エステサロンを独立開業するには?開業資金や成功のコツを解説

エステティシャンとして経験を積んだら、「自分の店」を持ちたくなるのではないでしょうか。実は、エステサロンを独立開業すること自体は、それほど難しくありません。開業資金についても、自宅を店舗にする場合は100万円程度の予算があれば、比較的余裕をもって開業できます。

しかし、サロン経営を成功させるためには、さまざまな準備や事前知識が必要です。そこで今回は、エステサロンを独立開業するために必要な資金や準備、成功のコツを解説します。

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エステサロンは経験さえあれば誰でも開業できる

エステティシャンとして勤務した経験さえあれば、基本的には誰でもエステサロンを独立開業できます。サロンの開業や運営をするために、何か特別な資格が求められることはないからです。

ただし、競合店に負けない技術やサービスを提供できないと利益が出ないため、エステティシャンとして少なくとも数年以上の経験は必須だといえるでしょう。つまり、エステサロンは独立開業そのものよりも、開業後に利益を出し続けることのほうが難しいということです。

実際に開業したエステサロンの半数近くが1年以内に、9割近くが3年以内に閉店しているといわれています。スキルやサービスなどさまざまな点で、競合店に対抗できる「魅力」を顧客にアピールすることが重要です。

エステサロンを開くために必要な開業資金

エステサロンの独立開業に必要な資金は、「どこを店舗」にするかによって大きく変わります。ここでは、「自宅」「賃貸マンション」「テナント」の3つのパターンに分けて、エステサロンの開業資金の目安を紹介します。

エステサロンを開業する場所開業費用の目安
自宅70万円以上
賃貸マンション140万円以上
テナント440万円以上

「自宅」をエステサロンの店舗にする場合

自宅の一部をエステサロンの店舗にする場合は、以下のように合計70万円程度でエステサロンを独立開業できます。

項目費用の目安
賃貸物件の契約費用なし
内装工事費用20万円以上
エステ器具代10万円以上
消耗品や備品代10万円以上
広告宣伝費30万円以上
合計70万円以上

自宅の一部をエステサロンにする大きなメリットは、賃貸物件の賃料がかからないため、開業資金を抑えられることです。一方、店舗型と比べて集客が難しいことや、開業場所が限られることはデメリットです。

自宅をサロンにする場合は、内装工事がとくに重要になります。基本的にサロンを訪れる顧客は「非日常感」を求めているため、「自宅らしさ」が出ると顧客満足度が低下する可能性があります。だからこそ内装は重要ですが、自分でできる内装は自分でやると開業コストを抑えられるでしょう。

「賃貸マンション」をエステサロンの店舗にする場合

賃貸マンションをエステサロンの店舗にする場合は、以下のように合計140万円程度の開業資金が必要です。

項目費用の目安
賃貸物件の契約費用60万円以上
内装工事費用30万円以上
エステ器具代10万円以上
消耗品や備品代10万円以上
広告宣伝費30万円以上
合計140万円以上

基本的な費用の内訳は自宅の場合と同じですが、こちらは賃貸マンションを借りるための「契約料」が必要になります。また、マンションが「店舗営業可能」な物件でなければ、エステサロンを開業できないので注意してください。安全管理上の理由から、「居住用」でなければ契約できない物件は少なくありません。

賃貸マンションでエステサロンを独立開業するメリットは、開業する場所の自由度が比較的高いことや、エステサロンの経営や施術に集中しやすいことです。一方、賃貸物件であるため賃料がかかることや、自宅開業ほどではないものの集客が難しいことがデメリットです。

「テナント」をエステサロンの店舗にする場合

エステサロンの開業用にテナントを借り上げる場合は、合計440万円以上の開業資金が必要になります。

項目費用の目安
賃貸物件の契約費用160万円以上
内装工事費用200万円以上
エステ器具代30万円以上
消耗品や備品代20万円以上
広告宣伝費30万円以上
合計440万円以上

以上のように、テナントを借り上げる場合は440万円以上という、高額な開業資金が必要になります。そのほとんどを占めるのが、賃貸物件の契約費用と内装工事費です。内装は顧客満足度にも影響する重要な要素で、一般的には1坪あたり20万円という費用感になります。

テナントでエステサロンを独立開業するメリットは、サロン経営の自由度が高いことや、店舗として運営するため集客しやすいことです。一方、イニシャルコスト・ランニングコストともに高額なことや、規模によっては従業員の雇用も必要になることがデメリットです。

このように、テナントを利用する場合は多額の開業資金が必要ですが、後述するように「居抜き物件」を利用すると、開業資金を大幅に抑えられるケースがあります。

エステサロンの独立開業時に気になること

エステサロンを開業するときは、以下のようなことも気になるでしょう。

・エステサロンを独立開業した人の1日の流れは?

