居抜き物件のデメリットとは?メリットや物件を選ぶ際の注意点も解説

飲食店や美容室の開業、オフィス移転などでよく目にするのが「居抜き物件」という言葉。物件探しをしているときに見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

本記事では居抜き物件とは何か、その意味やメリット・デメリット、選ぶ際の注意点まで解説いたします。とくに「開業や物件の移転をできるだけ安く抑えたい」と考える方におすすめなので、ぜひ参考にしてください。

※記載内容は2022年5月時点の情報です

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居抜き物件とは

居抜き物件とは、前に入居していたテナントの内装や設備を残したまま貸し出される(売りだされる)物件のことです。通常は物件の退去時に撤去費用がかかりますが、貸す(売る)側は居抜き物件として手放せばその必要はありません。また、借りる(買う)側も内装や設備などにかかる工事費用が安く抑えられます。

そのため、貸す(売る)側、借りる(買う)側の双方にとってメリットがあるため、居抜き物件のニーズが昨今増えてきています。とくに飲食業界や美容室など、開業時の設備費用が高くなる業態では、一つの手段として検討してみると良いでしょう。

一方で居抜き物件に対して、内装や設備が一切ない物件のことを「スケルトン」と呼びます。後述しますが、居抜き物件よりもスケルトン物件の方が適しているケースもあるため、選ぶ際には慎重に検討しましょう。

居抜き物件のメリット

居抜き物件には下記のようなメリットがあります。

初期費用を安く抑えられる

居抜き物件を利用する最大のメリットは、初期費用を安く抑えられることです。通常、飲食店を開業する場合にはキッチンや冷蔵庫などの設備が必要となり、初期費用は高くなる傾向にあります。しかし、居抜き物件であれば前のテナントが利用していた設備を使えるため、その機器や設置工事分の費用を浮かせられるのです。

もちろん、前のテナントの設備や内装を必ずしも無料で引き継げるわけではありません。基本的には「造作譲渡料」として一定費用を支払うことになります。しかし、それでも0から用意するよりも安く、一般的にはスケルトン状態から開業する場合の工事費用が平均30万~50万円/坪と言われているのに対して、居抜き物件を利用すれば平均15万~30万円/坪(※)に抑えることが可能です。

(※)あくまで目安です。内装設備を大幅に変更する場合は費用が高くなります

工期が短く済む

居抜き物件を利用した場合、既存の内装設備を利用できることから必要な工事が少なくなります。そのため工期が短く済むことから、開業までのスピードを早めることが可能です。

あくまで目安ですが、店舗面積が30坪で大幅な工事を行わない場合、居抜き物件であれば物件の引き渡しから2週間ほどで開業することも不可能ではありません。スケルトンの物件を工事する場合は、物件の引き渡しから早くても1ヶ月〜2ヶ月はかかるため、早く開業したい方には居抜き物件がおすすめです。

居抜き物件のデメリット

一方で、居抜き物件を利用する場合にはデメリットもあります。

内装工事がしにくい

前のテナントが残した内装がベースとなるため、独創的なデザインに変更するのは難しいでしょう。仮に内装を大幅に変更する場合は、工事費用だけではなく既存設備の撤去費用もかかるため、かえって工事費用が高くなる可能性も考えられます。また、前のテナントが飲食店以外の業態である場合には、新たにキッチンを構える工事が必要なため、注意が必要です。

最近は「インスタ映え」を中心として、SNSで評判を集める飲食店も増えてきました。もちろん内装デザインにこだわらなくても、食事・接客・価格・立地など、他のポイントを売りにすれば問題はありません。しかし、自分の店舗が何を売りにして集客をするのかはあらかじめ考えてから物件を選ぶ必要があるでしょう。

設備や機器が故障しやすい

引き渡される設備や機器がすぐに故障するリスクもあります。故障した場合の責任は、新たな持ち主である自分が背負うことになるため「設備のコンディションに問題がないか」「保証期間はいつまであるのか」など、事前に確認しておくと良いでしょう。

前テナントの評判が残る 

前テナントの評判が悪い場合には注意が必要です。「周辺住民と揉めていた」「反社会的勢力が出入りしていた」「大きな事故・事件があった」など、とくに近所との繋がりが深い地方に行けば行くほど、このような評判は地元に根付いています。そのため、あらかじめ不動産会社に確認をしてから契約を進めましょう。また、契約後には周辺住民に挨拶回りをする、店舗のチラシを配るなどしてイメージを良くする取り組みもおすすめです。

居抜き物件を選ぶ際の注意点

居抜き物件を選ぶ際には3つほど注意点があります。とくに安く、良い条件で契約ができる物件には何か裏がある可能性もあるため、念入りに確認しておきましょう。

設備・機器の状況を現地で確認する

契約後に設備や機器が故障した場合には、自分で責任を取ることになります。そのため契約前に、必ず現地に足を運び、自分の目で状況を確認しましょう。とくに耐用年数や保証書の有無などを確認する場合は口頭ではなく、必ずメールなどの証拠が残る連絡手段で行うことをおすすめします。後ほど揉めてしまう大きな要因となり得るため注意が必要です。

リース品・レンタル品の有無を確認する

機器のリース精算が済んでいない場合、契約後にリース料金が請求されてしまう恐れもあります。最悪の場合はリース機器を返却しなくてはならず、新たな機器を揃えなくてはならないため注意が必要です。また、レンタル品の有無も同じく確認しておきましょう。借り主が変わるため、新たに契約の締結が必要となります。

契約内容を確認する

居抜き物件を契約する際には「賃貸借契約」と「造作譲渡契約」が必要となります。賃貸借契約とは物件についてオーナーとの間で結ぶ契約のこと。造作譲渡契約とは内装や設備について前のテナントとの間で結ぶ契約のことです。

賃貸借契約では、退去時の原状回復をどこまで行うのかを必ず確認しておきましょう。もしスケルトンの状態まで戻す必要がある場合は撤去費用もかかるため注意が必要です。また、造作譲渡契約では先述したような物件の故障有無・リース精算有無などの確認をしておきましょう。

メリット・デメリットを把握したうえで居抜き物件をうまく活用しましょう

居抜き物件には本記事で紹介したようにメリット・デメリットがそれぞれあります。開業にあたって、できるだけ「初期費用を抑えたい」「工期を短く済ませたい」場合にはおすすめですが「内装にこだわりたい」「前テナントの悪い評判や設備故障のトラブルなどを避けたい」という方は、スケルトン物件の利用も検討しましょう。

いずれにせよ事業計画書を策定して、開業費用をどれほどで回収できそうか、検討しておくことが重要です。居抜き物件だからといって、立地が悪いと集客に結びつかない可能性もあります。さまざまな観点から見て、最適な物件を慎重に検討しましょう。

物件を探す際には「Tempodas」のような専門サイトでチェックするか、各地域にある不動産仲介会社に依頼してみてください。また、歩いて探すこともおすすめです。その土地ならではの情報も得られるため、集客計画を具体的に想像できるでしょう。

居抜き物件で条件の良いところはすぐに入居者が決まります。開業を検討したら、まずは物件についてなるべく情報を集めて、良い物件を逃さないようにしておきましょう。