飲食店の開業に必要な資格や届出・手続きを紹介・調理師免許は必要?

「飲食店の開業に資格は必要だろうか?」と悩まれている方もいるでしょう。本記事では、飲食店の開業に必要な資格や届出、取得したほうが有利となる資格まで解説いたします。ぜひ参考にしてください。

※記載内容は2022年5月時点の情報です

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飲食店の開業に必要な資格

飲食店を開業する際に必ず必要となる資格は「食品衛生責任者」です。また、店舗面積によっては「防火管理者」も必要となります。それぞれ取得方法や費用についてご紹介いたします。

食品衛生責任者 

食品衛生責任者はどの飲食店でも必須の資格です。従業員のうち必ず1名は取得している必要があります。仮に資格を持つ人がいない場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(食品衛生法)が科される場合もありますので注意が必要です。

もしお店のオープンまでに取得が間に合わない場合には、保健所の窓口に下記いずれかの書類を提出すれば猶予期間を設けられます。

  • 食品衛生責任者設置誓約書
  • 食品衛生責任者講習会の受講予約票

また、食品衛生責任者には資格の有効期限がありません。基本的には、一度取得すれば更新が不要なものです。取得した後に一定期間を経ると研修が実施されますが、きちんと参加すれば問題ないでしょう。取得の難易度も決して高くはないため、開業前に取得することをおすすめします。

▼取得方法
各地域の保健所で実施される講習を受けることになります。

  • 費用:約1万円
  • 期間:約6時間
  • 難易度:テスト内容は講義内容から出題されるため、しっかりと受講していれば心配ありません。

防火管理者

防火管理者の資格は、店舗の収容面積によって異なります。延床面積が300平方メートル以上の場合は「甲種防火管理者」、300平方メートル未満の場合は「乙種防火管理者もしくは甲種防火管理者」の取得が必要です。

一方で、収容人数が30人を下回る店舗では基本的に取得は不要です。しかし、この「30人」は従業員を含む人数であることに注意しましょう。また、建物のテナントを利用している場合、店舗の収容人数が30人以下でも建物全体の収容人数が50人を超えていれば、テナントごとに取得が必要となります。開業前までに必ず取得する必要があるため、スケジュールに余裕を持って取り組んでみてください。

▼取得方法
各地域で実施される講習を受けることになります。

  • 費用:約5,000円〜7,000円
  • 期間:2日(甲種)、1日(乙種)
  • 難易度:基本的には、きちんと講義を受講していれば問題ありません。

飲食店の開業に調理師免許は不要

じつは、飲食店を開業する際に「調理師免許」は法律上必要ではありません。これは「和食・洋食・中華」などの料理ジャンルを問わず共通のことです。一方で、ホテルやレストランに就職する際には、募集要項に「調理師免許必須」と書かれているケースは多々見受けられます。飲食店を開業する方のなかには、過去に調理師としての勤務経験がある方が比較的多く、結果的に調理師免許を取得している方が多いのもまた事実と言えます。

しかし、自分が客側で来店する際に「この店の店主は調理師免許を持っているのだろうか」と気にする方はどれほどいるでしょうか。調理師免許よりも店の雰囲気・接客態度・料理の味のほうが重要ですよね。

調理師免許は調理技術や食品知識が身につく点では素晴らしい資格ですが、開業時には必須ではないため、取得する優先度は低いと言えるでしょう。

▼取得方法
2年以上の調理業務を経た後に、各地域で実施される調理師試験を受験。もしくは国が指定した調理師養成施設を卒業した後に各地域で申請して取得することになります。

  • 費用:受験料は約6,000円(調理師養成施設は約100万円〜200万円)
  • 期間:1日
  • 難易度:合格率は約6割と言われています

保有していれば有利になる資格

その他にも必須ではありませんが、保有していればお店のアピールに繋がる資格もあります。

お酒に関する資格

お酒に関する資格を取れば、お酒好きのお客さんが来店してくれます。お酒は利益率が高く、注文数も増える傾向にあるため、安定した収入も見込めるでしょう。

具体的には、下記のような資格が挙げられます。

ワインソムリエ

イタリアン料理やフランス料理をメインとするお店には、ワインソムリエの資格がおすすめです。

じつはワインソムリエの資格は大きく2種類あります。

  • 「日本ソムリエ協会」主催のワイン検定
  • 「全日本ソムリエ協会」主催のワイン検定

本格的にワインを学びたい、ワインに詳しいことを証明したい方は「全日本ソムリエ協会」が主催するワイン検定を取得しましょう。ワインについての歴史や造り方、マナーなどが出題されます。1級を取得するには2級が必要で、2級を取得するには3級が必要となるため、上位の資格を狙う場合は早めから取り組んでおきましょう。

また、「日本ソムリエ協会」が主催するワイン検定には「ブロンズクラス」と「シルバークラス」の2種類があります。いずれもワインを楽しむための知識が出題されるため、初心者にも優しい内容だと言えるでしょう。

日本ビール検定

別名「びあけん」と言われる日本ビール検定。1級〜3級まで用意されており、1級の合格率はなんと約10%と言われています。公式書籍も発売されるほど注目を集めており、なかには毎年受験する方もいるようです。以前までは都市部でのみ受験が可能でしたが、現在では全国各地の試験会場で受験可能です。

