東京で飲食店を出店・開業するメリットとは?必要な開業資金や手順も解説

日本の首都「東京」には、さまざまな飲食店があります。東京には繁華街が多く、再開発も進んでいるため、東京に店舗を出店するメリットは絶大です。圧倒的な集客数が見込めることから、「東京で飲食店を出店・開業したい」人も多いことでしょう。

一方で、東京はテナント賃料が高く、開業資金の負担がほかのエリアより大きいことも事実。そのため、東京で店舗を出店する際は、開業資金・初期費用を抑える工夫も重要です。そこで本記事では、東京で飲食店を出店するメリットや必要な開業資金・手順に加えて、開業資金を減らす方法についても解説します。

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東京の魅力は「繁華街の多さ」と「将来性」

東京で飲食店を出店する魅力は、なんといっても繁華街の多いことによる集客数や、さまざまな再開発計画による将来性の高さです。東京エリアの魅力について、「繁華街の多さ」と「将来性」という2つの観点から解説します。

日本屈指の規模を誇る繁華街が点在している

東京は日本の首都であり、行政機関・金融機関・大企業などが集中し、文化面・学術面・エンターテイメントなど、さまざまな点で日本の中枢をなすエリアです。交通面でも鉄道網・道路網・航空路の中心となっており、世界最大級の人口を有する国際的な大都市でもあります。さらに、東京には以下のような、日本屈指の規模を誇る繁華街が多くあります。

  • 新宿
  • 池袋
  • 渋谷
  • 上野
  • 銀座
  • 六本木

各繁華街は公共交通機関が発達していて、居住者以外に来街者も非常に多いです。東京都のみならず、首都圏を構成する周辺の県からも、ビジネス・観光・レジャーなどの目的で多くの人が訪れています。東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の総人口は、日本の人口の約3割である3500万人に達します。東京に店舗を出店すれば、これだけ多くの人を対象として、ビジネスを展開できる可能性があるということです。

さまざまな場所で再開発が行われてますます便利になる

東京では2000年代から、丸の内・大手町・汐留・豊洲・品川など、さまざまなエリアで再開発が行われてきました。今後も新宿・渋谷・丸の内・日本橋・赤坂・品川・銀座などで、無数の再開発計画が進行中です。

東京の各繁華街では、歩行者の混雑や交通機関の未整備などにより、「来街者の回遊性が低い」という課題を抱えているケースが少なくありませんでした。今後は再開発がさらに進み、繁華街の便利さ・回遊性が高まることが期待されるため、東京に店舗を出店することで将来性が高まるといえるでしょう。

東京で飲食店を出店・開業するメリット

東京で店舗を出店するメリットには、主に以下3つのものがあります。

  • アクセスが良いため集客力が高い
  • 多様な人が集まりビジネスチャンスが多い
  • 時間帯や顧客層に囚われることが少ない

アクセスが良いため集客力が高い

前述したように、東京は電車による公共交通機関が非常に発達しているため、さまざまな場所から顧客が訪れます。言い換えれば、東京に店舗を出店すると、それだけ多くの人を対象にビジネスを展開できるということです。顧客の「パイ」が大きければ、販売機会も多く生まれるため、「集客のしやすさ」という点で大きなアドバンテージが得られます。

多様な人が集まりビジネスチャンスが多い

東京の各繁華街には、「ビジネスパーソンが多い」「若者で賑わっている」など、それぞれ違った特色があるものの、基本的には多様な人々が集まりやすいです。店舗には「ターゲット層」がありますが、エリアの顧客層と店舗のターゲット層が異なると、販売機会が限られてしまいます。東京には、顧客層の幅が広いエリアが多いため、自店舗の魅力を顧客にアピールできるチャンスが多いことが魅力です。

時間帯や顧客層に囚われることが少ない

繁華街は、夜間や休日に人通りが増えるものです。しかし、前述したように東京の繁華街はビジネス街や住宅街でもあるため、平日や昼間も賑わっている傾向があります。そのため、学生のランチや主婦のティータイム、サラリーマンの飲み会など、それぞれの時間帯にビジネスチャンスがあります。時間帯によってメニューを変えるなど、多様なビジネスモデルを展開して収益を拡大させやすいことも魅力です。

