開業届の提出時に必要なものとは?書き方や注意点をわかりやすく解説

個人事業主として店舗を開くためには、開業届を提出しなければなりません。届出書の書式はネット上からでも入手できますが、そのほかにもさまざまな書類が必要になるため、事前にチェックしておきましょう。

また、開業届の書き方や提出期限なども理解しておくことをおすすめします。

本記事では開業届の提出時に必要なもの、届出書の書き方や注意点について解説します。

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開業届の基礎知識

初めに開業届の概要や入手方法を解説します。開業することによるメリット・デメリットも併せて紹介しますので、開業の検討をしている方はぜひ参考にしてください。

個人事業主として開業するときに必要な届出

開業届は個人事業主として開業するために必要な届出で、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業届を税務署へ提出して受理されれば。個人事業主として開業することが可能になります。

開業届を税務署に提出する際は「提出用」と「控え」の2部作成する必要があります。控えは受付後、自分用に返却されるので、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

開業届の入手方法

開業届は全国の税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。窓口で受け取る場合は、事務所(または自宅)がある市区町村の最寄りの税務署へ訪問するようにしましょう。ネット上からダウンロードするより手間がかかってしまいますが、実際に窓口へ訪問すれば税務署の職員から書き方のアドバイスや必要書類などを教えてもらえるメリットがあります。

ただし、国税庁のホームページにも書き方が掲載されていますので、税務署を訪問する時間のない方やネット上での手続きに慣れている方は、まずはホームページを閲覧しながら記載してみることをおすすめします。

開業届を提出するメリット

開業届を提出することで得られるメリットが多数あります。主に以下の3点があげられます。

  • 青色申告が可能になる
  • 赤字を繰り越すことができる
  • 事業用の銀行口座を開設できる

最大のメリットは確定申告で青色申告が可能になる点といって良いでしょう。青色申告を行う場合、最大65万円の特別控除が受けられるため、大きな節税につながります。また、事業で発生した赤字を3年まで繰越すことが可能となります。例えば今年100万円の赤字、翌年300万円の利益が出た場合、赤字100万円を翌年に繰り越して200万円の利益として税務署へ申告することが認められます。

また、屋号(事業の名称)で銀行口座を開設できるようになります。プライベート用と事業用で銀行口座を分けられるため、収支や経費の管理をしやすくなります。ただし、事業用の口座を必ず開設しなければならないわけではなく、個人用の口座のまま経営していくことも可能なので、必要の有無は事業の規模や収支の状況に応じて判断すると良いでしょう。

開業届を提出するデメリット

反対に開業届を提出することによるデメリットとしては、以下の3点があげられます。

  • 失業保険が受けられなくなる
  • 扶養の対象から外れる場合がある
  • 確定申告の手間がかかる

開業届を提出すると個人事業主として扱われるため、失業者として認められることはありません。したがって、失業者が次の仕事を見つけるまでのサポートを目的とした失業保険は、支給の対象から外れます。

また、社会保険の扶養に入る条件は、年間の合計所得が130万円未満の場合ですが、開業届を提出した場合、合計所得が130万円以内でも扶養から外れてしまうケースも存在するので注意しましょう。

このほか、確定申告で青色申告を申請する場合、白色申告と違い、複式簿記を用いた計算になるため作成に手間がかかります。しかし、税理士に依頼する方法があるほか、近年では会計ソフトなど便利なツールがそろっていますので、一度やり方を覚えてしまえば後はさほど負担にはならないでしょう。

全体的にはメリットのほうが大きいと思われますが、デメリットの内容もよく理解したうえで判断するようにしてください。

開業届提出時に必要なもの

開業の手続きをする際は、開業届以外にも必要な書類が複数あります。ただし、事業内容によって必須な書類とそうでない書類があるため、大体の内容を把握しておきましょう。

必ず必要になるもの

開業の手続きで必ず必要になるものとして、以下の書類があげられます。

  • 開業届(提出用と控えの2部)
  • マイナンバー(個人番号)が分かるもの(マイナンバーカード、個人番号通知カードなど)
  • 本人確認書類

ただし、本人確認書類はマイナンバーカードがあれば不要です。ない場合は免許証や保険証などがあれば問題ありません。また、税務署に持参して提出する場合は、訂正や誤字脱字が見つかったときに備えて、訂正印として使用できる印鑑を持っていくことをおすすめします。

