な運転資金を確保できるようしっかりプランニングしていきましょう。