お店の開業をする前に準備したい!費用と段取りについて
ある事業を始めることを一般的には「開業」と定義します。現在はSNSを使って集客できるほか、WEBを使って良い物件を探すことができる時代です。そのため、開業のハードルが下がっています。開業をしたいと考える方も増えているでしょう。しかし、開業をおこなうためには税金や法律についてしっかりと理解して開業準備をする必要があります。事前に開業に関する知識を得ておくことで、失敗のリスクも下げられるでしょう。そこで、オープンまでに準備するべきことはなんなのか、準備や開業のためのポイントを注意点と合わせてみていきましょう。
開業を決めてからオープンまでの期間は?
開業を決めてからオープンまでにかかる期間は、約1年であるといわれています。店舗物件の取得に時間がかかることもあるためスムーズに開業できるよう、余裕を持って準備を進めておくといいでしょう。綿密な計画を立てて、準備をしっかりおこなってから開業することが重要です。
開業の種類
開業の種類には、おもに次の43つがあげられます。
- 自分のお店を出して開業
- フランチャイズで開業
- フリーランスとして開業
それぞれ順番に解説します。
自分のお店を出して開業
個人事業主として自分のお店を出して開業する場合、法人設立をするよりも簡単におこなえます。これであれば、税務署に開業届を提出するだけで済むため、コストも手間もかかりません。ただ、法人に比べると取引等に制限が出る可能性もあるため、注意が必要です。最初は個人事業主として開業して後に法人化するという手段もあるでしょう。
フランチャイズで開業
フランチャイズは、加盟する店舗が本部から商品を販売する権利をもらいロイヤリティを支払う方式です。開業した当初からノウハウやブランド力を活用できるのがフランチャイズ開業のメリットでしょう。ただ、ロイヤリティ負担があるため、総利益が少なくなる点には注意が必要です。
フリーランスとして開業
自分のお店を出して開業するのではなく、フリーランスとして開業するという手段もあります。フリーランスの場合、固定の店舗等を持たず、仕事ごとに案件を受注して契約していきます。これであれば、さまざまなクライアントから案件を受注でき、仕事の幅も広がるでしょう。
開業までの準備15ステップ
開業までの準備で必要なこととしては、おもに次の15点があげられます。
- 開業の準備をする
- 業種を決める
- コンセプトを決める
- 事業計画書を書く
- 立地を決める
- 物件探し
- 許認可など法律関係の調査/必要であれば資格を取得する
- 資金調達をする
- 開業形態を決め手続きをする
- 税務の手続きをする
- 店舗をつくる
- 仕入先や提供商品を決める
- 採用をする
- 集客をする
- オペレーションを決める
それぞれ順番に解説します。
ステップ1:開業の準備をする
開業することが決まったら、まずは下記のことをおこないましょう。
- 家族への報告・承認
- 就職中の場合、退職するタイミングの確認と会社への報告
- 開業のために必要な情報収集
家族の同意を得て協力してもらえなければ、会社の経営を1人で続けていくのは難しいでしょう。従業員を採用できるようになるまでは、家族にバックアップしてもらうことをおすすめします。また、会社を退職するタイミングを間違えてしまうと、賞与や社会保険等の関係で損をしてしまう可能性もあるため注意が必要です。
ステップ2:業種を決める
準備がある程度できたら、開業する業種を決めましょう。なお、業種を決定する際は自分自身がやりたいことから選定するのも大切ですが、下記のポイントにも注意して業種を決定しましょう。
- 利益率が高い
- 在庫を持たない
- 初期投資・維持率が安い
- 難易度が低い
これらのポイントに注意することで、リスクを回避しながら失敗しにくい業種で開業できます。
ステップ3:コンセプトを決める
開業する業種を決定したら、続いてはコンセプトを決めていきましょう。なお、コンセプトを決める際のポイントは下記の通りです。
- ターゲット層をどのようにするか
- どのような商品・サービスを提供するか
- どのようなスタイルのお店にするか
これらのポイントをイメージすることで、開業のためのコンセプトが決まってくるでしょう。
ステップ4:事業計画書を書く
事業計画書とは、どのような事業をどのように展開させようとしているのかをまとめた重要書類です。事業計画書を書く目的は、おもに下記の通りです。
- 金融機関・自治体から融資を受けるため
- 自分自身が展開する事業内容をわかりやすく表現するため
