愛される小料理屋を開業したい!開業資金は? 経営に失敗しないためのポイントをわかりやすく紹介

「常連に愛される小料理屋を開業したい」と思っていても、飲食店を開業するには、どのような手順を踏めば良いか、わからない人も多いのではないでしょうか。理想のイメージを持っていても、それを実現するにはいくつものハードルがあります。しかし、きちんと手順やポイントを把握すれば、それほどハードルは高くありません。本記事では、小料理屋の開業を検討している人に向けて、開業手順や経営に失敗しないポイントについて、わかりやすく解説していきます。

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小料理屋とは

小料理屋の定義は、法律で定められているものではなく、飲食店の1つの種類のことです。一般的には、簡単な家庭料理と、お酒を提供する和風の飲食店を指すことが多いでしょう。

お酒を提供するお店も多いですが、メインは和風料理です。小料理屋ごとに、提供される料理やコンセプト、お店の雰囲気などが異なるため、お客様の多くは、そのお店の独自性やオリジナリティを求めて来店します。

他の飲食店との違い

小料理屋と似ている飲食店には、以下のような業態があるでしょう。

  • スナック
  • 割烹
  • 居酒屋
  • 料亭

それぞれ共通している部分もあれば、まったく異なる部分もあります。開業する小料理屋のコンセプトを考える上で、参考にしてみるのも良いでしょう。

次は、小料理屋と似ている飲食店の業態について、それぞれ解説していきます。

スナック

スナックは、スナックバーの略で、一般的には「ママ」と呼ばれる女性店主が、カウンター越しに接客するスタイルの店舗を指すことが多いです。しかし、法的な定義はなく、バーや小料理屋のような店舗もありますが、多くのお店は、お酒の提供やカラオケなどをメインとしています。

割烹

割烹とは、割烹料理を提供するお店のことです。同じ和食を味わうお店という共通点はありますが、小料理屋では家庭料理を提供する一方、割烹は懐石料理や精進料理といった、ワンランク上の料理を提供します。

居酒屋

居酒屋は、小料理屋よりも規模が大きく、お酒の提供をメインにおこなっていることが多いです。そのため、小料理屋よりもお酒の種類が豊富な傾向にあります。

料亭

料亭とは、高級な日本料理屋のことです。和食を扱う点では似ていますが、企業の接待や宴会、商談などに使われることも多く、料理は料理人がおこない、接客は女将さんや仲居さんがおこなうなどの特徴があります。

小料理屋を開業するまでの流れ

小料理屋は小規模な店舗が多いため、他の飲食店よりも開業しやすいイメージを持つ人も多いかもしれませんね。しかし、小料理屋を開業する場合も、他の飲食店の開業方法と変わりはありません。大規模な飲食店を開業するよりも、必要資金は少ないですが、開業までの準備を、1人でおこなわなければいけない大変さはあります。

問題なく開業準備を進めていくためにも、まずは開業するまでの流れをおさえておきましょう。

コンセプトを決める

まずは、コンセプトを決めましょう。コンセプトとは、小料理屋の土台や軸にもなるもので、「こんな小料理屋を作りたい」という方向性のことを指します。最初にコンセプトを決めておけば、物件選びや内装、食器や提供する料理を決める際に、コンセプトに即しながら決定できるでしょう。

コンセプトを決める際は、5W2Hに当てはめると考えやすいです。

When…いつ営業するのか

Where…どこで料理、サービスを提供したいのか

Who…どのようなお客様に来店して欲しいのか

What…どのような料理、サービスを提供したいのか

Why…どうして小料理屋を開業したいのか

How…どのようにお店を知ってもらうか

How much…いくらで提供するのか

物件を選ぶ

物件を選ぶ際は、立地に注目しましょう。昨今は、グルメサイトやSNSのおかげで、行きたいお店を探して来店する「目的来店」が増えています。お店の知名度が上がったり常連客がつくようになったりすれば、目的来店のお客様だけでも十分に売上が立つでしょう。

しかし、必ずしも目的来店だけで十分な集客が見込めるわけではありません。人通りの多いエリアや、駅付近は衝動来店のお客様も多く、立地的なメリットが大きいです。ただし、人通りの多いエリアは家賃が高いため、収益と家賃のバランスを考えてみましょう。

資金調達

すでに開業資金がある場合は必要ありませんが、これから資金調達をするなら、金融機関から融資を受けるのが一般的です。融資を受ける場合は、物件を先に仮押さえしておきましょう。融資には事業計画書が必要であり、そこには家賃や出店エリアも盛り込まなければなりません。家賃や出店エリアが決まっていないと、融資を受けるのが難しくなることもあるので注意してください。

工事業者を決める

物件が決まったら、工事業者を選びましょう。店舗の工事業者には以下の3種類があります。

  • 内装業者
  • 設計・デザイン事務所
  • 工務店

内装業者は、設計からデザイン、施工までを一括で担当してくれます。1つの見積もりで完結するので、費用全体が見やすく、資金調達がしやすいのがメリットです。

設計・デザイン事務所は、設計やデザインのみおこない、施工には携わらないため、別に施工業者を手配しなければなりません。

工務店は、内装業者と同様に設計からデザイン、施工まで一括して担当します。店舗の内装以外にも、住宅などの工事もおこなっており、店舗内装の実績がない場合もあるので注意しましょう。

