コインランドリー開業の初期費用・手順・資金調達について解説!
コインラドリーの開業はビジネス未経験のサラリーマンや主婦でも取り組める資産作りのひとつとして、アパート経営や駐車場経営のように安定的に収入を得られるようになる可能性があるものです。
老後の備えや第2の収入の柱として始める人が増えているコインランドリーの開業方法と経営に失敗しないポイントを解説します。
コインランドリー開業までの初期費用
コインランドリーの開業に必要な初期費用に内装工事費、機器購入費、広告宣伝費などがあります。コインランドリーの開業資金は意外と高く、例えば20坪程度の物件でも一般的には、初期費用が4,000万円近くはかかると言われています。
内容 | 費用目安 |
店舗建築費 | 約1000万円 |
設備費 | 約2000万円 |
内装費 | 約700万円 |
外装費 | 約250万円 |
他にもフランチャイズ加盟する場合は加盟金、販促費用、研修費用、土地を所有していない場合は土地代が必要になるケースもあります。初期費用はかかりますが、銀行や公庫による融資制度の活用、リース契約で初期費用を抑えるなどの対策が考えられます。
また、経営の都合上で廃業となったコインランドリーの居抜き物件を使って開業するのもおすすめです。このような居抜き物件なら、初期費用を安く済ませることができるほか使える機会が残っていることもあります。
コインランドリー経営費用
小型店舗のケースと大型店舗のケース別のランニングコストをご紹介。
店舗の大きさや導入する機器の数などによっても経営費用は大きく変わってきます。
小型(10~15坪) | 大型(50坪) | |
光熱費(月) | 15万円ほど | 120万円ほど |
家賃(月) | 10万円ほど | 25万円ほど |
人件費(月) | 5万円ほど | 5万円ほど |
マンションやビルの1階にあるような小型店舗のコインランドリーは24時間営業も増えていますが、ほとんどが無人化しています。
ですので、人件費は固定費と考えるのが妥当です。
また税金については以下の表にまとめました。
税金の種類 | 計算方法 |
固定資産税 | 固定資産税評価額 × 1.4% |
償却資産税 | 償却資産税 = 課税標準額 × 1.4%1年:取得費用 × { 1-( 償却率 ÷ 2 )}2年以降:前年の課税標準額 ×( 1 – 償却率 ) |
個人事業税 | 所得金額 = 売上 – 経費 – 控除個人事業税 =( 所得金額 – 事業主控除290万円 )× 税率(5%) |
所得税 | 所得金額 = 売上 – 経費 – 控除所得税 = 所得金額 × 税率 – 所得控除 |
住民税 | 所得税 = 所得金額 × 税率(10%) |
消費税 | 消費税 = 売上 × 税率(10%) |
コインランドリー経営はどれくらい儲かる?
ここでは、コインランドリーの利回りについて見ていきましょう。
コインランドリー売上シミュレーション
コインランドリー店舗の売上は規模によって異なります。
小型店舗(月):70万円ほど
大型店舗(月):130万円ほど
店舗が広いと、そのぶん乾燥機や洗濯機を多く設置することができます。そのため、大きな売上がつきやすいでしょう。一方で賃貸料が高い土地柄の場合、店舗が大型であればいいというわけでもありません。なぜならランニングコストと売り上げのバランスが大事だからです。
コインランドリー費用シミュレーション
小型店舗(月):30万円ほど
大型店舗(月):60万円ほど
コインランドリー収益シミュレーション
小型店舗(月):売上70万円-費用30万円=40万円ほど
大型店舗(月):売上130万円-費用60万円=70万円ほど
コインランドリーは、自分の所持している物件か賃貸物件を利用するかで利回りが異なります。たとえば、賃貸物件を利用したコインランドリーを経営する場合、利回りは平均して8~12%程度です。利回りが10%の場合は、約10年で元が取れるということになります。
コインランドリー開業5ステップ
コインランドリーの開業には5つの準備が必要になります。まずコインランドリーの開業についてステップごとに見ていきましょう。
