事務所の移転で活用できる補助金とは?メリットや注意点を解説

会社が事務所を移転する場合、多くの費用が必要になります。移転費用は一般的なオフィスで坪単価40万円程度がおおよその相場となっていますが、店舗など特別な設備が必要な場合、さらに高額になるでしょう。

あまり高額な費用をかけると、経営難に陥るリスクもあるため、移転コストはできるだけ抑える工夫をするのが大切です。

移転コストを抑える手段の一つとして、補助金の活用があります。融資と違い返済不要なので、リスクを抱えることなくコスト削減が実現可能です。

しかし、補助金の種類によって内容や条件が異なり、審査が厳しいなどの注意点もあるため、事前に内容をよく理解しておく必要があります。

本記事で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

掲載物件数80,000件以上

リクルートの運営する店舗物件検索サイトTempodasに登録いただくことで、多数の未公開物件や、周辺の商圏のデータ等を閲覧することが可能です。

無料登録

事務所の移転で活用できる補助金とは

初めに事務所の移転などで活用できる補助金の概要、助成金との違いについて解説します。

補助金とは

補助金とは新規事業の立ち上げや会社の創業、国や地方自治体を活性化の手段の一つとして活用されています。国や地方自治体の政策目的(目標)に合致するよう、幅広い分野をカバーし、企業の活動をバックアップするために資金の一部を提供するよう計画されています。

補助金の運用期間は曖昧ですが、予算終了後の4〜5月に公募されることが多いようです。落選しても余剰資金が設けられることもあるので、あきらめずに情報を蓄積していきましょう。

融資とは違い、返済の必要はありませんが、審査があるため申請すれば必ずもらえるというものではありません。補助金をもらえるかどうか、金額は「事前審査」「事後審査」で決まります。また、補助金は後払いが原則なので、事業実施後に必要書類を提出し、検査を受けた後に受け取ることが可能になります。

補助金の目的と助成金の違い

補助金と助成金には明確な違いはなく、混合されて使われるケースも少なくありません。

ただし、「助成金」は要件を満たしていれば、ほとんどの場合で支給される支援金であるのに対し、「補助金」は採択の件数や予算の上限が決められており、申請が多数あった場合、選考・審査が行われるため、要件を満たしていても受給できるとは限りません。

したがって、どちらも返済のリスクなく資金が得られる制度ですが、申請が通る可能性には違いがある点を前もって理解しておくようにしましょう。

事務所の移転で使える補助金の事例

事務所の移転で使える補助金には多くの種類があります。そこで代表的な補助金5つについて解説します。

創業補助金

創業補助金は、起業に必要な経費を補助するための制度です。2018年度に創設されたこの補助金は、新たな需要や雇用を生み出す活動を行い、日本経済を活性化させることを主な目的としています。

他の補助金とは異なり、この補助金は返済を必要としません。

ただし、一定期間内に一定の収益を上げる必要があり、それができなければ補助金を返還しなければなりません。

補助金を利用するためには、6ヶ月の資格期間の開始前に申請が承認される必要があり、この期間終了後、数ヶ月後に補助金が支払われます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む場合において、経費の一部を補助する制度です。

日本商工会議所が実施している制度であり、申請には商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書が必要となります。

小規模事業者持続化補助金はかかった経費の2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4)まで支給され、上限額は50~250万円となっています。

上限額は通常額と特別枠、賃金引上げ枠、インボイス枠など適用する枠によって異なるため、条件は事前に確認するようにしましょう。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継に伴う新規事業の立ち上げや、再編・統合による経営資源の引継ぎを行う中小企業に対して補助を行うものです。

具体的には、中小企業が事業や役員を継続するために必要な経費の一部を補助することで、事業承継にかかるコストを低減しすることを目的としています。

この補助金に申請するには、経済産業省が運営する補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用する必要があります。また、交付申請から採択まで時間を要する点も注意しなければなりません。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業の生産性向上を目的とした革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資を支援する補助金です。

「すでに創業している会社であること」「賃金引上げ計画を従業員に表明していること」「資本金または従業員数が一定水準以下であること」が要件となっていますが、資本金と従業員数の上限は対象業種によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。

ITツールとはパッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入・初期費用などを指しています。

「中小企業・小規模事業者であること」が重要な要件になりますが、こちらも資本金と従業員数の上限などが対象業種ごとに定められているため、当てはまる業種を事前に確認する必要があります。

補助金を活用するメリット

補助金を活用するメリットを3つ紹介します。

返済不要で資金が得られる

補助金は融資と違い、返済の必要がありません。また、助成金より審査が厳しい分、支給金額も高めに設定されています。

金融機関からの融資では、どのようなケースであっても返済が必要であり利息もつきます、そのため、数年間に渡って返済をしていく必要があるため、初期費用を得るには有効な手段ですが、会社としてはリスクを背負うことになります。