東京で飲食店を出店・開業するデメリット

東京で飲食店を出店・開業するときは、以下3つのデメリットに注意しましょう。

  • エリアによってテナント賃料が高額
  • 人件費が高いのでランニングコストも高い
  • 競合店が多いため差別化が難しい

エリアによってテナント賃料が高額

東京は日本の首都ということもあり、多くの人が訪れ、さまざまな店舗が次々に開業しています。そのため、東京のテナント賃料は、ほかのエリアと比べて高額なことが多いです。さらに、東京オリンピックや近年のインフレ事情などにより、東京の地価は高騰し続けています。

たとえば2022年現在、新宿の平均的なテナントの坪単価は29,503円、渋谷の場合は35,910円です。エリアによっては坪単価10万円を超えるなど、非常に高くなることもあります。テナント賃料はランニングコストが膨らませ、経営を圧迫する原因になるので、開業前にエリアをしっかり精査しておくことが重要です。

人件費が高いのでランニングコストも高い

ほとんどの業種では、ランニングコストの多くを人件費が占めます。東京の人件費は国内でもとくに高い水準なので、開業前はイニシャルコストだけではなく、ランニングコストも含めて丁寧なシミュレーションを行っておきましょう。

競合店が多いため差別化が難しい

前述したように、東京の繁華街は基本的にいつでも人通りが多いので、一定の集客を見込みやすいことが魅力です。ただし、店舗数も同じように多いため、必然的に競合店との競争も熾烈になります。競合負けが生じると、次第に経営が厳しくなっていくので、後述するように「独自性」をアピールすることや、顧客を「リピーター化」するための施策が重要です。

東京で飲食店を出店・開業するまでのステップ

東京で飲食店を出店・開業するまでのステップは以下のとおりです。

  • ステップ1:店舗のコンセプトとターゲット層を決める
  • ステップ2:メニューや価格などを決める
  • ステップ3:事業計画書の作成と資金調達を行う
  • ステップ4:店舗を開業する場所を決める
  • ステップ5:各種届出や申請などを行う
  • ステップ6:スタッフの雇用と教育
  • ステップ7:オープンに向けた集客と販促を行う

ステップ1:店舗のコンセプトとターゲット層を決める

まず行うべきことが、店舗の「コンセプト」と「ターゲット層」の設定です。あらゆる店舗には「こんな店にしたい」というコンセプトがあります。はっきりとしたコンセプトがなければ、自店舗の魅力が顧客に伝わりません。さらに、「どんな顧客に利用してほしいか」といったターゲット層も、しっかり決めておきましょう。

コンセプトを考えるのが難しい場合は、まずターゲット層から検討してみましょう。性別・年齢・業種など、さまざまな観点からターゲットを絞り込んでいきます。たとえば、「30代~50代の働き盛りのビジネスパーソン向けのラーメン店」や、「20代~30代の若い女性向けのイタリアンレストラン」などです。

こうしたコンセプトやターゲット層が決まれば、おのずと「メニュー」「価格設定」「立地」など、ほかの要素も決まっていきます。

ステップ2:メニューや価格などを決める

店舗で提供するメニューと各設定を行います。先ほど設定したコンセプトやターゲットに合わせて、適切な内容にすることが重要です。たとえば、ビジネスパーソン向けのラーメン店を開く場合は、低価格でたくさん食べられるような設定にするといいでしょう。東京はどの分野でも競合店が多いため、差別化を図りやすい独自性のあるメニューを作ることも大切です。

ステップ3:事業計画書の作成と資金調達を行う

店舗の事業内容がある程度決まったら、「事業計画書」を作成しましょう。事業計画書は、主に金融機関や公的機関などから、融資を受けるために必要です。融資を依頼する際は、「いかにして収益を出すか」という見通しが審査されるので、丁寧な事業計画を立てておきましょう。店舗のアピールポイントやビジョン、集客方法など収益に結び付く部分をまとめることが大切です。

事業計画書の作成後は、金融機関や公的機関などに融資を申し込みます。なお、店舗の開業時は一定の「自己資金」が必要ですが、開業費用に自己資金を使い果たすと、開店後の資金繰りが厳しくなりがちです。そのため、半年分くらいの「運転資金」は温存しておきましょう。

ステップ4:店舗を開業する場所を決める

店舗のコンセプトやメニューなどを設定したあとは、どこで店舗を出店するかを決めて、実際に物件を選びましょう。東京の繁華街にはそれぞれ特徴があり、テナント賃料などのコストにも違いがあります。コンセプトやターゲット層を踏まえ、どこで開業すれば集客力・収益性が高いかを検討しましょう。

