居酒屋の開業に必要なものとは?開業資金と具体的な手順を解説

居酒屋は比較的新規参入がしやすいため、独立や開業が活発に行われています。しかし、開業資金や資格が求められるほか、さまざまな事務手続きが必要になるので、開業を考えている方は事前に準備すべきものを理解しておきましょう。

また、居酒屋は新規参入やライバル店が多いため、成功するためのポイントを掴んでおくことが大切です。

そこで本記事では、居酒屋開業に必要なものや具体的な手順について解説します。

掲載物件数80,000件以上

リクルートの運営する店舗物件検索サイトTempodasに登録いただくことで、多数の未公開物件や、周辺の商圏のデータ等を閲覧することが可能です。

無料登録

居酒屋経営の特徴

初めに居酒屋経営の現状、メリット・デメリットを解説します。

居酒屋経営の現状

居酒屋業界の市場規模は2019年以前は年間1兆円を超える広い市場規模を誇っていました。しかし、2020年以降、新型コロナウイルスの影響を強く受け、4000億円程度とコロナ前の4割程度まで落ち込みました。

現在も居酒屋を取り巻く状況は厳しいですが、今後はコロナ後のリベンジ消費、外国人観光客などのインバウンド需要が見込めます。大人数での飲み会目的ではなく、少人数や一人飲みの需要が増加していることなど、顧客のニーズが変化している中なので、従来にはなかった新しい発送のお店を開業することで、一気に人気店となれるチャンスもあるでしょう。

居酒屋経営のメリット

居酒屋経営には主に以下のメリットが考えられます。

・利益率が高い

・初期費用を抑えやすい

・一人飲み需要が多い

利益率が高い点は、居酒屋の大きなメリットです。ビールや日本酒などのアルコール飲料、焼き鳥、刺身などの料理は一般的に仕入価格の2〜3倍で販売しているため、多く提供できればそれだけ高い粗利を得られます。

また、店舗を開業する際は内装や外装の工事費、設備の導入費など、高額な初期費用がかかりますが、居酒屋の場合、カウンター席のみなど小規模な店舗経営が可能であり、居抜き物件も多数あるため、初期費用を抑えやすい特徴があります。近年では新型コロナウイルスの影響で大人数での飲み会が減り、一人飲み需要が増加したことから、小規模で立ち寄りやすいお店が特に注目されています。

居酒屋経営のデメリット

居酒屋経営のデメリットとしては以下の3点があげられます。

・長時間労働になりやすい

・競合が多い

・食中毒などのリスクが付きまとう

飲食業界は深刻な人手不足に陥っているため、従業員の確保が難しく一人一人の労働時間が長くなりやすい傾向にあります。特に居酒屋の場合、深夜や朝方まで営業するお店も多く、他の飲食店舗と比較しても長時間労働になりやすい特徴があります。

また、居酒屋は全国に多数あるため、新規参入が難しくない業態なので競争が激しく、他店舗と差別化を図らなければ安定した経営をしていくのは困難でしょう。さらに飲食店舗すべてが抱えるデメリットですが、もしお店で食中毒を出してしまった場合、顧客離れが進むだけでなく、保健所による立ち入り検査が行われたり、場合によっては営業停止、営業許可取り消しなどの行政処分を受けたりする可能性があります。

居酒屋の開業に必要な資格

居酒屋の開業に必要な2つの資格を紹介します。

食品衛生責任者

食品衛生管理者は衛生管理の知識があり安全な食品を提供できる人です。食品衛生法第48条では、特定の食品加工や添加物の製造を行う事業所では、食品を取り扱う施設ごとに製造または加工を衛生的に管理させるため、専任の食品衛生管理者を置かなかればならないことが定められています。

飲食店を始め食品を提供する店舗は、食品衛生法による規制を受けるため、食品衛生責任者の選任が義務付けられています。この資格は都道府県が実施する講習会を受講することで取得することができます。講習は6時間ですので、お住まいの自治体にスケジュールを確認し、事業を始める前に資格取得を目指しましょう。

防火管理者

防火管理者は防火管理に必要な業務を遂行するための知識を有することを証明する国家資格です。店舗の定員が30名を超える場合は、防火管理者を選任しなければなりません。

防火管理者の資格は、消防法に定められた講習を修了することで取得できますので、お住まいの地域の消防署に講習日程を確認して、必要な場合は早めに受講するようにしましょう。

防火管理者が選任されていない場合、場合によっては罰則が適用され、火災が発生して怪我人が出た場合、重い罪が課されることがあるので、営業開始までに必ず所轄の消防署に届け出るようにしてください。

また、防火管理者には甲種と乙種の2種類があり、甲種のほうがより広い面積の店舗に対応可能です。店舗の規模が小さければ乙種で問題ない場合もありますが、延床面積や収容人数のほか、建物全体の用途も関係するため消防署などに事前に確認するようにしてください。ただし、もし判断が難しい場合は甲種を取得することをおすすめします。