事業価値が上がる

事業価値が上がる点もメリットの一つです。補助金は要件を満たし、申請をすれば必ず審査に通るわけではなく、書類審査、面接審査などを経て採択されるものです。

したがって補助金の審査に通ったことにより、その事業価値が上がり、会社の信用度もアップする可能性が考えられます。

事業計画を見直す機会になる

補助金を申請するためには、応募申請書・事業計画書・経費明細書・事業要請書などの複数の書類を準備する必要があります。

そのため、書類準備に多くの時間を費さなければなりませんが、書類を作成する過程で事業内容を深く考えることになります。

結果的に事業内容の棚卸しをするきっかけになり、良いアイデアや施策が生まれることもあるでしょう。

補助金を活用する際の注意点

補助金を活用するときの注意点を3つ解説します。

内容や条件など情報を整理する必要がある

補助金や助成金の種類はとても多く、利用したい補助金の情報を探すのが難しいデメリットがあります。ニュースや新聞などで取り上げられる機会も少ないため、基本的に自分で探さなければなりません。

以前は区役所の窓口などへ直接相談に行かなければ情報を得ることが困難であり、窓口の担当者の知識によっては希望通りの補助金制度を見つけられないケースもありました。

現在はインターネットを活用すれば誰でも情報収集しやすくなりましたが、内容や条件、申請に必要な書類、上限金額など詳細な情報を得るのは簡単ではありません。

また、適用できる補助金が複数ある場合は、何が自分にとって適したものなのか判断するために情報を整理する必要があります。

原則として後払いになる

補助金は融資と異なり、原則として後払いになるため、すぐお金が必要な方には適さない制度です。

申請した計画書通りに事業を実施するのはもちろん、完了後に補助金事務局へ結果報告し了承されることで、始めて補助金が入金されるのは通常の流れです。

そのため、大きな費用を要する事業や投資を行う場合で、先にお金を支払わなければならないときは、立て替える分の費用は融資を活用するなど、方法を検討する必要があります。

審査が厳しい傾向がある

補助金は申請しても必ず適用されるとは限らず、審査に通過する必要があります。しかし、補助金の審査は通るのが難しい傾向にあります。

申請のために書類作成に大きな時間をかけても、採用されない可能性があるため、最悪の場合、無駄になってしまうリスクもあります。

一方、助成金は要件を満たしていれば、ほとんどの場合で支給されますが、金額は補助金より小規模なケースが多くなっています。

補助金を受給するまでの流れ

補助金申請から受給するまでの基本的な流れを解説します。

STEP1:補助金の情報を集める

まずは補助金の情報を集めることからスタートします。補助金はさまざまな分野で募集されていますが、知られていないものも多いので。自分の事業に適した補助金を見つけなければなりません。

最初に情報を探すための方法としてはインターネットでの検索がおすすめです。なお、制度を検索する場合は、以下の経済産業省サイトから探してみると良いでしょう。

ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト|経済産業省

また、自治体を含めた支援情報を探す場合は以下のサイトを利用してみてください。

支援情報ヘッドライン

STEP2:補助金の申請をする

利用したい補助金が見つかったら申請手続きに移ります。応募要領、応募用紙などを確認したうえ、必要書類を添付して事務局に提出しましょう。

書類の交付方法は電子媒体または紙媒体のどちらかになりますが、補助金によって異なるため、詳しくは公募要領や事務局のページから確認してください。

STEP3:補助金が採択される

申請完了後、採択事業者が決定されると、結果が事務局から通知されます。採択後は補助金を受け取るための手続き(交付申請)が必要となるため、定められた期間内に行うようにしましょう。

交付が完了すると「交付決定(補助事業の開始)」となります。

STEP4:事業を開始する

補助金が採択された後、事業開始となります。申請通りの事業が行われるのが基本なので、もし事業内容を変更する必要がある場合は、事前に手続が必要です。なお、補助金の対象になる経費は、領収書や証拠書類をすべて保管しておく必要があります。

STEP5:補助金が交付される

実施した事業の内容、経費を事務局に報告します。検査が実施され、事業が正しく実施されたと確認された後、補助金の額が決定し、補助金が振り込まれます。

移転コストを抑えるなら居抜き物件がおすすめ

補助金の申請手続きは手間がかかりますが、事務所の移転や開設のように高い初期費用がかかる際には大きな支援になるでしょう。

しかし、補助金にも上限金額があるうえ、審査に通らないケースも考えられるため、コスト削減の意識を持つことも大切です。

移転コストを削減するためにおすすめなのが「居抜き物件」です。

居抜き物件とは、前テナントが設備や什器備品、家具などをそのままの状態で賃貸する方法です。

自由にレイアウトや設備の設計をできないデメリットはあるものの、移転時のコストを大幅に下げられることは間違いありませんので、ぜひ検討してみてください。

まとめ

補助金は返済不要で支給されるうえ、助成金より金額も大きい傾向があります。特に会社の移転のように多額の費用がかかる場合では、大きな支援になるでしょう。

しかし、適用できる補助金の種類を調べたり、必要書類を作成したり、申請に手間がかかるうえ、必ず審査に通るとは限りません。

そのため、事業内容や要件など事前に十分な調査を行い、審査に通る状態であることを把握してから開始することをおすすめします。

Tempodas(テンポダス)は未公開の店舗賃貸物件を効率的に検索できるツールを提供しております。多数の居抜き物件を手軽に検索できるため、これから開業することを考えている方にとって有益な情報が得られることでしょう。無料の会員登録を行えば、店舗物件や商圏データの閲覧が可能になりますので、ぜひこの機会のご登録ください。