ステップ1:立地を選定する
コインランドリー開業で最も大事になるのが立地選びです。場所選びを間違えるとコインランドリー経営はうまくいきません。コインランドリーを設置する際は、その場所にコインランドリーを利用する顧客層が多いかを吟味する必要があります。
コインランドリーの開業に適した条件は
- お子さん含め4人以上の家族が多く住んでいる住宅地の近く
- 車が駐車しやすく、道路から見つけやすい場所
- スーパーが近い
コインランドリーのメインターゲットは、昨今では共働き世帯です。高校生以下の子供がいる4人以上の家庭は洗濯物が多いので、家族で住む住宅地の近くはコインランドリー開業のための立地としては適正になります。
また子供がいる家庭は週末に洗濯物をまとめるケースが多いです。車で出かける家庭が多いため、車中から見やすく車を駐車しやすい場所はコインランドリーに適した土地と言えます。
特に食品スーパーに買物に行く際にはついでにコインランドリーにも立ち寄る方も多いです。乾燥や洗濯には時間がかかるので、そのあいだ待っているだけでは顧客も「時間がもったいない」と感じるのでしょう。食品スーパーや大型複合店舗に近い場所ではコインランドリーを利用する人が多いです。食品スーパーの隣なども非常に良い場所と言えるでしょう。
ステップ2:店舗コンセプトを決める
2つ目に行うことは「店舗コンセプトを決めること」です。人を雇うかどうか、営業時間、漫画喫茶やカフェなどを併設するか等のいくつかの選択肢があります。
また、店舗のウリを考えて他店との差別化を図ることも重要です。例としてはアレルギー対策としてアルカリイオン水だけで洗えるコインランドリーや、ペット用品を洗濯できる特別な洗濯機を導入しているコインランドリーなどがあります。
特に参入障壁の低いビジネスにおいては差別化要素がないと、コンセプトを定めた店舗に見劣りして簡単に顧客が奪われる事態になります。対策としてはターゲットを明確することで顧客に合わせたコンセプトのあるコインランドリーにすることです。
ステップ3:洗濯機を選定する
場所とコンセプトが決まれば必然的に店舗の大きさも決まるので、次にやることは洗濯機を選定することになります。
洗濯機には小型・中型・大型がの3種類があり、最も高い稼働率を誇るのが中型です。そこで、まずは中型洗濯機をメインに導入を考えます。また稼働率が低くても顧客が離れていかないために数台大型洗濯機も入れておくことも重要です。
そしてコインランドリーの最大の収益源となるのは洗濯機ではなく実は乾燥機。実に70%ほどの売上を乾燥機が占めています。理由として考えられるのはコインランドリーは雨の日に乾燥機だけを使う人が増えるからです。
そこで、雨の日の売上を伸ばすために乾燥機は「乾燥機のみ」のもの(あるいは「乾燥のみ」のコースが選べる機械)を設置するのが適切になります。
ステップ4:FCに加盟するかどうかを決める
FC(フランチャイズ)に入るかどうかを決めることもコインランドリー経営を成功させるには重要なポイントです。近年のコインランドリーサービスは急激に伸びているので、自己流なやり方でやっていくことが難しくなりつつあります。
たとえばマンションやアパート経営などの不動産投資のように初月から家賃収入が安定して入ってくるものではなく、売上が安定しづらいビジネスで、早くても1年はかかるのがコインランドリー経営です。
もちろん放置していては売上は上がりませんので、広告を打つチラシを定期的に撒くなどして新規顧客のために動いていき、安定させるにはリピーターも作っていく必要があります。
FCであれば売上を安定させるまでのノウハウが確立された場所も多いです。そこでFCに加盟して、その仕組みに乗りながら売上を安定させていくのも戦略の一つとして考えるべきでしょう。
ステップ5:収支計画を立てる
特に開業の準備の段階には収支計画を立てていくことが必須です。競合のコインランドリーの相場などを調査し、稼働率から売上の見込みを計算していきます。