資格・許可書を取得する

小料理屋を開業するには、「食品衛生管理責任者」と「防火管理者」の資格が必要です。

食品衛生管理責任者

飲食店を開業する場合、衛生管理責任者を最低1人は配置しなければなりません。各自治体の保健所で講習を受け、テストに合格することで取得できます。

防火管理者

小料理屋の収容人数が30人以上の場合に必要です。消防署が実施している講習を受けることで取得できます。

また、小料理屋を開業するには、「飲食店営業許可」と「深夜酒類提供飲食店営業許可」の許可証も必ず取得しなければなりません。

飲食店営業許可

「食品衛生管理責任者の設置」「営業許可書の申請」の条件を満たし、管轄の保健所の検査に合格することで取得できます。

深夜酒類提供飲食店営業許可

午前0時から日の出までの時間に酒類を提供する飲食店を営業するのに必要な許可証です。必要書類をそろえ、各自治体の警察署を経由し、公安委員会に届出を提出します。

食器・備品をそろえる

小料理屋のコンセプトに即した食器や備品をそろえていきましょう。食器によって料理の見栄えや雰囲気が変わるため、小料理屋のコンセプトに適しているか、お店の雰囲気を壊さないか確認すると選びやすいですよ。

スタッフを採用する

スタッフを採用する場合は、アルバイトならオープンの30日前、正社員なら2〜3ヶ月前に募集をかけ、採用活動を進めていきましょう。スムーズに開業するためにも、開業前にトレーニング期間を設けておくと安心です。

スタッフの人数は、店舗の規模によって異なりますが、人件費が売上の3割以内におさまるように考えましょう。スタッフが少なすぎても運営が難しいですが、多すぎても経営を圧迫するため、バランスが大切です。

集客の宣伝方法を考える

安定した集客をおこなうためにも、効果的な宣伝方法を考えましょう。一般的な宣伝方法には以下のようなものがあります。

  • Webサイト
  • グルメサイト
  • SNS(Twitter、Instagram、Facebook、Pinterestなど)
  • チラシ
  • ポスティング

SNSは無料でアカウントを作成できるため、手軽に始められますが、知名度が低いうちはなかなかアクセスが伸びません。オープンの告知をおこなうなら、チラシや近隣へのポスティングが効果的でしょう。宣伝方法は、ターゲットや目的に応じて使い分けるのがポイントです。

助成金・補助金を申請する

国や地方公共団体、民間団体から助成金や補助金を受けられることがあります。十分な運転資金を用意するためにも、受けられる助成金や補助金はきちんと申請しましょう。ただし、申請してすぐに手元に入るわけではなく、申請してから約1年後くらいに入ることが多いようです。

助成金や補助金の情報は、常に更新されているため、営業する自治体や国のホームページを定期的にチェックしましょう。

小料理屋を開業するのに必要な資金

小規模な小料理屋を開業するには、1,000万円前後の資金が必要です。必要資金は、立地や規模、内装工事費などによって変動します。安定した運営をしていくためには、開業費用だけでなく、運転資金(ランニングコスト)も考慮して、資金調達をおこないましょう。

物件取得費用

物件取得費用には、保証金、礼金、仲介手数料、家賃などの費用が含まれます。開業資金の中でも大きな割合を占めるため、物件取得費用をおさえるには、居抜き物件を利用するのも選択肢の1つです。

また、大がかりな工事をおこなう場合は、オープンの数ヶ月前から物件を契約しなければなりません。オープン前でも家賃が発生するため、経営資金に問題ないか確認しておきましょう。

内装・外装費用

内装・外装費用には、設計・デザイン費用、施工費用などが含まれます。依頼する業者によっては、設計やデザインまでしか対応しておらず、別の施工業者とも契約しなければならないため、業者選びの際は、どこまで依頼できるのか確認することが大切です。

厨房設備費用

飲食店の居抜き物件であれば、既存の厨房施設をそのまま利用できますが、そうでない場合は、厨房設備を整えなければなりません。厨房設備は新品で購入する以外にも、中古やレンタルで用意する方法もあるので、資金や運用方法に合わせて選択しましょう。

食器・調理器具などの備品費用

食器や調理器具は、お店の規模によって異なります。特に食器は、少人数のスタッフで運転する場合、洗い物をする時間がなく、多めに用意しておく必要があったり、メニュー数によっても必要な数が変わってくるでしょう。

什器費用

什器とは、テーブルや椅子、レジ台などのことを指します。特にお客様の目に触れるものは、お店の雰囲気に大きく関わってくるため、こだわりたいところではありますが、こだわり過ぎると費用が高額になりやすいので注意が必要です。

運転資金

開業してすぐに売上が立つわけではなく、おおよそ半年は赤字経営が続くでしょう。特に独自店として出店する場合、お店の名前や魅力が広まるまでに時間がかかるので、それまでの期間を持ち堪えるための運転資金が必要となります。