・エステを独立開業した人の月収・年収は?

エステサロンを独立開業した人の1日の流れは?

自宅でエステサロンを開業する場合は、おおむね以下のような1日の流れになることが多いようです。

時刻内容
6:00起床
7:00朝食の準備など
8:00洗濯などの家事
9:00予約確認と施術準備
10:001人目の施術開始
11:001人目の施術終了
12:00休憩
13:002人目の施術開始
14:002人目の施術終了
15:00休憩
16:003人目の施術開始
17:003人目の施術終了
18:00家族の帰宅や夕食の準備など
19:00夕食

このように、自宅でエステサロンを開業する場合は、比較的ゆったりとした1日の流れになります。開業資金や維持費があまりかからないため、1日あたり3人ほど施術すれば十分に利益が出ることも多いです。賃貸マンションで開業する場合も、自宅から往復する手間はかかりますが、基本的には同じような流れになるでしょう。

テナントでエステサロンを開業する場合は、多くの売上を出す必要があるため、より忙しい流れになります。たとえば、開店前に従業員と打ち合わせをしたり、複数人の顧客に順番に施術していくなどです。エステサロン独立後の1日の流れは、このように開業形態や規模によって大きく異なります。

エステを独立開業した人の月収・年収は?

エステサロンを独立開業した人の月収・年収は、開業した場所や事業規模などによって異なり、年収500万~数千万円以上と幅が広いです。自身の月収および年収は、エステサロン独立の売上から経費を引いたものになります。たとえば、売上が1,000万円で経費が400万円の場合は、自身の年収は600万円となります。

エステサロンの独立開業後は、ほとんど収入が得られないことも珍しくありません。その理由は「知名度の低さ」です。当然のことながら、開店したばかりのサロンは、「そこにサロンがある」ことさえ知られていません。そのため、集客のために広告やSNSで認知度を高めるなど、さまざまな工夫が欠かせません。

なお、後ほど解説する「居抜き物件」を利用すると、前回エステサロンだったテナントが使えます。そこはもともとエステサロンだったので、顧客から「そこにサロンがある」こともある程度は知られています。そのため、独立開業後の集客力が心配な場合は、居抜き物件を検討するのも効果的です。

エステサロンを独立開業するためのステップ

エステサロンを独立開業するために必要なステップは、以下のとおりです。

・ステップ1:サロンのコンセプトとターゲット層を決める

・ステップ2:機材・メニュー・価格などを決める

・ステップ3:店舗を開業する場所を決める

・ステップ4:具体的な集客方法を考える

・ステップ5:事業計画書の作成と資金調達を行う

・ステップ6:必要に応じてスタッフを雇う

・ステップ7:実際に店舗を開業して運営する

ステップ1:サロンのコンセプトとターゲット層を決める

まずは開業するエステサロンの「コンセプト」と「ターゲット層」を決めましょう。コンセプトがはっきりしなければ、自店舗と競合店を顧客が比較したときに、「何が魅力か」がわからず、顧客から選ばれにくいサロンになります。「何が得られるのか」を具体的にイメージできるような、わかりやすいコンセプトを設定することが重要です。

ターゲット層については、性別や年齢層をはじめとした、具体的な顧客像を設定しましょう。ターゲットを明確化することで、「顧客の悩み」がわかりやすくなり、「顧客に刺さるサービス」が提供できるようになります。これらの内容次第で、「どんな立地がいいか」「どんな機材が必要か」も決まります。

ステップ2:機材・メニュー・価格などを決める

店舗のコンセプトやターゲット層が決まれば、エステサロンで提供すべきメニューや価格、導入すべき機器なども決まります。ターゲット層が抱えているであろうニーズから、「どんな施術で顧客の悩みを解決できるか」を考えましょう。生活スタイルや競合店なども調査すると、より正確なメニュー・価格設定ができます。