収支計画を立てるには、売上の目標を低めに見込んでおくことが大切です。特に、1~2年目はなかなか安定してこないので低く見込んでおくことがポイントになります。
集客が上手くいかないのは、「店舗の存在が見込み客に認知されていない」と「新規からのリピーターを生み出せてない」の2つがあげられます。
最初は来てなかったお客さんも時間が経つと「そういえばコインランドリーがあそかにあったな」と思い出し、来てくれることが増えていきます。そうなると自然にお客さんが増えていき売上も安定していくのです。
そしてなんといってもコインランドリー経営安定のカギを握っているのはリピーターの存在。
ある程度時間は必要になりますが、2年、3年と続いていくとどんどん売上が伸びていくのがコインランドリー経営の特徴でもあります。
序盤はなかなか安定しずらいので、収益計画においては売上目標は低めに設定しましょう。
コインランドリー開業に必要な手続き
コインランドリーの開業には保健所にコインオペレーションクリーニング営業施設開設届とコインオペレーション営業施設概要の提出が必要になります。
コインオペレーションクリーニング営業施設開設届とは
コインランドリーは「コインオペレーションクリーニング営業施設」というものになり、開設しようとする方はあらかじめ開設届を営業施設の所在地を所管する保健所長に届け出る必要があるのです。
ここでは施設名称や所在地、責任者情報などを記載していきます。
コインランドリー開業は施設基準を守ることが重要
営業者には以下の基準の遵守が求められています。
- 衛生管理責任者の選任
- 衛生管理責任者の氏名・連絡先の掲示
- 営業施設内の清掃
- 洗濯機、乾燥機等の機械類の保守点検
- 施設の利用方法等の掲示
- 伝染性の疾病にり患した者や接触した者が着用した衣類等の洗濯の禁止
- し尿の付着したおむつ、運動靴、動物の敷物等の洗濯の禁止(専用の洗濯機を設置している場合を除く)
またドライクリーニング用洗濯機を設置する場合の基準は以下です。
- 有機溶剤管理責任者の選任
- 有機溶剤を含有するものの廃棄は、専用のふた付き容器に保管すること
- 有機溶剤を密封容器に入れ、施錠可能な専用保管庫に保管すること
営業施設が基準などに違反しているとみなされると指導されることがあります。
コインランドリー開業で失敗しないためのポイント5選
コインランドリーの開業で失敗しないために重要なポイントを5つご紹介します。まずは集客が見込める立地を選びましょう。
ポイント1:儲かる立地か調査する
コインランドリーを開業するときは、集客が見込める立地かどうかを事前に調査しておきましょう。どれだけ魅力的なコインランドリーであっても、人口があまりに少ない場所や、競合店が強い場所などでは集客が見込めません。そのため、事前に世帯数や競合店など、周辺の状況を調査しておくことが重要です。
ポイント2:設備の見極め
ひとくちにコインランドリーと言っても、利用者の洗濯物の種類や数によって、必要な設備は大きく変わります。コインランドリーの設備には、主に洗濯機・乾燥機・洗濯乾燥機の3種類があります。さらに、小型機・中型機・大型機などのサイズや、スニーカー専用・ペット用品専用の洗濯機などバリエーションもさまざまです。
利用者に必要とされない設備を置いたり、必要な設備が足りなかったりすると、利益を獲得するチャンスを逃してしまいます。そのため、たとえばファミリー層が多い住宅地であれば、布団なども洗える大型洗濯機を増やすなど、顧客の需要に合わせて設備を選ぶことが重要です。
ポイント3:収支計画は保守的に見込んでおく
開業前に「収支計画」をしっかり練っておきましょう。前述したように、コインランドリーの開業には多額の初期費用がかかるうえに、開業後もさまざまな経費が必要です。事前の収支計画が甘ければ、開業後に資金繰りが困難になって、事業を継続できなくなることも。初期費用や経費を抑えると同時に、予期せぬ出費も見込んで「保守的」な収支計画を立てることが重要です。
ポイント4:初期投資は長期的な観点で回収していく
