焼き鳥屋の開業資金にいくら必要?開業の手順と成功のコツを解説!
焼き鳥屋は飲食店のなかでも比較的、開業のハードルが低くスモールスタートできるのが特徴です。初期費用がかからず経費コストも抑えられるため、飲食店において最初に焼き鳥屋に挑戦してみたいと考えている方も多いでしょう。そこで焼き鳥屋の開業に必要な資金はどれくらいなのか、開業の手順はどのようになるのかについてみていきましょう。
焼き鳥屋開業に必要な資金
焼き鳥屋の開業資金について考えるうえでポイントは、おもに次の3つが挙げられます。
- 焼き鳥屋の開業に必要な初期費用
- 焼き鳥屋の経費
- 資金調達の方法
それぞれ順番に解説します。
焼き鳥屋の開業に必要な初期費用
焼き鳥屋の開業に必要な初期費用は、約500~1000万円であるといわれています。なお、こちらの初期費用は約30坪ほどの店舗でスモールスタートした場合の計算になるため、あくまでも目安となります。焼き鳥屋開業の初期費用一覧は下記の通りです。
項目 | 金額 |
店舗物件取得費用 | 300~500万円 |
内外装工事費用 | 150万円 |
厨房設備費用 | 50万円 |
備品費用 | 50万円 |
広告宣伝費 | 30万円 |
合計 | 500~1000万円 |
店舗物件取得費用と内外装工事費用については、焼き鳥屋の規模によって金額が大きく異なります。数多くの飲食店のなかでも焼き鳥屋は大量の煙が発生します。あまりにも店舗が小さいと煙が充満してしまうため、最低でも30坪ほどの店舗は必要になるでしょう。そのため、店舗物件取得費用や内外装工事費用については高額になりますが、焼き鳥屋だった居抜き物件を利用することでコストを抑えられる可能性があります。
焼き鳥屋の経費
焼き鳥屋に必要な経費は、1ヶ月あたり約300万円ほどです。なお、各項目ごとの経費の内訳は下記の通りです。
項目 | 金額 |
人件費 | 100万円 |
店舗家賃 | 30万円 |
原材料費 | 100万円 |
水道光熱費 | 30万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
合計 | 300万円 |
店舗の家賃は、焼き鳥屋の立地や規模によって変わってきます。また飲食店になるため、原材料費についても確実に確保しておかなければなりません。焼き鳥屋の場合、原材料費はそこまで高くありませんが、廃棄が増えるとコストの無駄になるため、仕入れの数をしっかり調整する必要があるでしょう。
資金調達の方法
焼き鳥屋の開業においては、借り入れによって資金調達することも可能です。おもな借り入れ先は銀行になることが多いですが、銀行は審査が厳しいといわれています。一定の自己資金を用意しなければならず、綿密な事業計画書も必要になるため、資金調達について悩んでいる方も多いでしょう。なので、資金調達をスムーズにおこなうために日本政策金融公庫などの機関からの借り入れも検討したほうがいいかもしれません。日本政策金融公庫では、個人事業主の開業に対して積極的に融資をおこなっています。自己資金が少ないため、困っているという方も1度、条件等を確認してみるといいでしょう。
焼き鳥屋は儲かる?