綿密な事業計画書を作成しないと融資を受けるのも難しいですし、事業内容を明確に説明することもできないでしょう。
ステップ5:立地を決める
開業するための立地を決めるためには、綿密な市場調査をおこなう必要があります。なお、市場調査のポイントは下記の通りです。
- その立地にどれくらいの人が住んでいるのか
- どのくらいの人がお客様になってくれそうか
- その立地に競合はどれくらいあるのか
これらを把握することで、事業計画をより明確に立てることができるでしょう。
ステップ6:物件探し
店舗物件探しは、開業準備のなかで最も時間がかかります。希望の物件がすぐに見つかることもありますが、長いと約1年以上かかってしまう場合もあります。すぐに物件が見つかれば、約1年で開業できる可能性が高いです。なお、物件の種類は下記の通りです。
- 内装工事が必要なスケルトン物件
- 内装や既存設備のある居抜き物件
初期費用を抑えて開業準備をスムーズに進めたい場合は、居抜き物件がおすすめでしょう。
ステップ7:許認可など法律関係の調査/必要であれば資格を取得する
開業する店舗の規模によっては、防火管理者資格の取得も必要になります。飲食店を開業する場合は、食品衛生責任者資格も必要になるでしょう。自分自身が開業する業種や規模に合わせて、必要になる資格を確認しておくことをおすすめします。
出典:一般社団法人東京都食品衛生教会「食品衛生責任者について」
ステップ8:資金調達をする
開業における資金調達の方法としては、おもに次の3つがあげられます。
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 補助金
- 助成金
それぞれ順番に解説します。
日本政策金融公庫の創業融資
資金を調達する方法としては、日本政策金融公庫がよく利用されています。日本政策金融公庫については融資条件のハードルも比較的低いため、初めて開業や独立をおこなう方には適しているといえるでしょう。
補助金とは
補助金とは、事業を通して公益を達成することを目的としています。補助金は事業内容や資金の使用用途などをもとに審査をおこなって、通過できれば補助金が支給されます。申請をおこなったとしても必ず支給されるわけではないため、注意が必要です。
助成金とは
助成金とは、国や自治体が支給する返済不要のお金になります。おもに厚生労働省が担当しており、企業の雇用増加や人材育成、労働環境の改善を目的としています。
ステップ9:開業形態を決め手続きをする
開業形態には、おもに次の2つがあげられます。
- 個人事業主
- 法人設立
なお、個人事業主として開業する場合のメリットは下記の通りです。
- 開業手続きが簡単
- 開業後、事業が安定してからでも法人化が可能
法人設立の場合のメリットは下記の通りです。
- 法人税率は売上に関わらず一定
- 複数人で開業する場合は全員役員になることが可能
メリットを把握して、どちらの開業形態が自分自身に合っているか検討しましょう。
ステップ10:税務の手続をする
選択した開業形態によって、税務上の手続きが変わってきます。個人事業主であれば開業届の提出、法人設立であれば法人設立届の提出などの手続きが必要になるでしょう。
ステップ11:店舗をつくる
開業する店舗をつくる場合、施工業者を決めて内外装工事を進めていきます。内外装工事と同時に什器や厨房機器、その他の設備機器も導入していきます。看板やメニューについても、この段階で制作しておいたほうがいいでしょう。
ステップ12:仕入先や提供商品を決める
店舗づくりがひと段落したら、店舗でどのような商品を提供するのかを決めましょう。そして、それらの商品をどこから仕入れるのかを決めていきます。
ステップ13:採用をする
開業時に従業員を採用する場合は、求人情報によって人材募集して採用をおこないます。その際、労働条件通知書などの書類を作成する必要があります。
ステップ14:集客をする
開業前から集客をおこなっておくことで開業後、スムーズにお客様を流入させられます。なお、集客の方法は下記の通りです。
- 販促物の用意
- プレオープンイベント企画
これにより、開業する店舗についてお客様に知ってもらうことができ、リピーターにもつながります。
ステップ15:オペレーションを決める
接客マニュアルやレジマニュアルなどを作成して、店舗における具体的なオペレーションを決めていきます。なお、オペレーションの具体例は下記の通りです。
- アルバイトシフト作成
- 給与計算方法の決定
- 機器メンテナンスルールの決定
- 清掃管理
開業前にしておく手続き
開業前にしておくべき手続きは、主に次の4つがあげられます。