ただし、競合店と同じものを提供していては「独自性」をアピールできないので、価格競争に巻き込まれにくい「独自コース」を設けることも重要です。

ステップ3:店舗を開業する場所を決める

前述したように、開業する場所には「自宅」「賃貸マンション」「テナント」という3つの選択肢があります。どれを選ぶかによって、エリアや内装の自由度や、イニシャルコスト・ランニングコストが変わるので、エステサロン開業後の経営を左右する重要な要素となります。

自宅で開業した場合は低コストですが、集客が難しくなることに注意が必要です。テナントを借り上げる場合は、高額な開業資金がかかりますが、集客力や顧客満足度は高めやすい傾向があります。店舗のコンセプトやターゲット層を見極めて、開業する場所を選ぶのがいいでしょう。

ステップ4:具体的な集客方法を考える

開店したばかりのエステサロンは、知名度がないため顧客はほとんど訪れません。そのため、集客するための施策が必須です。以前は紙媒体のチラシや広告などが一般的でしたが、今はSNSの時代です。Twitter・Facebook・Instagramなどを活用すると、無料で自店舗の宣伝ができるうえに、ユーザー同士の口コミで強力な集客効果を発揮できることもあります。

ステップ5:事業計画書の作成と資金調達を行う

サロンのコンセプトや開業場所、集客方法などが決まったら、「事業計画書」を作成しましょう。事業計画書は、主に金融機関や公的機関などから、融資・助成金を受けるために必要です。その際に、店舗のアピールポイントや集客方法など、「いかに収益を出すか」を示すことが重要なので、これまでのステップを丁寧に進めておきましょう。

事業計画書を作成できたら、金融機関や公的機関などに融資を申し込みます。基本的に、自己資金を使い果たすのは好ましくありません。開店後はしばらく収益が不安定な状態が続くため、自己資金はある程度は温存しつつ、開業資金は融資や助成金でまかなう割合を多めにするのがおすすめです。

ステップ6:必要に応じてスタッフを雇う

1人でエステサロンを運営する場合は必要ありませんが、テナントを借り上げて本格的にサロンを経営するのであれば、スタッフの雇用も欠かせません。スタッフを雇うことで、より多くの顧客に丁寧なサービスを提供できるようになるため、顧客満足度が高まります。

求人を出すときは、勤務形態や報酬に加えて、求めるスキルや経験なども設定しましょう。具体的な条件を提示したうえで、開店前の早い段階で求人を出すことが、理想的な人材を獲得してスムーズにサロンを運営するコツです。

ステップ7:実際に店舗を開業して運営する

これまでのステップを踏んだら、あとは実際に店舗を開業し、改良を進めながら運営していきましょう。エステサロンを運営するなかで、必ず課題点や改善点が見えてきます。「どこを変えればもっと良くなるか」を見極めて、少しずつ改善していけば、競合負けしない「顧客に選ばれるサロン」になるでしょう。

エステサロンの独立開業に必要な資格や届出

エステサロンを独立開業するために、とくに必要な資格や届出はありません。飲食店とは異なり、「食品衛生責任者」や「飲食店営業許可」も求められないので、基本的には開業するための「場所」と「資金」さえあれば、エステサロンを開くことができます。

ただし、個人事業主として「開業届」「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておくことをおすすめします。青色申告承認申請書は、税制上のさまざまな優遇措置が受けられる「青色申告」をするために必要です。開業届と青色申告承認申請書は、セットで税務署に提出しましょう。また、サロンの経営が軌道に乗って「法人化」するときは、別途さまざまな手続きが必要になります。

エステサロンの開業に失敗してしまう理由・事例3選

エステサロンを開業するときは、以下3つのポイントに注意しましょう。

・店舗の「コンセプト」が曖昧になっている

・「経験」だけを武器に開業してしまう

・大手サロンと同じ手法を採用してしまう

店舗の「コンセプト」が曖昧になっている

エステサロンのコンセプトがあいまいだと、自店舗の魅力が顧客に伝わりにくくなります。よくあるパターンが、さまざまな顧客に対応するために多くのメニューを用意して、どっちつかずのサービスを提供してしまうというものです。

店舗の「強み」や「魅力」をアピールできるような、特徴的なメニューを作ることが重要です。一貫性を失わず、自店舗の「カラー」を打ち出すことができれば、競合店との差別化は難しくありません。

「経験」だけを武器に開業してしまう

エステサロンの独立開業には、まずエステティシャンとしての「経験」が重要です。しかし、経験やスキルだけでは、サロンの経営はできません。自身のエステサロンを運営するためには、継続的に利益を上げて資金繰りを行うための、ビジネスに関する知識が必要です。