焼き鳥屋の売上は、店舗の規模や立地によって大きく異なります。約30坪ほどの焼き鳥屋だと1ヶ月の売上は、約400万円ほどになるでしょう。なかには、約50坪ほどの店舗で1ヶ月約500万円ほどの売上を達成している焼き鳥屋もあります。営業形態を工夫して客単価や店舗の回転率を上げられれば、焼き鳥屋で毎月約500万円以上の売上を達成することも可能でしょう。
焼き鳥屋の開業9ステップ
焼き鳥屋の開業のために必要なステップは、おもに次の9つが挙げられます。
- 市場調査
- コンセプト設計
- 事業計画の作成
- 資金調達
- 店舗の取得
- 資格と許可の取得
- 商品・メニュー開発
- 仕入先の選定と決定
- 採用・教育
それぞれ順番に解説します。
ステップ1:市場調査
焼き鳥屋はスモールスタート可能なだけあって、競合の多い業種です。そのため、焼き鳥屋開業前には必ず、しっかりとした市場調査をする必要があるでしょう。競合調査も重要ですが、開業を検討しているエリアで焼き鳥屋がどれくらいのニーズがあるのかも大切です。また、どのような焼き鳥メニューが求められているのかということも調査することをおすすめします。これらの市場調査をもとにして、開業する焼き鳥屋のコンセプトやメニュー、店舗の立地を綿密に決めていきましょう。
ステップ2:コンセプト設計
市場調査が完了したら、自分自身が開業する焼き鳥屋のコンセプト設計をおこないます。他の焼き鳥屋との差別化を図れるようなコンセプト設計が重要です。商品価格を低めに設定してカジュアルな焼き鳥屋とするか、ブランド鶏にこだわった高級感あふれる焼き鳥屋にするかによってコンセプト設計も大きく変わります。市場調査をもとにしたお客様に受け入れられやすいコンセプト設計をおこないましょう。
ステップ3:事業計画の作成
コンセプト設計ができたら、それに合わせた焼き鳥屋の経費の確認や現実的な売上を想定して焼き鳥屋の事業計画を作成しましょう。店舗物件の確保や内外装工事、厨房設備導入のための資金や店舗の賃料、人件費、仕入れ費用などの運営資金などがどれくらい必要になるのかを計画します。事業計画は融資を受ける際にも重要になるため、詳細で現実的な事業計画を立てるようにしましょう。
ステップ4:資金調達
焼き鳥屋の開業に必要な資金が自己資金のみで足りない場合、資金調達をおこなう必要がでてきます。金融機関からの融資や各自治体による補助金や助成金の活用が一般的でしょう。金融機関からの融資を受ける場合、銀行または日本政策金融公庫から融資を受ける方法があり、開業当初は日本政策金融公庫の利用がおすすめです。銀行の場合、実績や綿密な事業計画がなければ融資を受けるのは難しいです。しかし、日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主の支援を目的としているため、開業にも積極的に協力してくれます。焼き鳥屋の開業に必要な資金をしっかりと把握して、どのように資金調達をおこなうのか検討しましょう。
ステップ5:店舗の取得
店舗物件を取得できたとしても、焼き鳥屋をすぐに開業できるわけではありません。焼き鳥屋のオープンに向けた内外装工事が必要になります。店舗の内外装にこだわるのであれば、多くの時間や手間がかかります。希望している店舗物件がすぐに見つかるとも限らないでしょう。そのため、焼き鳥屋の開業をする際はオープンに間に合うよう、早い段階から店舗物件を探すことをおすすめします。
ステップ6:資格と許可の取得
焼き鳥屋を開業するためには食品衛生責任者資格の取得が必須ですが、場合によっては防火管理者資格も必要になります。食品衛生責任者資格は、焼き鳥屋だけでなく飲食店全般を開業するために必要な資格です。防火管理者資格は、店舗の収容人数が約30名以上となる飲食店を開業する場合に必要な資格になります。店舗の延べ面積に応じて必要資格が異なるため、開業する焼き鳥屋に合わせて資格を取得しましょう。
ステップ7:商品・メニュー開発