事業内容によって必要になるもの

事業内容によっては、所管官庁へ開業することを届け出て、許認可を得る必要があります。例えば飲食店を開業する場合には、食品衛生責任者を選任して申請書を保健所に提出することで、営業許可を得られます。

法律や条例で定められた内容を満たさずに開業すると、最悪の場合、違法営業と見なされ行政処分を受ける可能性があります。そのため、開業する事業に必要な届出は必ず事前に確認するようにしてください。以下に主な届出・許認可を紹介します。

【飲食業】
食品衛生法により、保健所に営業許可申請が必要。

【酒類販売業】
酒税法により、税務署に免許申請が必要。

【旅館・ホテルなど宿泊業】
旅館業法により、都道府県の許可が必要。

このほかにも届出や許認可が必要な事業があります。もし不明点があれば、直接担当官庁へ問い合わせて確認することをおすすめします。

開業届の提出方法

開業届は税務署に提出するものです。ただし、窓口のみでなく、郵送やネット上で手続きすることも可能なので、自分に適した方法を選ぶようにしてください。以下にそれぞれの提出方法の詳細を解説します。

開業届は税務署へ提出する

開業届の提出先は、事務所(または自宅)の所在地を管轄する税務署です。どこの税務署が管轄かわからない場合は、国税庁のホームページにある「税務署の所在地などを知りたい方」を活用するようにしてください。住所を入力することで管轄の税務署が検索できるため、簡単に調べられるでしょう。

出典:税務署の所在地などを知りたい方

窓口で提出する方法

開業届の用紙を直接、税務署の窓口に持参して提出する方法です。税務署が遠方にある場合は時間を要してしまいますが、事務所や自宅から近ければさほど手間にはならないでしょう。

また、税務署の窓口では開業届の用紙を受け取れるので、その場で記載をして提出することも可能です。職員の方にお願いすれば内容をチェックしてもらえるので、記載漏れなどのミスを犯す可能性が低い点がメリットといえます。

なお、受付時間は原則として8:30〜17:00までですが、時間外や税務署の閉庁日は時間外収受箱に投函して提出ことが可能となっています。

郵送で提出する方法

開業届と必要書類を添付して、管轄の税務署宛てに郵送する方法です。

この場合、本人確認書類は「本人確認書類(写)添付台紙」に、マイナンバーと身元を確認するための書類を添付して提出することになります。

また、開業届の控えを受け取るために返送用の封筒(切手付き)を必ず同封するようにしましょう。

インターネット(e-Tax)で提出する方法

インターネットを利用した提出も可能です。この場合、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」で電子申告することになります。開業届のほか、確定申告もe-TAXから申請可能なので、すでに確定申告を実施して慣れている方はこの方法がおすすめです。

e-Taxを利用するためには、事前準備としてマイナンバーカードの発行、ICカードリーダライターが必要となります。慣れないうちは使い方に戸惑うこともあるかもしれませんが、今後はこうした公的手続きは電子申請がメインになっていくことが予想されます。毎年行う確定申告で使えるようになれば、時間の短縮にもつながるので、開業届をきっかけに使い方を覚えておけば今後役立つこともあるでしょう。

開業届の書き方

開業届の書き方を7つのステップで解説します。なお、国税庁のホームページにある「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」にも書き方が掲載されているので、目を通しておくことをおすすめします。

出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

「開業」に○をつける

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」なので、廃業の際にも用いる書式です。そのため、開業の届出であることが分かるように、一番上に記載されてある「個人事業主の開業・廃業等届出書」の「開業」に○をつけるようにしてください。

税務署名と提出日を記入

次に「税務署長」の前の空欄に、管轄する税務署の名前と提出日を記載します。郵送で提出する場合は「郵便局から発送された日」が税務署としての提出日に該当します。

したがって、開業届は開業から1ヶ月以内に届出を出すことが定められていますが、発送日が期限内なら税務署に届いた日が期限を過ぎていても問題ないということになります。

納税地と電話番号を記入

納税地は事務所(または自宅)の住所を記載します。電話番号は固定電話がなければ、携帯電話の番号でも良いとされています。

また、「上記以外の住所地・事業所等」と記載された欄がありますが、この箇所は事務所と自宅を別に所有している方のみ記載する必要があり、自宅兼事務所の場合は空欄で問題ありません。