出題内容はビールの原料や製法、歴史などが中心となります。日本国内では比較的ビールを好む方が多いので、その需要は大きいと言えるでしょう。

日本酒検定

日本酒検定は通算5,000人ほどが取得している資格です。国内ではまだ認知度が高くありませんが、希少だからこそ持つ価値はあるとも言えます。出題内容は日本酒の歴史や造り方、モラルが中心です。1級〜5級まであり、初めて受験する場合は3〜5級から受けることになります。

4,5級はインターネットにて、1,000円の受験料で3回まで受けられます。日本酒の知識に自信のある方は、力試しで受験してみてはいかがでしょうか。

料理に関する資格

料理に関する資格もおすすめです。やはり飲食店の要は料理なので、資格があることで客観的な知識・スキルの証明となります。

代表的な資格は下記2つです。

野菜ソムリエ

料理には欠かせない野菜。近年ではヴィーガンの方も増えており、ますますニーズが高まる資格だと言えます。野菜ソムリエの資格には「野菜ソムリエ」「野菜ソムリエプロ」「野菜ソムリエ上級プロ」の3つがあり、出題内容は野菜に関する品目や生産方法、歴史など多岐にわたります。

取得することで野菜の目利きがあることを証明できるので、お店で提供する食材に自信のある方におすすめの資格です。

アレルギー対応食アドバイザー

近年では食材にアレルギーを持つ方も多く、とくに子どもを持つ保護者の方は安心して食事をさせたいと考えています。アレルギー対応食アドバイザーの資格では、アレルギーの基礎知識はもちろん、代替となる調理方法も学べます。

飲食店のなかには「アレルギーがある方は該当するメニューを避けていただく」という対応をとるところもありますが、あえて代替となる調理方法で提供する戦略をとれば、来店数の増加も見込めるでしょう。いずれにせよ食材を扱う場合、知識として備えたほうが良いと考えられます。

飲食店の開業に必要な届出

飲食店の開業には、資格以外にもいくつか届出が必要となります。

飲食店営業許可

飲食店営業許可を取得するには「食品衛生責任者の設置」「保健所の審査クリア」が条件となります。まずは保健所に連絡をしたうえで、申請を行い、審査日程の調整を行う必要があるでしょう。費用はおよそ10,000円〜20,000円ほど。地域や営業形態によって異なるため注意が必要です。

喫茶店営業許可

喫茶店を開業する場合は「喫茶店営業許可」の取得でも代替可能です。しかし、その場合に販売できる飲食物は茶菓を中心とした既製品のみ。料理を提供する場合には「飲食店営業許可」を取得する必要があります。

深夜酒類提供飲食店営業 

午前0時〜6時の深夜帯に営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の取得が必須です、居酒屋やバーに該当しない場合は取得の必要はありませんが、該当する場合は開業届を警察署に申請しておきましょう。申請しないで営業した場合は罰則の恐れもあるため注意が必要です。

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業主として開業をする場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出義務があります。罰則規定はありませんが、確定申告における「青色申告」ができなかったり、屋号で銀行口座を開設できなかったりなど、事業主側に不便が生じるため、原則として開業日から1ヶ月以内に提出しておきましょう。

申請用紙は、全国の税務署か国税庁の公式サイトからダウンロードできます。内容を記載したうえで、管轄エリアの税務署にて「マイナンバーカード(もしくはマイナンバーが確認できる書類と本人確認ができる書類)」「印鑑」「青色申告承認申請書」と合わせて、ご提出ください。

労災保険・雇用保険加入手続き

従業員を雇用する場合は「労災保険」への加入手続きが必要となります。「保険関係成立届」と「概算保険料申告書」を、保険関係が成立した翌日から10日以内に、所轄エリアの労働基準監督署に提出しましょう。また、アルバイトを雇用する場合は、1人ごとに「雇用保険」への加入手続きが必要となります。「雇用保険被保険者資格取得届」を雇用した翌月の10日までに、所轄エリアの公共職業安定所へ提出してください。

防火対象設備使用開始届

建物やフロアの一部を使用する場合は、使用開始の7日前までに「防火対象設備使用開始届」を所轄エリアの消防署へ提出する必要があります。主な提出事項は、防火対象物の概要表・案内図・平面図・詳細図・立面図・断面図・展開図・室内仕上表及び建具表・火気使用器具(設備)の位置や構造を示した図です。各自治体によって、具体的な提出事項は異なるため、一度消防署へ問い合わせてみることをおすすめします。

火を使用する設備等の設置届け

火を使用する場合、とくに火災発生の恐れが比較的高い設備(炉・温風暖房機・厨房設備・ボイラー・乾燥設備・給湯湯沸設備等)を設置する場合は「火を使用する設備等の設置届け」の提出が必要となります。具体的な該当設備や提出時期は各自治体によって異なるため、詳細は消防署へご確認ください。一般的には設置工事を開始する7日前までには届出が必要となるため、あらかじめ把握しておきましょう。

必要な資格を取得したうえで飲食店を開業しよう

飲食店を開業するためには、いくつか資格や届出が必須となります。開業後のトラブルを防ぐためにも予め取得スケジュールを立てて取り組んでおきましょう。

また、資格は店主が取得することを強くおすすめします。従業員に取得させても、退職してしまえば有資格者が不在となります。本記事で紹介したように、必須となる資格は合格難易度が決して高くはないため、できるだけ自ら取得しておきましょう。