商品・メニュー開発は、市場調査やコンセプト設計をおこなった際に分析したターゲット層から焼き鳥の味やボリューム、お皿や盛り付け方法についても決めていきます。ターゲットが女性であれば健康を意識した野菜中心の焼き鳥メニューでボリュームも少なめにします。一方で若い男性がターゲットの場合は、味付けも濃いめにしてボリュームも増やし、お酒にも合うメニューを考えるといいでしょう。
ステップ8:仕入先の選定と決定
商品・メニュー開発がある程度できたら、メニューに合わせて原材料の仕入先の選定と決定をおこなっていきます。仕入先ルートを確保して味や品質、仕入値を考えながら慎重に選定していきましょう。
ステップ9:採用・教育
小規模店舗の焼き鳥屋であれば、1人でも経営可能です。しかし、オーナーに調理の知識がない場合や、ある程度規模の大きい焼き鳥屋を開業したい場合には従業員の採用・教育が必要になります。従業員の教育については、セミナーやスクールを利用する方法もあるため、開業する焼き鳥屋の状況に合わせて採用・教育を進めていきましょう。
焼き鳥屋を開業するメリット
焼き鳥屋を開業するメリットは、おもに次の3つが挙げられます。
- 原材料や内外装費を抑えやすい
- 他の業態と比べて低コストで開業できる
- 未経験から始められる
それぞれ順番に解説します。
原材料や内外装費を抑えやすい
数多くの飲食店のなかでも、焼き鳥屋は原材料や内外装費を抑えやすいといわれています。あくまでも商品のメインとなるのは鶏肉ですが、野菜も上手く組み合わせることで、ブランド鶏を使用しなくてもお客様に満足してもらうことができます。また、焼き鳥屋はカジュアルなイメージが強いため、店舗物件によっては内外装工事をおこなわなくても開業可能です。
他の業態と比べて低コストで開業できる
焼き鳥屋は10席ほどの小規模な店舗であっても、お客様に受け入れられやすい飲食店です。そのため、店舗物件取得費用や内外装工事費用など少ない初期費用で開業できます。また、焼き鳥屋は他の肉料理の飲食店と比べても原材料費を安く抑えられます。アルコールの注文も入りやすいため、高い利益率も見込めるでしょう。
未経験から始められる
焼き鳥屋はスモールスタート可能なことから、未経験からでも始められます。特に難しい資格は必要ありませんし、オーナーが未経験であっても調理経験のある従業員を採用すれば問題ないでしょう。
焼き鳥屋を開業するデメリット
焼き鳥屋を開業するデメリットは、おもに次の2つが挙げられます。
- 競合店の種類が多い
- 売上が立地に左右される
それぞれ順番に解説します。
競合店の種類が多い
焼き鳥屋の競合は、同じ焼き鳥商品を提供する飲食店のみとは限りません。焼き鳥屋を利用するお客様はアルコールを求めて来店することも多いため、下記のような飲食店にであっても競合となります。
- 居酒屋
- イタリアンレストラン
- 焼肉店
- 韓国料理屋
焼き鳥屋は飲食店のなかでも競合の多い業種といえるでしょう。そのため、競合を常に意識して事業計画を立てることが大切です。
売上が立地に左右される
焼き鳥屋は、売上が店舗の立地に左右されやすい飲食店です。そのため、初期費用や店舗物件取得費用の安さのみで立地を選ぶのはおすすめできません。焼き鳥屋はサラリーマンやOL、大学生などターゲット層も幅広いです。そのため、店舗の立地を誤ってしまうと目標売上が達成できない可能性もあるので注意しましょう。
焼き鳥屋を成功させるポイント
焼き鳥屋を成功させるためのポイントは、おもに次の3つが挙げられます。
- 差別化を図る明確なコンセプト
- コストパフォーマンスの良い商品を提供する
- 集客が見込める立地での開業
それぞれ順番に解説します。
差別化を図る明確なコンセプト
競合の多い焼き鳥屋においては、差別化を図る明確なコンセプトを設定するのが成功のポイントです。メインターゲット層を意識しながら、それらのお客様を確実に集客できるようなコンセプト設計をしましょう。焼き鳥屋において差別化を図る明確なコンセプトの具体例は下記の通りです。
- 高品質でおいしい焼き鳥を提供する
- インスタ映えや話題性の強い焼き鳥屋にする
- 商品のレパートリーの多い焼き鳥屋にする
- 気軽に立ち寄れるカジュアルな立ち飲み屋スタイルを提供する