そのため、顧客を獲得する方法・継続利用してもらう戦略を考えて、時代の流れを見極めてメニューを作るなど、長期的・多角的な観点からサロンを運営することが求められます。

大手サロンと同じ手法を採用してしまう

大手サロンのシステムや手法は、個人で経営するエステサロンには適用できません。まず、大手サロンは業務体制や機器が違ううえに、顧客が求めるものも異なります。大手サロンで勤めていた経験があったとしても、その知識や経験を自店舗にそのまま流用するのではなく、コンセプトやターゲットに合う手法を選びましょう。

エステサロンの経営や集客を成功させるコツ

エステサロンの経営や集客を成功させるために重要な、以下4つのコツについて解説します。

・新規顧客をリピーター化する

・民間の資格を取得しておく

・オンライン予約システムを導入する

・SNSを活用して顧客にアピールする

新規顧客をリピーター化する

エステサロンを利用する人数は減少傾向にありますが、サロンに通う人の年間利用率は増加傾向にあります。つまり、「継続利用してもらえるエステ」のほうが、生き残りやすいということです。そのためには、一度来店した顧客を優良化・リピート化する施策が欠かせません。たとえば、割引やクーポンなどで継続利用を促すことや、丁寧なサービス提供で顧客満足度を高めるのが効果的です。

民間の資格を取得しておく

顧客がエステサロンに求めるものは、まず施術のスキルでしょう。質の高いサービスが受けられるという「信頼」が得られなければ、顧客にアクションを起こしてもらえません。前述したように、エステサロンの開業に資格は不要ですが、民間資格を取得しておくとスキルをアピールでき、顧客の信頼を勝ち取りやすくなります。

オンライン予約システムを導入する

エステサロンに通うときに、「オンライン予約」をする人が増えています。オンライン予約システムを導入すると、顧客側はわざわざ電話をかける必要がなく、サロン側はパソコンで予約や顧客情報を管理できるようになるため、双方にとって大きなメリットがあります。顧客の待ち時間を減らし、満足度を高めることにもつながるので、オンライン予約システムは導入するほうがいいでしょう。

SNSを活用して顧客にアピールする

近年では、多くの顧客がTwitter・Facebook・InstagramなどのSNSで、情報収集を行っています。そのため、チラシや広告など紙媒体による集客は、もはや時代遅れといっても過言ではありません。SNSは誰でも無料で使えるうえに、爆発的な集客力を発揮することもあるため、新時代の集客方法として注目されています。エステサロンの開業時は、ぜひSNSによる集客にチャレンジしてみましょう。

エステサロンの開業資金を抑えるコツ

エステサロンの独立開業には、多額の開業資金が必要なことがあります。テナントを借り上げる場合は、開業資金がとくに高額になるので、以下2つの方法で開業資金を抑えるのがおすすめです。

・助成金や補助金を利用する

・「居抜き物件」を利用する

助成金や補助金を利用する

「助成金」や「補助金」は、融資とは異なり返済する必要がないため、エステサロンの開業資金を抑えるために効果的です。エステサロンの場合は、中小企業庁が主導する「創業支援等事業者補助金」や、東京都内での起業を対象とした「創業助成事業」などを利用できる可能性があります。また、自治体で個別の助成金・補助金を展開していることもあるので、ぜひ確認してみましょう。

「居抜き物件」を利用する

テナントを借り上げてエステサロンを開業する場合は、高額な開業資金が必要になります。その多くを占めるのが「内装工事費」で、専門的な機器などを導入する場合はさらに高くなります。言い換えれば、これらの費用を浮かせることができれば、開業資金を大幅に抑えられるということです。

そこで「居抜き物件」がおすすめです。居抜き物件とは、前のテナントの内装や設備を受け継いで、自身のテナントとして利用できる物件を指します。物件の条件にもよりますが、内装や設備を整える負担が大幅に減るので、少ない資金でもエステサロンを開業しやすくなります。また、居抜き物件はもともとサロンがあった場所なので、顧客からの認知度が比較的高まりやすいことも魅力です。

まとめ:サロンの独立開業を成功させるために「初期費用」を抑えよう

エステサロンの独立開業には、70万~440万円程度の開業資金が必要になります。テナントを借り上げて本格的にサロンを運営する場合は、テナントの契約費用や内装工事費のために、とくに高額な開業資金がかかります。それらの費用を抑えるために、「居抜きの物件」の利用がおすすめです。

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