コインランドリーの初期費用は、長期的な視点で回収することが重要です。コインランドリーの設備は高額ですが、一度導入すれば継続的な利益を生み出し、手堅く収益を積み重ねていけば初期費用を十分に回収できます。
ポイント5:有人化する
コインランドリーを個人で経営する場合は、競合店との差別化を図り、「自店舗独自の魅力」を顧客にアピールすることが重要です。そのために効果的なのが「有人化」です。あえて有人化することで、顧客にきめ細やかなサービスを提供できるようになり、リピーターを獲得できることもあります。
コインランドリーを経営するメリット
コインランドリーを経営することで得られるメリットをご紹介します。専門的な知識がなくても開業できることや、安定的な収入が見込めることがポイントです。
メリット1:人件費や税金を節約できる
コインランドリーは基本的に機械がほとんどの仕事をするので、他の事業と比べて人件費を節約しやすいことがメリットです。人手がかかるのは掃除や備品の補充、集金くらいのものであり、自分でやれば人を雇うための人件費もかかりません。また税金に関しても、相続税の発生時に土地の評価額が8割減になるなど、一定の要件を満たせば誰でも受けられる税制もあります。
メリット2:長期的な安定収入が確保できる
コインランドリーは、継続的な需要が見込める分野なので、長期的な安定収入を確保しやすいこともメリットです。洗濯は日常生活に欠かせないものなので、コインランドリー経営は景気に左右されづらいビジネスだといわれています。また、地域に根付いたビジネスでもあるため利用者のリピート率が高いことも特徴です。
メリット3:専門的な知識がなくても開業できる
コインランドリー経営には、専門的な知識やスキルは必要ありません。研修や資格も不要なので、資金さえ用意できれば誰でも開業できることが魅力です。
コインランドリーを経営するデメリット
コインランドリーを経営するうえで、犯罪リスクや固定客の確保などに注意することが重要です。
デメリット1:24時間無人経営での犯罪リスク
コインランドリーは基本的に「無人経営」ができますが、常に「犯罪リスク」があることに注意が必要です。たとえば、洗濯機や乾燥機に入っているものが盗まれたり、両替機が荒らされたりする可能性があります。こうした犯罪が起きやすいコインランドリーからは、自然と客足が遠のいてしまうものです。防犯カメラの設置や時間で区切って、有人化することにより、犯罪リスクを抑えることが重要です。
また、コインランドリーが人通りのある場所であるかどうかも意識した物件選びをしましょう。車が多く通り、人が多く通る場所なら、犯罪リスクを減らすことができるはず。さらに、多くの人にコインランドリーを知ってもらえます。
デメリット2:競合が多いと固定客の維持が困難
競合店が多い地域では、固定客の確保が難しいこともデメリットです。コインランドリーは、基本的に他店との差別化が図りにくいビジネスです。洗濯機とIT技術を組み合わせて洗濯・乾燥終了時にスマホで通知したり、ポイントや回数券などを導入したりして、固定客を獲得することも検討してみましょう。
デメリット3:高額の初期費用と経営が安定するまでの資金確保
コインランドリーの経営には高額な資金が必要なので、そのための資金確保が難しいこともあります。初期費用を安く抑える方法のひとつに、「居抜き物件」があります。居抜き物件は、前のテナントの設備を残した物件のこと。用意すべき設備の数が減り、初期費用を大幅に抑えれらることもあるので、ぜひ検討してみてください。
開業に失敗しないコツは初期費用を抑えること
コインランドリーの開業資金や、経営を成功させるためのコツをご紹介しました。コインランドリーを経営するための資金調達には限界があるので、限られた資金から初期費用と利益が出るまでの経費を捻出する必要があります。経費を大きく抑えることは難しいですが、初期費用は「居抜きの物件」を利用すれば大きく抑えることが可能です。テンポダスでは、「未公開の店舗賃貸物件」を効率的に検索できるツールを提供しており、多数の居抜き物件を手軽に検索できます。居抜き物件を利用することで、開業時にかかる費用を大きく削減できるのでおすすめです。