- ランチで焼き鳥定食を提供する
- 焼き鳥をテイクアウトできたり、フードデリバリーも提供する
現在は新型コロナウィルス感染拡大の影響もあるため、1人で焼き鳥を楽しんですぐに帰宅できるスタイルも人気となるでしょう。
コストパフォーマンスの良い商品を提供する
焼き鳥屋では、コストパフォーマンスの良い商品を提供することも大切です。焼き鳥の価格が安いとしても、品質や見た目の悪い商品ではリピーターは生まれません。しかし、原材料の品質をあげてしまうとコストも大きくなります。そのため、コストパフォーマンスの良い商品を提供するために、調理技術を上げることを検討しましょう。焼き鳥は調理する人によって味が大きく変わります。店舗で鶏肉の処理から串うちまでできるようになれば、原材料費用のコストカットにもつながるでしょう。
集客が見込める立地での開業
焼き鳥屋は立地が売上に大きく関わるため、集客が見込める立地での開業が重要です。基本的には人通りの多い立地で問題ありませんが、ビジネス街や商店街、繫華街など焼き鳥屋のターゲット層に合わせた立地を選択することが大切でしょう。
焼き鳥屋の開業で失敗してしまうポイント
焼き鳥屋の開業で失敗してしまうポイントは、おもに次の3つが挙げられます。
- 差別化が上手くできていない
- 低価格戦略で勝負する
- 初期費用を掛けすぎてしまう
それぞれ順番に解説します。
差別化が上手くできていない
焼き鳥屋の開業で失敗してしまうポイントとしては、他の焼き鳥屋との差別化が上手くできていないことが挙げられます。差別化が上手くできていないと、近くの競合の焼き鳥屋にお客様が流出してしまいます。そのため、焼き鳥屋開業の立地状況をリサーチしつつ、ターゲット層についても把握する必要があるでしょう。
低価格戦略で勝負する
焼き鳥屋を開業する場合、原材料費用を抑えてメニューも低価格にすることも大切です。確かに鶏肉の場合、他の飲食店における食材よりも原材料費用を抑えられます。しかし、あまりにも原材料費用が安いと品質が落ちる可能性があります。低価格戦略で勝負してもお客様に注文されなければ意味がありません。原材料費用と商品の品質をバランスよく考えることが重要になります。
初期費用を掛けすぎてしまう
焼き鳥屋を開業する際は店舗物件を取得したり、内外装工事費用がかかったりと初期費用も多く発生します。しかし、開業資金にも限界があります。あまりにも初期費用をかけすぎてしまうと、焼き鳥屋開業後の経営が困難になる可能性があります。そのため、初期費用をかけすぎないよう焼き鳥屋の開業を目指しましょう。
個人開業とフランチャイズ開業どっちがいい?
ここまでは、おもに個人事業主による個人開業についてお話してきました。しかし、個人開業とフランチャイズ開業どちらがいいか迷っている方も多いのではないでしょうか?こちらでは、フランチャイズも選択肢の1つとして、フランチャイズ開業のメリット・デメリットについて解説します。
フランチャイズ開業のメリット
焼き鳥屋をフランチャイズ開業した場合、材料や調味料がすでに決まっているため、開発の必要がありません。また、フランチャイズでは店舗名もすでに有名になっていることが多いため、それだけで集客を見込める可能性があります。
フランチャイズ開業のデメリット
焼き鳥屋をフランチャイズ開業した場合、基本的に契約期間内の契約解除はできません。また、フランチャイズによる焼き鳥屋の味やコンセプトが、選択した店舗物件の立地に必ず合うとは限らないというのも、デメリットの1つでしょう。さらに、フランチャイズでは他の店舗で何かトラブルが発生すると、すべてのフランチャイズ店舗の評判が落ちてしまう可能性もあります。
焼き鳥屋開業成功のコツは初期費用をいかに抑えるか
焼き鳥屋だけでなく、どのようなビジネスでも初期費用を抑えることが成功の秘訣です。個人経営でもフランチャイズ経営でも開業資金を抑えることで成功確率が高まります。資金調達にも限りがあるため、限られた資金で開業から経営まですることを考えると、抑えられる費用は抑えることが重要でしょう。テンポダスでは多数の未公開物件や周辺の商圏データを閲覧できるので、おすすめです。