居酒屋の開業に必要な資金

居酒屋を開業するためには、さまざまな資金が必要です。特に物件費、運転資金、人件費は重要なので資金の目安をよく理解しておきましょう。

物件費

賃貸する物件取得費と入居工事費のことです。新たに物件に入居する場合、敷金(保証金)や礼金が発生しますが、敷金は家賃の10ヶ月分、礼金は2ヶ月分程度が目安となっています。立地条件の良い物件の場合、敷金だけでもかなり高額になりますので、資金繰りは問題ないか、事前に確認することが大切です。

また、内装や設備の導入に多くの費用がかかります。お店の規模や工事の内容にもよりますが、数百万円以上はかかることが多く、敷金や礼金を加えると1000万円程度は初期費用が必要と考えたほうが良いでしょう。

なお、居抜き物件に入居する場合、入居による工事費がなくなるので大幅なコスト減になります。ただし、造作譲渡費の支払いが発生する点を理解しておくようにしてください。

運転資金

居酒屋を開業した後、運営していくための資金のことです。開業後、すぐに高い売上を上げられるとは限りませんので、数ヵ月間の運営資金は確保しておくようにしましょう。主な運転資金として、毎月の家賃、水道光熱費、食品の仕入れ代金、ローン返済費などがあげられます。

こうした運営資金は、立地条件や規模によって変動します。一般的に家賃は売上の10%以下が良いとされていますが、水道光熱費や食品の仕入れ代金は経営の方法によって抑えることもできるでしょう。居酒屋は利益率が高いビジネスですが、どの程度の規模で営業するかによって得られる利益額は大きく異なるので、無理のない範囲の支出になるよう収支計画をしっかり立てるようにしましょう。

人件費

居酒屋で働く従業員への給与などです。従業員の数によって大きく異なります。個人経営で行うお店であれば人件費はほとんどかからないでしょう。人件費の目安は一般的に売上の20~30%が望ましいと考えられています。しかし、近年では人手不足に加え、最低賃金の上昇など人件費が高騰する傾向にありますので、多くの従業員を雇う場合、将来的に人件費が上がる想定で計画する必要があるでしょう。

広告費など

その他の費用として、宣伝広告費などがあげられます。開業したばかりでは顧客を集めるのが難しいので、宣伝広告費は高めに確保しておくことをおすすめします。最近では看板や折り込みチラシによる方法のほか、インターネットを活用した広告などが効果的です。

居酒屋を開業する流れ

実際に居酒屋を開業する手順を7つのステップで解説します。居酒屋の開業を検討している方は、全体の流れをしっかりと掴むようにしてください。

コンセプトやメニューを決める

居酒屋を開業するための最初のステップは、コンセプトとメニューを決めることです。どんな居酒屋を開きたいのか、どんな種類のお酒や料理を提供したいのか、お店の方向性を決めるものなので、時間をかけてじっくり検討する必要があります。

自分がこだわりを持ち、顧客にアピールできるようなコンセプトを選ぶことが大切です。また、居酒屋は競合が多いので、他の居酒屋との差別化を意識することも大切です。コンセプトが決まったら、メニューの作成に移りましょう。

コンセプトを決めることで、内装や設備、初期費用など、開店までのプランが明確になりますので、まずはここから始めることが大切です。

開業資金を調達する

2つ目のステップは必要な資金を調達することです。代表的な資金調達の方法として、金融機関から融資があります。居酒屋を開業する場合、初期費用が数百万円以上かかるケースが多いため、自己資金だけで開業するのは難しいでしょう。

金融機関から融資を受ける方法のほか、日本政策金融公庫が行っている「新創業融資制度」というものがあります。この融資は無担保で連帯保証人も必要ないため、開業資金を調達するには利用しやすい制度といえます。

もちろん、融資を受けた場合は利息を返済する必要があり、金利上昇のリスクもあります。そのため、さまざまな方法を比較して、自分にとって使いやすい融資方法を見つけることが大切です。

開業に必要な資格を取得する

3つ目のステップは必要な資格を取得することです。前述した食品取扱許可証は必須資格になりますので、必ず取得するようにしてください。また店の規模によっては防火管理者が必要になるほか、可能であればパン製造技能士を取得しておくことが望ましいです。

食品取扱許可証も防火管理者も講習により取得できる資格であり、難易度は高くありませんが、取得していない場合は店舗の営業開始までに間に合わせるように、講習の日程をしっかりとチェックしておきましょう。講習の参加人数が満席になると受講できませんので、早めに申し込んでおくことをおすすめします。

開業する場所・物件を決める

4つ目のステップは、開業する場所と物件を決定することです。立地条件は顧客が集まるかどうかに重要な影響を与えるため、慎重に検討するようにしましょう。

物件を探す場合は不動産会社へ訪問して、希望条件などを伝えることから始めます。立地のほか、予算や店の規模などできるだけ詳しく説明できるようにしてください。また、実際に現地に訪問して、どのような雰囲気の店になるか、イメージを持つことが大切です。1件のみではなく、複数の物件に訪問して比較検討することをおすすめします。