テナントの物件が決まったら、必要に応じて内装・外装の工事を行います。一定の工期がかかるので、少なくとも開業の2~3か月前には取り掛かることをおすすめします。工事が完了したら、設備・備品などを導入しましょう。

ステップ5:各種届出や申請などを行う

飲食店を開業する前に、各種届出や申請などを行っておく必要があります。詳細は後述しますが、手続き前に事前に取得しておくべき資格もあるので、開業の目途が見えてきたら早めに動いておきましょう。

ステップ6:スタッフの雇用と教育

ほとんどの飲食店では、店舗の運営にスタッフが必要です。開業前の早い段階で求人を出しておくと、開業後にスムーズな店舗運営ができるようになります。適切な調理や接客を行うためには、スタッフの教育も欠かせません。そのため、事前に調理・接客マニュアルを作成しておくと、開店直後から質の高い店舗運営が可能です。スタッフの報酬額については、求めるレベルに応じて適切に設定しましょう。

ステップ7:オープンに向けた集客と販促を行う

これまで紹介したステップが完了したら、開店に向けた集客と販促を行いましょう。従来はチラシや広告など紙媒体の集客施策が一般的でしたが、近年ではFacebookやInstagramなど、SNSを活用した集客を行う店舗が増えています。オープン記念として、サービス券やノベルティなどを配布すると、より効果的な集客ができるでしょう。こうした販促活動は、開店前だけではなく継続的に展開していくことも重要です。

東京で飲食店を出店・開業するために必要な資格・申請

新宿で飲食店を出店するためには、以下4つの資格と手続きが必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 防火管理者
  • 深夜営業許可

食品衛生責任者

飲食店の出店には、後述する「飲食店営業許可」の取得が必須ですが、そのためには「食品衛生責任者」の資格を取得しないといけません。自治体などが開く「食品衛生責任者養成講習会」の受講が条件で、個人経営の飲食店の場合はオーナー自ら取得します。食品衛生責任者の資格を取得することで、後述する「飲食店営業許可」の申請が可能となります。

飲食店営業許可

食品衛生責任者の資格を取得したら、店舗のエリアを管轄する保健所で、「飲食店営業許可」の申請を行います。自治体によって多少の違いはありますが、営業許可申請書や施設・設備の図面、水質検査成績書などが必要なことが多いです。なお、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」で、飲食店営業許可のオンライン申請もできます。

防火管理者

収容人員が30人以上の飲食店を開業する場合は、「防火管理者」の取得も必要です。なお、収容人数には従業員も含むため、30席未満の店舗でも防火管理者の資格が必要なケースもあります。

防火管理者には、店舗の延べ面積が300平方メートル未満の場合に適用される「乙種防火管理者」と、それ以上の場合の「甲種防火管理者」の2種類があります。店舗のエリアを管轄する消防署で講習を受けることで、これらの資格を取得可能です。

深夜営業許可

バーやクラブなど、深夜に営業する店舗を出店する場合は、「深夜営業許可(深夜酒類提供飲食店営業開始届)」の申請も必要です。深夜営業許可の申請は管轄の警察署で行いますが、エリアによって異なるため警視庁のホームページで確認しておきましょう。

東京で出店するために必要な開業資金は1,000万円前後

東京で店舗を出店するためには、1,000万円前後の開業資金が必要になります。初期費用として必要なものは主に以下6つで、立地・規模・内装へのこだわりなどによってコストは変動します。

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 厨房機器費
  • 空調設備費
  • 設備や備品
  • 広告費

また、開店後も「テナント賃料」「光熱費」「人件費」などさまざまな費用がかかるので、初期費用と合わせて半年分ほどの運転資金も準備しておくことが重要です。

開業資金の大半を占めるのが内装・外装工事

店舗の開業資金の大半を占めるのが、内装・外装工事です。さらに、設備や備品の費用も加えると、それだけで開業資金の半分以上になることも珍しくありません。そのため、これらの費用をいかに抑えるかが、東京で店舗を低コストで出店するために重要です。開業資金を抑えることができれば、その後の店舗運営を円滑に進めやすくなります。