- 健康保険の切り替え
- 国民年金への加入
- 税務関係の届出
- 業種によって必要な許認可申請
それぞれ順番に解説します。
健康保険の切り替え
会社員の場合は会社で健康保険に加入していますが、個人事業主として開業するとなると国民健康保険への切り替えが必要になります。また、保険料も会社員の場合は金額の半分を負担すれば問題ありませんでしたが、個人事業主として国民健康保険となると全額負担となるため注意が必要です。
国民年金への加入
会社員の場合は厚生年金に加入して毎月、給与から天引きされるシステムですが、個人事業主の場合は国民年金に加入しなければなりません。厚生年金よりも国民年金のほうが金額は安いですがそのぶん、受給金額も少なくなるため、注意が必要です。
税務関係の届出
開業前に必要になる税務関係の届出は、おもに次の5つがあげられます。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 事業開始等申告書
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等開設届出書
- 源泉所得税の納期特例承認申請書
それぞれ順番に解説します。
個人事業の開業・廃業等届出書
個人事業の開業・廃業等届出書は、開業から約1ヶ月以内に税務署へ提出しなければならない書類となります。
事業開始等申告書
事業開始等申告書は、個人事業税に関する届出書類になります。こちらは、所得が約300万円を超える個人事業主に各自治体から課される税金です。各自治体の税事務所に事業開始等申告書を提出して、開業を申告することになります。
青色申告承認申請書
青色申告承認申請書の届出は必須ではありませんが、青色申告特控除など税金においてメリットの多い申告です。そのため、開業の際は開業届と合わせて必ず、提出するようにしましょう。
給与支払事務所等開設届出書
給与支払事務所等開設届出書は、従業員やアルバイトを採用して給与の支払いが必要になる場合に必須になる書類になります。
源泉所得税の納期特例承認申請書
源泉所得税の納期特例承認申請書は、支払いをする給与金額によって源泉所得税を納付する必要がある場合や、納付に関して特例を受けたい場合に税務署に申請書を提出します。
業種によって必要な許認可申請
開業する業種によって、許認可申請をおこなう必要があるものが異なります。許認可申請によって必要な条件や書類・資格も異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。飲食店を開業する場合は食品衛生法に沿って保健所に営業許可申請をおこなわなければなりません。
開業準備で用意しておくと便利なもの
開業準備で用意しておくと便利なものは、おもに次の3つがあげられます。
- 印鑑3つ
- 名刺
- 事業用クレジットカード、銀行口座
それぞれ順番に解説します。
印鑑3つ
開業する場合、用途によって使用する印鑑が異なるため、印鑑を3つ用意しておく必要があります。なお、用意しておいたほうがいい印鑑は下記の通りです。
印鑑の種類 | 用途 |
実印 | 各自治体で印鑑登録された正式な印鑑。不動産や創業融資等で契約する際に必要。 |
銀行届出印 | 事業用の口座開設をおこなう際に銀行に届け出する印鑑。実印で兼ねることも可能。 |
角印 | 屋号の角印を用意しておくと、請求書・領収書の押印に便利。 |
名刺
開業準備段階においても、名刺は必要になります。開業前でも不動産会社や金融機関、仕入先に挨拶する機会はあります。開業のためのセミナーに参加した場合も名刺があると人脈づくりにも役立つでしょう。
事業用クレジットカード、銀行口座
個人事業主となったあとだと、クレジットカードの審査は通過しにくくなります。そのため、会社員のうちに事前に事業用クレジットカードをつくっておくことをおすすめします。さらに、個人用銀行口座とは別に事業用銀行口座も開設して、資金管理しやすいようにしておきましょう。
開業を成功させるために
開業までには開業のコンセプト決定、事業計画書を作成、店舗物件取得、資金調達などさまざまな準備が必要になります。開業には多くの資金が必要になるため、予算が少ない場合はフランチャイズ開業という選択肢もあるでしょう。開業時には資金調達できる手段が多くありますが、それでも資金は限られているため、できるだけ開業費用は抑えるのがおすすめです。Tempodas(テンポダス)では、多数の未公開物件や周辺の商圏データを閲覧できるので、開業準備している人にぴったりです。ぜひ居抜き物件選びに使ってみてください。