開業に必要な事務続きを行う

5つ目のステップは、開業に必要な事務手続きを行うことです。開業をするためには税務署に開業届を提出しなければなりません。届出書はネット上で入手できるので、必要事項を記載して速やかに提出するようにしましょう。国税庁のホームページにある「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」にも書き方が掲載されているので、目を通しておくことをおすすめします。

なお、開業届は原則として開業から1ヶ月以内に提出するルールになっていますので、遅延することがないように注意してください。

従業員の採用をする

居酒屋で働く従業員の募集活動を行います。従業員の募集は求人広告への掲載、飲食店専門の求人情報サイトなどさまざまな方法があります。

しかし、近年は人手不足が深刻化しており、飲食店の場合、なかなか従業員が集まらない傾向があるので、余裕を持って募集することをおすすめします。

どうしても人が集まらない場合は、給与の増額なども視野に入れなければなりませんが、収支の悪化を招く可能性があるので、バランスをよく考えて判断しましょう。

宣言広告をする

最後のステップは、お店の宣伝広告です。看板や折込チラシのほか、近年ではネット上での広告が主流になっています。お店のホームページやブログによる集客、ツイッターやインスタグラムといったSNSの活用などが有効なので、ぜひ活用してみましょう。

パン屋の開業は準備に多くの時間を要しますが、すべてのステップを丁寧に行うことが成功するためのポイントです。すぐに開業したい気持ちがあっても、焦らずに計画的に開業のステップを進めていくようにしてください。

居酒屋経営で成功するためのポイント

居酒屋経営で成功するためのポイントを4つ紹介します。

コンセプトを重視する

どんな居酒屋にするのか、コンセプトを明確にすることが大切です。居酒屋は全国に多数あり、有名チェーン店の力が強い傾向にあります。そんな中で勝ち抜くためには、他店舗と差別化をすることがポイントになります。

コンセプトを考える際は、お店の魅力が端的に伝わるキャッチフレーズを作ることをおすすめします。また、店舗の内装や外装、接客方法、制服のデザインなどはコンセプトを反映したものを意識しましょう。

適切な資金計画を立てる

居酒屋経営に限らずどのようなビジネスでも、開業する際は資金計画を立てる必要があります。どの程度の資金を準備できるかによって、お店の規模や扱う食品の種類が変わってきます。

資金が豊富にあれば「集客が見込める好立地の物件に出店できる」「高級な食材を利用できる」「多くの従業員を雇用できる」などのメリットがあります。

ただし、自己資金で開業資金を賄うのは困難なので、金融機関からの融資を受けて資金調達するお店も多くあります。ただし、融資を受ける場合は事業計画書の提出が必要になるほか、利子の支払いが発生するので、返済が困難にならないよう数年先まで見込んだ資金計画を立てることが大切です。

良い立地を選ぶ

居酒屋を始めとした飲食店では、立地の選定が集客のための重要な要素になります。人口が多く駅から近いエリアなど人の目に止まりやすい場所であれば、多くの客を呼び込めるでしょう。

また、飲食店の場合、建物の何階に入居するかも重要です。最も人が集まりやすいのは1階フロアですが、高層ビルの場合は景観の良さから最上階の人気も高い傾向にあります。

ただし、条件の良い立地は賃料が高額なので、費用対効果はよく考えたうえで判断しましょう。

集客方法を工夫する

居酒屋の集客方法は看板、街頭でのビラ・割引券配りなどがあります。電光掲示板や大きな看板は設置に高いコストがかかりますが、人目につきやすいメリットがあります。ビラ・割引券配りも主にお店の前を通る人に対しての宣伝効果はあり、その地域の人を呼び込むのに高い効果が期待できます。

その他、インターネットを活用した集客もおすすめです。お店のホームページやブログによる集客、ツイッターやインスタグラムは、最近では多くの居酒屋が活用しています。

また、リピーターを狙った集客として、メールマガジンの活用がおすすめです。一度来店した顧客に対してマガジンの登録をお願いして、お店のお得情報などを送信することで再来店を促せます。

接客の質を高める

居酒屋は価格や料理の質だけでなく、接客の質も売上に影響します。特にリピーターを増やせるかどうかに大きく関係するでしょう。

また、近年ではネット上の口コミに接客のことを書かれる方が多い傾向にあります。「店員さんの態度が悪かった」といった口コミが広まってしまうと、その他の評価が高かったとしても顧客が減少してしまうリスクがありますので、従業員への教育はしっかりと行う必要があります。

まとめ

居酒屋業界を取り巻く環境は厳しい状況ではありますが、だからこそ新しいアイデアを生かしたお店がヒットする可能性が高いといえます。

明確なコンセプトをもったお店にすることが他の店舗と差別化するうえで大切なので、独自のカラーを出せるように創意工夫をしてみてください。

テンポダスでは未公開の店舗賃貸物件を効率的に検索できるツールを提供しております。多数の居抜き物件を手軽に検索できるため、これから開業することを考えている方にとって有益な情報が得られることでしょう。無料の会員登録を行えば、店舗物件や市場データの閲覧が可能になりますので、ぜひこの機会のご登録ください。