飲食店経営者の平均年収は600万円前後

飲食店経営者の平均的な年収は、出店するエリアやジャンル・規模によって大きく異なりますが、平均600万円前後だといわれています。年収1,000万円以上を目指すのであれば、2店舗以上を経営するのが現実的です。

飲食店経営者の収入は、店舗の売上から各種経費を差し引いたものになることに注意が必要です。一般的なモデルの飲食店の場合は、月商400万円を超える店舗を2つ運営すると、年収1,000万円以上になると考えられます。

東京で店舗を出店する場合、最初から「高収入」は期待しないことをおすすめします。まずは自己資金を貯めて適切な事業計画を立て、堅実に売上を伸ばしていくことが重要です。店舗の運営が十分に軌道に乗ってから、2店舗目以降の出店を計画するといいでしょう。

東京での店舗出店には失敗事例も少なくない

飲食店経営者の平均年収が、サラリーマンを上回ることは魅力的だといえます。しかし前述したように、東京はテナント賃料や人件費が高額なので、開業しても短期間で閉店してしまうケースが少なくありません。たとえば、事前準備やコンセプト設計が甘い場合などは、競合負けしやすいので注意が必要です。後述するコツを踏まえて、リスクマネジメントをしっかり行いましょう。

東京での飲食店の出店を成功させるコツ

東京での飲食店出店を成功させるために重要な以下4つのコツを紹介します。

  • 店舗のコンセプトを設定する
  • 新規顧客をリピーター化する
  • SNSを活用して顧客にアピールする
  • 自己資金を使い切らないようにする

店舗のコンセプトを設定する

店舗の「コンセプト」は、自店舗の魅力を顧客にアピールするために重要です。店舗のイメージや採用すべきメニュー、外装・内装にいたるさまざまな要素に影響を与えるため、しっかり煮詰めてから出店計画を進めましょう。

新規顧客をリピーター化する

どの分野の飲食店でも、成功した店舗に共通することは、一定数の「リピーター顧客」がいることです。「獲得した新規顧客を逃さない」ことを意識し、顧客に刺さるメニューやサービスを提供しましょう。クーポンや割引など、価格面でのメリットを提供することも効果的です。

SNSを活用して顧客にアピールする

近年では、FacebookやInstagramなど、SNSを活用した集客施策の重要度が高まっています。SNSは無料で運用できるうえに、ユーザー同士の口コミで爆発的な拡散力も期待できます。SNS運用を継続すれば、それだけ店舗のファンも増えやすくなるので、ぜひチャレンジしてみてください。

自己資金を使い切らないようにする

店舗の開業時に自己資金を使い切ると、その後の生活や経営が厳しくなってしまいます。後述する補助金や助成金、居抜き物件などを活用して、自己資金を温存しておくことが重要です。

東京での開業資金を抑えるコツは「補助金」と「居抜き物件」

東京での開業資金を抑えるために、「補助金・助成金」と「居抜き物件」を活用してみましょう。

「補助金」や「助成金」を利用する

開業資金に関する不安がある場合は、「補助金」や「助成金」を利用してみましょう。経済産業省・中小企業庁・商工会議所・各地方自治体などが提供する補助金は、審査基準は厳しいものの、認可されると高額な資金が返済不能で得られます。一方、厚生労働省や都道府県労働局などが、雇用を対象として提供するのが「助成金」です。基本的には正社員雇用が対象となりますが、条件を満たせば必ず支給されることが魅力です。

代表的な補助金は、「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「ものづくり補助金」などです。助成金には、「キャリアアップ助成金」や「人材開発支援助成金」などがあるので、必要に応じてぜひ活用してみてください。

「居抜き物件」を利用する

テナントの内装工事費や設備・備品費を抑えたい場合は、「居抜き物件」も検討してみましょう。居抜き物件の特徴は、前のテナントの内装や設備を受け継げることです。自店舗のイメージに合っていて、改修工事の必要性が少ない物件を選べば、開業資金を大幅に抑えられる可能性があります。

まとめ

東京にはさまざまな繁華街があって集客しやすいため、飲食店などの店舗の出店に最適なエリアです。一方で、テナント賃料や人件費が割高なので、開店後の経営を安定させるのが難しいこともあります。店舗運営をスムーズに進めるためにも、開業資金を抑えることが重要です。そこで、内装工事費や設備・備品費を節約できる「居抜き物件」を活用してみてはいかがでしょうか。

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