主な運転資金は、以下の4つです。

  • 食材費
  • 人件費
  • 光熱費
  • 家賃

お店を運営している以上、必ずかかる費用なので、オープン前にどれくらい必要なのか計算しておきましょう。

小料理屋を成功させるポイント

小料理屋を開業しても、きちんと売上を上げられる店舗にしなければ意味がありません。思い入れのあるお店を、長く続けていくためにも、小料理屋を成功させるポイントをおさえておきましょう。

通いやすい立地

多くのお客様に来店してもらうには、通いやすい立地であることが大切です。昨今は、グルメサイトやSNSなどの普及により、事前に行くお店を決めて来店する「目的来店」のお客様も増えましたが、衝動来店も売上に大きく貢献しています。

特にちょっと立ち寄って、料理やお酒を楽しめる小料理屋は、人通りの多いエリアの方が集客が見込める可能性が高いです。駅周辺などの人気エリアは家賃が高いですが、小規模であれば、比較的低コストにおさえられるため、小料理屋のコンセプトに適した物件がないかチェックしてみましょう。

親やすいコミュニケーション

小料理屋を訪れるお客様は、料理やお酒を味わいたいのはもちろん、店長やスタッフとのコミュニケーションを楽しみにしている人も多く存在します。

お客様とのコミュニケーションを重視するなら、カウンター席を多く取るのがおすすめです。カウンター席はお客様との距離が近く、調理や配膳をしながらでも、お客様とコミュニケーションを取りやすくなります。

また、SNSを通じて親しみやすい情報を発信するのもおすすめです。たとえば、本日のおすすめメニューや、仕込みの様子などを発信することで、お店の雰囲気や魅力をお客様に伝えることができます。

居心地の良い環境づくり

大規模な居酒屋とは異なり、小料理屋は静かにゆっくりと料理やお酒を楽しめる魅力があります。特に小料理屋を訪れるお客様は、日々の喧騒を忘れ、落ち着いて食事をするために小料理屋を訪れるのです。

お客様のニーズに応えるために、居心地の良い環境づくりを心がけましょう。たとえば、間接照明を使って落ち着いた雰囲気を演出したり、自然素材を使って和風のイメージを強調したりするのも1つの方法です。

お客様に寄り添ったサービス

長く愛されるお店を目指すには、お客様に寄り添ったサービスを心がけましょう。特に小料理屋は、お客様との距離が近いため、親しみのある接客やサービスが求められます。

「今日もお仕事お疲れ様」「この間の悩みは解決したの?」など、お客様一人ひとりと向き合い、まるで家族のように接することで、距離をグッと縮められるでしょう。親しみの持てるお店は、自然とまた訪れたくなるものです。

小料理屋を経営する注意点

小料理屋の経営には、小規模だからこそのデメリットや注意点があります。開業後にトラブルを起こさないためにも、事前に注意点をおさえておきましょう。

仕入れ費用が高い

小規模な飲食店は、席数が少なく、1日のお客様の数も少ないため、食材を大量に仕入れることができず、仕入れ費用が高くなってしまいます。一般的に飲食店の仕入れは、大量に仕入れることで単価を安くおさえていますが、小料理屋では大量仕入れが難しいため、メニューの価格を高めに設定したり、客単価を上げたりすることで補わなければなりません。

高売上は望みにくい

小料理屋は席数が少ないため、高売上が望みにくいというデメリットがあります。一般的に飲食店は単価が低く、薄利多売になりがちです。そのため、多くのお客様に来店してもらい、客数によって売上を上げなければならないのですが、席数の少ない小料理屋では、中規模や大規模の飲食店のように大きく売上を伸ばすことは難しいでしょう。

売上を伸ばすためには、客席稼働率や客席回転数を上げたり、客単価を上げたりする必要があります。

怪我や病気が売上に影響する

店主が1人でお店を運営する場合、怪我や病気で働けなくなると、店舗運営に大きな影響を与えます。特に大きな怪我や病気だと、休業せざるを得ないこともあるでしょう。営業日数が減れば、それだけ売上も下がり、経営を圧迫する可能性もあるため、怪我や病気によるリスクを把握し、事前に対策を取ることも大切です。

まとめ

本記事では、小料理屋を開業するまでの手順や、長く愛されるお店を経営するポイントについて紹介しました。

小料理屋を開業するには、通常の飲食店と同じように、物件選びや資金調達、内装や外装の工事、資格や許可証の取得などをおこなわなければなりません。開業準備をスムーズに進めるためにも、今回ご紹介した手順を参考にしてみてください。

また、長く愛されるお店を経営するには、親しみやすいコミュニケーションや、お客様に寄り添ったサービスを提供することが大切です。特に小料理屋は料理やお酒だけでなく、店主やスタッフとのコミュニケーションを楽しみに来店するお客様も多く存在します。

開業資金をおさえるにはTempodas(テンポダス)で居抜き物件を探すのがおすすめです。素敵な小料理屋を開業しましょう。