事務所と自宅を別に所有している場合は、「納税地」に事務所と自宅の住所どちらか記載して、「上記以外の住所地・事業所等」に納税地としていないほうの住所を記載します。

マイナンバーなどの個人情報、職業、屋号を記入

氏名、生年月日、マイナンバー(個人番号)といった個人情報を記載します。職業の欄は客観的に分かる名称であればどのような書き方でも構わないとされており、後の「事業の概要」で詳しい内容を記載することになっています。

屋号は個人事業主がつけられる事業名であり、会社名(商号)に近いものですが、記載は任意となっているため、特に書かなくても開業届は提出は可能です。

所得の種類、開業日を記入

所得の種類は、不動産所得、山林所得以外は「事業所得」になります。開業日の箇所は「原則として開業届の提出は開業から1ヶ月以内」と定められているため、提出日から1ヵ月以内の日付を記載するようにしましょう。

なお、いつを開業日とするかに関しては、厳格なルールがないので、ご自身が開業したと認識している日付、または開業届の提出日と同日でも良いでしょう。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業により「青色申告」をしたい場合は「有」に〇をつけます。青色申告は確定申告の方法であり、開業した個人事業主のみが選択できます。白色申告より手間はかかりますが、確定申告の際、最大65万円が差し引ける「青色申告特別控除」が利用できるのが最大のメリットといえるでしょう。

なお、青色申告をするには「青色申告承認申請書」が必要ですが、国税庁のホームページからダウンロードできます。

事業の概要

職業欄に記載した内容をこの欄で具体的に説明します。「飲食業」であれば「○○の調理と販売」のように、どのような事業を行っているかが、できるだけ客観的に分かる内容にすることを意識しましょう。

給与等の支払の状況

こちらの欄は、従業員を雇用している場合に記載が必要な箇所なので、個人で開業する場合は空欄で問題ありません。もし家族を従業員とする場合は「専従者」、家族以外は「使用人」欄に人数を記載しましょう。

このほか、「給与の定め方」には給与の計算方法と、「税額の有無」(源泉徴収の有無)は事業の内容によって判断するようにしてください。

開業届を提出するときの注意点

開業届を提出する際に、特に注意すべき事項を2つ解説します。以下の2点は特に重要な内容なので、しっかりと理解するようにしましょう。

提出期限は開業から1カ月以内

開業届は開業してから1ヶ月以内に提出しなければならないことが、所得税法第229条に定められています。ただし、未提出の場合でも遅れて提出した場合でも、罰則は設けられておりません。また、開業した日付は自分の判断で決められるため、あまり厳格な定めではないのが実態です。

しかし、開業届を提出しなければ青色申告ができないなど、開業によるメリットを受けられないため、できるだけ速やかに提出することをおすすめします。

控えを必ずとっておくこと

開業届は提出用と控えの2部を提出する必要があります。正式に受理されると、控えは自分用に戻ってくるため、大切に保管するようにしてください。

開業届の控えは銀行口座の開設や融資の申請、小規模事業共済への加入などさまざまな手続きで必要になります。

万が一、紛失してしまった場合は税務署で手続きを行えば再発行が可能です。ただし、発行手数料がかかるうえ、申請から発行までに2週間以上の期間を要します。

控えをすぐに提出したいときは対応が難しくなりますので、重要な書類であることを意識するようにしましょう。

店舗開業にかかる費用

店舗開業にはさまざまなコストがかかりますが、開業を計画している店舗の種類や規模によって異なります。飲食店のケースでは、1000万円以上の資金が必要になるものと考えるようにしてください。

実際、日本金融政策公庫が公表した「2021年度の新規開業実態調査」によると2022年度は開業費用の平均額は941万円、開業時の平均資金調達額は1177万円という結果が出ています。

開業時に必要になる資金の内訳としては、店舗の家賃や敷金、内装・設備の費用、備品購入費用、広告費用、材料・商品の仕入れ費用などがあげられるので、それぞれどの程度の費用がかかるか積算するようにしましょう。

もちろん、賃貸ではなく開業する物件の所有者であれば、家賃や敷金などの費用は大きく削減できます。一方、好立地の物件では家賃や敷金が高額になりますので、平均額は参考値として捉え、ケースバイケースで考えるようにしてください。

まとめ

開業届は個人事業主として活動するためには、必ず提出する必要があります。提出直前になり焦ることがないよう、事前に準備するものをチェックしておくことをおすすめします。また、開業届の書き方や注意点も理解するようにしましょう。

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